立石瞳は色々考える
私、立石瞳。今日から二泊三日でお兄ちゃんと立花家の思井沢の別荘に行く事になっている。勿論、お兄ちゃんと玲子さんを出汁にして洋二さんと二人きりで楽しむ為に。
お兄ちゃんと一緒ならお父さんもお母さんも何も思わない。それに私と洋二さんが上手く行っている事を喜んでいるし。
本当は洋二さんと二人で車で行きたかったけど、流石にそれは出来ない。洋二さんは玲子さんと一緒の車。私はお兄ちゃんと一緒に我が家の車で行く事になっている。向こうでの待ち合わせ時間は午前十一時。向こうで一緒に食事をしようという事だ。
「お兄ちゃん、早く、早く」
「待てよ瞳。まだ午前八時だ。今から行ったら時間持て余してしまうぞ」
思井沢まではここから二時間半。休憩を入れても今出れば一時間前には着いてしまう。
「いいの。早く行って待っていればいい」
「まあ、それはそうだが」
瞳が車止めに停まっている家の車に行こうと玄関を開けると
「達也、瞳を宜しくね」
「母さん、大丈夫だよ。こいつは俺が居なくても問題ない」
「そう言う意味で言っていないわ。分かっているでしょ。瞳はまだ高校生よ」
「あっ、そういう事か。分かった」
「ふふっ、お母さん。私はお兄ちゃんとは違います」
「安心はしているけど、あういう所は開放的になるから」
「大丈夫です。安心して」
洋二さんとはまだキスもしていないけど、本当はちょっとだけ期待していたりして。えへへっ。
車に行くと後部座席のドアとトランクを開けて運転手件セキュリティの滝田さんが待っていた。
瞳は乗り馴れているらしく
「滝田、宜しくね」
「お嬢様畏まりました」
「滝田さん、久しぶりだね」
「達也様、お久しぶりでございます。お荷物をお持ちします」
「いいよ。スポーツバッグ一つだから」
二泊三日なら男は着替えなんて大した事無いけど、何故か瞳は多いな。バッグを二つも滝田さんに預けている。やっぱり女の子は多いな。
俺達が後部座席に乗ると滝田さんがトランクを閉めて運転席に座り車を始動した。お母さんが見送ってくれている。俺の時はこんな事無いから、やっぱり瞳は心配らしい。
最初一般道を走って途中から高速に乗る。家の車にはほとんど乗ったことが無い。瞳は結構利用しているらしく、運転席に座る滝田さんと楽しそうに話をしている。話が切れた所で
「達也様が車にお乗り頂いたのは、もう十年近く前になりますね。本当にお久しぶりでございます」
「もうそんなになるかな?」
「私も今年四十を超えます。立石家にお勤めさせて頂いてから十五年。本当にありがたく思います。立花様の別荘は立石家の別荘がある所から結構近くにあります。瞳様は昨年もご利用していますが、達也様は、五年ぶりですね」
「そうか、そんなになるか」
そう言えば中学の時に利用したきりだな。高校では色々有ったからな。
そんな話をしながら途中、高速で十五分程休憩を取ってから更に向かった。思井沢の別荘地区から少し離れた温泉の出る地域にある。そこに立花家の別荘がある。我が家の別荘からも大分近い。
景色を見ながらのんびり乗っていると前に見たことがある景色が現れて来た。五年間経ったが、この辺はあまり変わっていない。
この辺で別荘を持っている人達は、別荘を買うのではなく、ある程度の広さの土地を買ってそこに自分達用の別荘を建てるからだ。
我が家の別荘も三百坪はある。三頭家と比較したら猫の額にもならないが。
やがて
「達也様、瞳様。着きました。お約束の時間までまだ小一時間あります。どうなさいますか?」
さて、どうするかと迷っていると鉄の飾り扉が内側に開かれた。中から
「達也さん、来て下さったのね。さっ早く中に」
一緒に洋二さんもいる。俺達は車ごと門の中に入ると三十メートルほどして別荘の車止めに着いた。
降りて全体を見るとでかい。二階建ての大きな建物だ。入り口には片側七人ほどの人達が両側に立っている。一番先頭にいる初老の男が
「立石様。お待ちしておりました」
深々と頭を下げた。
後ろから
「達也さん。ここの責任者の中川です」
「中川です。皆様が楽しんで頂けるよう全員で準備を致しております」
「ありがとうございます。立石達也です。こちらは俺の妹の立石瞳です。三日間宜しくお願いします」
