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233 事業展開 7

 3人で色々と悪だくみした翌日、私達は子供達を集めて説明会を開いた。

「イリー達が加わって、従業員による労働力が3倍になったから、うちの事業について仕切り直すことにしました」

 うん、アラルの労働力を0.5と考えているので、ミーネとアラルで1.5。そこにイリー達3人分で3.0が加わったので、元の3倍だ。

 私達3人は、『経営者側』であり、労働力には数えていない。

 ま、役員室でふんぞり返っている、役立たずの老害役員ポジションだ。

 ……いや、実際には、販路開拓とか交渉とかの、営業担当者としての仕事をするんだけどね。

 そっちは私達3人が適当にやるから、仕事の振り分け、という点では対象外にしているだけで。


「今の仕事は、3倍になった労働力の3分の1、つまり今までと同じだけの労働力をこれに当てて、これ以上増やさずに現状維持。残りは、色々な仕事の経験と、勉強にててもらうよ」

 色々な仕事というのは、海産物と肉の加工だけでなく、様々な仕事について経験させ、子供達の未来の選択肢を増やしてやろうというものだ。

 別に大したことではなく、ここの建物の一角で小さな店を開いて小売り販売業の経験をさせたり、そこで売る商品を考案させたり、物作りを体験させたりしてやろうかと……。


 勉強は、私達3人が教える。数学……じゃないな、算数とか、初歩的な科学的思考法とか、商売における心構えとか、諸々を。

 この国にはごく一部の例外を除いて、平民が通える学校なんかないし、もしそういうところに行かせたとしても、元孤児達がまともに勉強させてもらえるとは思えない。

 通っているのは多分、貴族の係累とか金持ちの子弟とかだけだろうから、差別や苛めで、まともな学生生活が送れるとは到底考えられないよねぇ。

 まぁ、それ以前に、今の私達の立場では、そんなところへ入学させてやれるだけの力はない。


 それに、そんなところで『この国の上層階級における常識や、この国レベルの知識』を教わったところで、下層民にとっては何の役にも立たないだろう。

 だから、私が昔『女神の眼』のみんなに教えたようなことを、この子たちにも教え込む。クソの役にも立たないお題目や戯言たわごとではなく、生きていくために本当に役立つ、実践的な、……いや、『実戦的』な知識と心構えを……。

 昨日の話し合いの時、レイコが『あの子達に、それ、必要かなぁ……』とか言っていたけど。

 勿論、『実践的な』じゃなくて、『実戦的な』ってとこのことね。


「「「「「はいっ!」」」」」

 そして、子供達の返事は、これしかないよねぇ。

 勉強というのは嫌がるかも、と思ったけれど、私の言葉だからか、それとも『知識は身を助ける』ということをよく知っているからか、躊躇うことなく元気な返事が揃った。

 よしよし。

 あとは、カリキュラムの作成と、新たに始める事業をみんなで考えよう。

 うん、私達経営陣3人だけで決めるのではなく、子供達の意見や、やりたいことを聞かなくちゃね。

 急ぐことはない。ボチボチやればいい……。


     *     *


「……というわけで、『裏の方』の仕事だけど……」

 子供達が寝静まってから、地下司令部で秘密会議を開く、私達3人。

 そして、レイコと恭ちゃんにこれからの作戦計画について説明する。

 あ、ここのことは、『司令部』だったり『秘密基地』だったり『作戦室』だったりと、色々な呼び方をしているけれど、まぁ、3人共フィーリングで、その都度好きなように呼んでいる。


「いよいよ、本格的に攻勢防御作戦を開始しようと思ってるんだ。『防衛のために、優位なポジションを手に入れる』ってやつね。

 具体的に言うと、私達が悪意に晒されたときに助けてくれる、『強い力』、『力の壁』ってのを手に入れる、ってことなんだけど……」

「ゴッドマーズ?」

「武装錬金?」

 うるさいわ!


「一応、中規模以上の商家や貴族を取り込む、ってのは、順調に、……領主様に関しては些か予定外ではあったけれど、まぁ、無事友好的に進んでるから、問題なし。

 そして、それとは別に、裏切られる心配なし、私達の思惑に反する行動を取る心配なしの、便利で強力な力を自前で用意しようかと思うんだ。私達にとって絶対に安全で、権威と大きな影響力を持つ味方を……」

「ええっ! そんなの、どうやって……。人の心には『絶対』っていうことはないよ。目の前に金蔓かねづるや強大な力、不老長寿の薬とかをぶら下げられれば、どんな人だって……。

 それに、私達のことを全て教えても構わないような人は、なかなかいないんじゃあ……」

 恭ちゃんがそう言って『無理だ』という意思表示をしてきたけれど、レイコは私の意図を察しているみたいだ。


「恭子、いるでしょ、絶対に恭子を裏切らない者が。……そして、私を裏切らない者も、カオルを裏切らない者も……」

 うん、やっぱりレイコは分かってくれてたか。

 そして、ここまで言われれば、さすがに恭ちゃんにも分かるはず。


「……私……たち……?」

 大正解~!

