雷ゴロゴロ
今日は大荒れ。
北海道に梅雨はないが、ここ最近はすごい雨が続いていて、今日はここ最近では一番荒れている。台風が来てたかとも思ったがそんなことはなく、ただの雷雨だった。
「うおっ!」
また大きな雷が鳴った。
土曜日ということで外に出なくても大丈夫だったのだが、これだけ大きな雷が続くと、どこかに落ちたのかと思ってしまう。
瑠璃ちゃんは雷が怖いのか、ずっと隣に座ってテレビを見ている。ソファの上で体育座りをしている。
音が鳴るたびにピクっと動いているが、テレビから視線を離そうとしない。
とはいえ、そろそろ夕食の準備をしないといけない時間になってきた。
「ご飯の準備してくるね」
「えっ。じゃあ私も手伝う」
「テレビ見てたんじゃないの?」
口を尖らせる瑠璃ちゃん。
もちろん雷が怖いのをごまかすためだとはわかっているが、一応聞いてみた。
「…見てないもん」
「雷怖かったんでしょ?」
「…怖くないもん」
強がってきたか。
「じゃあ今日は俺がご飯作るからさ。瑠璃ちゃんはせっかくの休みなんだから、ゆっくりしててよ」
「むー。正親さんのいじわるー」
そう言ってポカポカと俺のことを叩く。
俺はアハハーと笑いながらキッチンへと向かうと、瑠璃ちゃんも一緒についてきた。
「雷は落ないから大丈夫だって」
「音が怖いのー」
「あー」
「怖いっていうかビックリする」
「大声で急に驚かされたらビックリするもんね」
「そんな感じ」
そんなことを話しながら二人で台所に立つ。
並んで立つと思うけど、瑠璃ちゃんも結構大きくなってきた。
ちょっと前までちびっ子だと思ってたのに、今ではもう中学生だもんな。そりゃあ大きくもなるか。
「瑠璃ちゃんて身長何センチ?」
「148センチ」
「クラスの中では小さい方?」
「んー、真ん中くらい」
「ふーん」
「正親さんは?」
「俺? しばらく計ってないからなぁ…もうちょっとで健康診断とかあるからその時に計るけど、毎回176とか178センチくらい」
「それって大きい方なの?」
「んー…どうなんだろ? ちょっと大きい方じゃないかな?」
「ふーん」
たしかに瑠璃ちゃんも、いつものメンバーと一緒にいるところを見ると、あんまり大きくも小さくもないように見える。
高校になっても小さい子は小さいし、大きい子は大きいからな。
そんな話もしながら夜ご飯を作っていた。
と、瑠璃ちゃんが雷に3回くらいビクッとしたあとに聞いてきた。
「正親さんは、恭子ちゃんのどこが好きなの?」
「…随分唐突ですね」
「ちょっと気になったから」
「んーどこだろなー。なんかあの素直なんだけど、変に頑張っちゃってるところが好きかな」
「どういうこと?」
「恭子なりに俺と付き合うことを頑張ってくれてるんだろうけどさ、俺からしてみたら恭子は年下でしょ? ありのままの恭子でいいのに、変に背丈を合わせようとしてくれてるーってとこが可愛く見えるかな」
俺の言葉に瑠璃ちゃんは首を傾げていた。
「ハハハ。大人になったらわかるよ」
「難しい」
「瑠璃ちゃんは好きな子とかいないの?」
「んー、微妙」
やっぱりまだ恋には目覚めて……ん?
「微妙?」
「うん。キララちゃんは好きな人いるんだよ」
「そりゃあの子は年頃の子って感じだもんね」
「私も怜央くんのこと好きなのかなぁ?」
「かなぁ、って俺に聞かれても…」
『少なくとも玲央くんは瑠璃ちゃんのこと好きだよ』なんて言えない。
最近内海くんの話が出てこなかったけど、クラス替えしたから会わなくなったのか?
「前にギューッて抱きしめられたんだけど、その時からちょっと…」
ゴロゴロー!
「うおっ!」
「ひっ!」
ビックリした。今日一番であろう雷が聞こえた。
二人で驚いたが、瑠璃ちゃんは俺に抱きついてきた。掴まれている腕が痛いが、無理やり解くことができるであろうか? いいや、できない。
瑠璃ちゃんが落ち着くまではそのままでいた。
しかしその話の続きを話すことはなかった。
しかし瑠璃ちゃんも恋か…ちょっと複雑な気持ちである。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
そして『シュウさんと山田さん』のほうでは大変失礼しました。
お詫びとして二人の会話を更新しますので、勘弁してください。
では次回もお楽しみに!