「畏まりました」
「さっ、達也さん。お荷物は従業員に運ばせます。先ずはこちらへ」
俺達が乗って来たトランクから俺と瞳の荷物が降ろされると滝田さんが、
「達也様、お嬢様、明後日お迎いに伺います。ゆるりとお楽しみ下さい」
「ありがとう」
車が出るのを見送ってから俺達は中に入った。瞳はちゃっかりと洋二さんと楽しそうに話をしている。
責任者の中川さんが、最初に入口に入った。
「こちらがフロントでございます。ここは皆様が外からお帰りになられました時に一時のお休み場としてお使いください。何か必要な物はフロントに居る者に申し付け下さい」
その後、我々の荷物を四人の人が別々に持って二階に上がった。エレベータも有ったが、流石に階段を使わせて貰った。
「達也さん、瞳ちゃん。それぞれのお部屋に荷物を置きましたら、少し早いですが昼食に致しましょう。一階の奥にダイニングが有ります」
「分かりました」
二階はざっと見ただけでも八部屋ある。俺は階段上って左側のとても景色のいい部屋に通された。瞳の部屋は俺の隣だ。
部屋に入るとクイーンサイズのベッド、サイドボードにはグラス類が入っていて上に五十インチのテレビが置いてある。別荘にテレビはピンとこないが、必要な人もいるんだろう。俺は使わないけど。
更に窓側にはテラスがあり、簡単なテーブルセットが置かれていた。シャワールーム兼レストルームもある。中々広い。
俺はスポーツバッグを部屋の中のテーブルの傍にある椅子において、ドアに向おうとしたところで玲子さんが入って来た。
「達也さん、お気に召しまして?」
「凄いですね。西伊豆の別荘も凄いですけど、ここも凄いです」
「ふふっ、気に入ってくれて嬉しいです。普段はお父様の仕事関係の方もお使いになりますが、今回は私達だけです。ゆっくりと楽しみましょう」
そう言うと思い切り抱き着いて来た。
「こうして居られるのが嬉しいです」
少しして
「達也さん、ダイニングに行きましょうか」
一階に降りて入口から見て右方向に行くと三十畳は有るかなと思われるダイニングが有った。既に瞳と洋二さんはテーブルに着いている。しっかりと並んで座っている。
俺達も並んで座った。俺の前に洋二さんがいる並びだ。既にテーブルにはお昼には少し多いのではと思う位の料理が並べられている。
洋二さんが、
「達也君、瞳さん。二泊三日と短いですけどこの休みを大いに楽しみましょう」
「お兄様、堅苦しい言い方は止めて、もっとラフに行きましょう」
「そうは言っても玲子、大切なお客様だぞ」
「いえ、達也さんと瞳ちゃんはお客様では有りません。とても私達にとって大切な人達です。お客様ではわざと距離を開けるような言い回しになります」
「あの、その辺で…」
「ごめんなさい。達也さん、兄は堅物な所が有って」
「玲子お姉ちゃん、洋二さんはそんな事ありません」
「「「えっ?!」」」
瞳以外が同時に驚いた。もう洋二さんとそんな関係に?少し不安になって来た。
「ふふっ、瞳ちゃん、兄を宜しくね」
「はい」
何故か洋二さんが赤くなっている。やっぱり心配いらないか。
そんな会話が始まりでゆっくりと昼食を四人で楽しんだ。その後、
「達也さん、瞳ちゃん。この後は自由時間にしましょうか。私は達也さんと一緒に。お兄様は瞳ちゃんと一緒で良いですね」
「構わないですけど」
俺は瞳を見ると嬉しそうな顔をしている。
「後、兄と瞳ちゃんにはセキュリティがお二人には見えない様に付きます。ご迷惑と思いますが、御心得下さい。私達には達也さんが居るので付きませんけど」
瞳が居るから心配ないと思うが、やはり兄としてはセキュリティが居てくれた方が安心する。
一度部屋に戻って着替えて一階に行くと瞳と洋二さんはいなかった。先に出かけたのかな。ちょっとして玲子さんが降りて来た。
「達也さん、行きましょう。私達の夏休みを思い切り楽しむ為に」
何となく、不安がよぎったのは気の所為かな?
――――――
前段階が長くなってしまいました。次回は瞳と洋二の別荘ライフ中心の話になります。
次回をお楽しみに。
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