「そう。私達3人は、互いに絶対に裏切る心配がない。……だから、私達が『私達を守る、力の壁』になるのよ」

「意味、分かんないよおぉっ!」

 さすがに、これから先の部分は、説明しないと恭ちゃんには分からないか……。


「つまり、『リトルシルバー』の経営者である私達を助けてくれる有力者が現れるわけよ。名が知られていて、影響力の大きい人が。それも、有名で信用度が抜群なんだけど、出身地や家名は伏せて活動している、謎多きミステリアスな人物が……。

 そしてその人達は、高ランクハンターだったり、新進気鋭の商人だったり、大聖女だったりするワケよ。……あ、あくまでも『大聖女』よ、決して『御使い様』とかじゃなくて!」

「あ……」

 ここまで説明すれば、さすがに恭ちゃんにも分かるか。

 恭ちゃんは、言動は少し子供っぽいけど、決して馬鹿だというわけじゃない。正義感が強くて、一本気なだけだ。


「そう、『変装した、私達』ね。ポーション、その容器、そして魔法があれば、変装くらい簡単よね。ボイスチェンジャーも、ポーション、容器型のアイテム、魔法と、色々方法はあるし。

 そして、万一バレそうになった場合は、そのキャラ用の変装装具を他の者が使って同時に姿を見せることによって、『同一人物ではない』ということを簡単に証明できるし。

 この世界で、そこまでやって疑われることは、まずないでしょ。

 一応、お助けキャラはひとりずつ担当することにして、3人にしようと思ってるの。レイコと恭ちゃんも、少しは楽しみたいでしょ?」


 ありゃ、恭ちゃんが固まってるぞ?

 そして……。

「な、何じゃ、そりゃあああ!!」

 うん、搦め手は得意じゃない恭ちゃんには、ちょっと思考的ハードルが高かったか……。

 そしてレイコは、平気な顔をしている。

 ……ま、いつものことだ。


     *     *


「……で、その『キャラ』に各方面で色々と活躍させて、名声と信用を得る、ってわけね?」

「うん。私とレイコなら魔物や野獣を簡単に狩ることができるし、護衛とかも大丈夫だし。

 そして私は、聖女様の真似事も簡単にできるからね。商人に関しては、ポーションや容器として創ったものや、宇宙船に積んである食品をここの容器に入れ替えて売ってもいいしね。

 多少やらかしても、問題なし。

 ……というか、短期間で成り上がるためには、『やらかし』不可避だよ」

「…………」


 私が狩りもできるというのは、勿論、恭ちゃんから宇宙船に積んであった武器を貰ったからだ。

 当然、レイコも貰ってる。魔法より速く撃てるからね。

 ……恭ちゃんの名前が狩りのメンバーに入っていないのは、まぁ、アレだ。

 いくら強力な武器を持っていても、『運動神経が千切れている人』には、狩りをさせてはならない。そういうことだ……。


 あ、私が創った『菌、毒素、寄生虫等の探知・分解ブレスレット』と万能ポーションも、ふたりに渡してある。念の為に。

 連絡用にと、水晶共振セットも渡そうとしたら、『こっちの方が使いやすくて丈夫よ』と言って、恭ちゃんが通信機を渡してきた。

 ぐぬぬ……。


 とにかく、私達はその気になれば、新人のハンター、商人、そして聖女として華々しくデビューして、すぐに成り上がることができるだろうということだ。

 ……目立つのは嫌なんじゃなかったのか、って?

 目立つのは、作った架空の人物であって、『リトルシルバー』の私達じゃない。

 い~んだよ、細けぇこたー!



すみません、いつものように、年末年始休暇として、2週間のお休みをいただきます。

休暇中は、ゆっくりと書籍化作業を進めておきます。(^^ゞ

いえ、今はまだ締め切りに追われているわけではないのですが、『何もせずに休む』というのに慣れていないため、仕事をしていないと落ち着かない……。〇| ̄|_


そういうわけで、『締め切りに追われているわけではない仕事』をちょこちょことやりながら、のんびりと……。


では、来年も、よろしくお願い致します。

皆様、良いお年を!(^^)/

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― 新着の感想 ―
ポンコツセレスのお陰でKKR団の暗躍が捗り過ぎそう鴨。モットヤレ〜
チートを使ってやりたい放題 の一歩手前かな有力者によるセルフ保護 何を言っているのかよくわからないが始まる!
[一言] グットホープに積んである反重力ベルトだと 個人用バリヤーと光学迷彩武器インパルスガンと 分子破壊銃も付いてるよ?通信用インカムもね! 戦闘ロボットに鎧を装備させて護衛として使役したら? バリ…
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