えっとね
「えっとね、私、好きな人ができちゃったのよ」
「えっ、ホント?」
「だれだれー?」
「えー、聞いちゃうのー?」
「教えてよー」
キララちゃんの家に泊まった夜、私とキララちゃんと亜里沙ちゃんの3人で、女子トークをしていた。キララちゃんはベッドの上に座っていて、私と亜里沙ちゃんが敷いた布団の上に座っている。
そんな女子トークの中で、キララちゃんが『好きな人ができた』と告白してきたのだ。ビックリ。
「えっとねー、瑠璃も聞きたい?」
「そりゃ聞きたいよー」
「じゃあ言っちゃおうかなー」
「なんで焦らすのさー」
「実はねー…」
ドキドキ。
「ヒ・ロ・ト。キャー! 言っちゃったー!」
「えぇっ! ヒロトくん!?」
「えっ、ヒロトくんって、ヒロトくん?」
「瑠璃ってばー、他に誰がいるのよ。ニブチンねー」
「でもキララちゃん、前に『ヒロトは恋愛対象外ねー』って言ってなかった?」
今の亜里沙ちゃんがやったキララちゃんのモノマネはちょっと似てた。
「そうだったんだけどー、前にテレビでやってた『友達?or恋愛?』っていう恋愛診断があったのよ。それで当てはめてみたら、ヒロトがピッタリ当てはまったの! これってもう恋でしょ!」
自信満々にキャーキャー言うキララちゃんを前に、私と亜里沙ちゃんは顔を見合わせる。
「それって、テレビの診断でしょ?」
「テレビのってあんまり鵜呑みにしちゃうとダメなんだよ?」
「なによ二人して」
「じゃあヒロトくんのどーゆーところが好きなの?」
私が聞くと、キララちゃんはうーんと首を傾げた。
「さぁ?」
「さぁ、って…」
「ヒロトくんと付き合いたいの?」
今度は亜里沙ちゃんの質問。
「ヒロトかっこいいからなぁ。なんかモテそう」
「全然答えになってないじゃん…」
見当違いの答えしか返してくれないキララちゃんに、私と亜里沙ちゃんは困った。
そんな私たちを見て、キララちゃんはベッドから降りて、私たちの前にぺたりと座った。そして顔を近づけて言う。
「あのね、そのテレビではね、男の子を一人思い浮かべて、そのことエッチしたいかって思って、したいって思ったら、それは恋なんだって言ってた」
「エッチって…」
「エッチはエッチよ」
キララちゃんから顔を背けて、真っ赤になる亜里沙ちゃん。
「エッチなこと?」
「もしかして瑠璃ちゃん、わかんない…?」
私が首をかしげると、キララちゃんと亜里沙ちゃんは顔を見合わせた。
「…さすが瑠璃ね」
「えっ、何? どういうこと? チューとかするってこと?」
「いやいや、冗談でしょ?」
「え?」
「えっ? マジ?」
「瑠璃ちゃんはわからないって。私としては、瑠璃ちゃんはわからないままのほうがいいと思う」
「何の話? 亜里沙ちゃんはわかるの?」
「えっ!? えっと…一応…」
「エッチなことって、具体的に何するの?」
「ええっ!? わ、私に聞くのっ? キ、キララちゃん、パスっ!」
キララちゃんの腕にタッチした亜里沙ちゃんは、顔を埋めるように枕にうつ伏せになった。
「わ、私が教えるの!? えっと…じゃあちょっとやってみる?」
「今出来るの?」
「わー!! ダメだって! そんなこと女の子同士でやったらダメだって!」
「ダメなの?」
慌てて私とキララちゃんの間に割って入ってくる亜里沙ちゃん。
なんか私だけ仲間はずれになった気分だ。むむむ。
「じゃあ正親さんに今度聞いてみる」
「「それはダメ!!」」
私がそう言うと、二人揃って止めてきた。
「じゃあどうすればいいのさー」
「る、瑠璃ちゃんは知らないほうがいい! そのほうが可愛いもん!」
「きっといずれ知ることになるから、今はまだ知らなくてもいいと思うなー」
「…そうなの?」
「そうなの!」
「そうなんです! はい、この話おしまい! 私はヒロトが好きです! はい、おしまい!」
「あっ、結局ヒロトくんのどこが好きなの?」
「かっこいいとこ! なにげに優しいとこ! 多分この二つ!」
そうやって言うと、キララちゃんの顔がちょっと赤くなった気がした。
でも、隣で顔を押さえている亜里沙ちゃんの顔のほうがもっと赤かった。
んー。正親さんがダメなら、今度恭子ちゃんに聞いてみよう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
この年頃の女の子が何を話してるのかわかりませんw
100%妄想です。
なので、内容に関しては突っ込まないでいただけると幸いです。
なお、前回より「女の子、娘にしました」は不定期更新となっております。
詳細は活動報告をご確認ください。
ごめんなさい。
次回もお楽しみに!




