立花家の来訪
明けましておめでとうございます。
更新は少しスローになりますが、完結までもう少し?です。
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俺、立石達也。午前中早苗と一緒に初詣に行った後、瞳と一緒にリビングでテレビを見ながらのんびりしていると母さんが
「立花家の皆様がいらしたわよ」
何故か瞳が思い切りよく立ち上がって玄関に行った。
「達也、瞳何か有ったの?」
「さあ?」
玄関に行くと門前の車止めに今年は二台の大きな黒塗りの車が止まっていた。俺の知っている沖田さん以外にも明らかにセキュリティと分かる人が数人いる。
始めに玲子さんの父親の立花洋一さんが降りて来た。もう一つの車からは俺の知らない男性が降りて来た。和服姿だ。
そして父親に続いて玲子さんが降りて来た。今年もピンクを基調とした和服姿で髪をアップして綺麗な簪を付けている。
父さんが玄関先に迎えに出た。
「立花さん、挨拶は後にして、先ずは中にお入りください」
「立石さん、ありがとうございます。その前に紹介します」
横にいる男に目配せすると
「息子の洋二です。お見知りおきを」
「初めてお目にかかります。立花家の長男立花洋二です。宜しくお願いします」
「立石達司です。こちらこそ宜しく。先ずは中へ」
「ありがとうございます」
立花家の人達が客間となっている和室に通されると上座に父さんと玲子さんの父親が座り奥側玲子さんの父親の右手側にこちらを正面にして洋二さんが座り、次に玲子さんが座った。
俺は手前側父さんの左手側に座り、俺の左横に瞳が座った。何故か洋二さんが少し驚いた顔をしている。
既に料理は並べられている。お膳の上には父さん達はお神酒が金の盃に注がれて、俺達にはジュースが入ったグラスが置かれている。皆がそれを持つと
父さんが
「では、改めて立花家の方々明けましておめでとうございます」
次に
「立石家の方々、明けましておめでとうございます」
父さん達は飲み干し、俺達は少しだけ飲むと盃とグラスをお膳に置いて
「洋二君と達也は初めてだな」
「はい、父さん」
「洋二君とはお前が立石産業に入った時から仕事が始まる。今の内に懇意にして置いてくれ」
「分かりました」
「洋二、先に立石さんに言われてしまったが、お前も心して置く様に」
「分かっております」
俺、立石達也。玲子さんの兄は始めて見るが結構なイケメンだ。背も高い。相当にもてるだろうな。俺なんかとは大違いだ。いずれ仕事で関係する事になるだろうが今は挨拶程度でいい。しかし、さっきから瞳がこいつを見ているがどうしたんだ?
俺、立花洋二。立石達也とは初めて会うが、中々の剛の者だな。玲子から少し話は聞いている。玲子は頭脳明晰、容姿も良い、前の学校では男など興味持たなかったが、この男と会ってからは人が変わったように女性らしくなった。関係も進んでいるみたいだ。俺には分からない良さが有るんだろう。いずれは仕事で関係を持つ人間、ここは丁重にしておくか。
「お父様、私を紹介して下さい」
「瞳、並びだ。焦る事は無い」
珍しいな。どういう事だ?
「立花さんと玲子さんは知っているから、瞳を紹介するのは洋二君だな。洋二君。娘の瞳だ。背も高く武芸も達者だが、妻に似て美人に育った。これから仲良くしてやってくれ」
「立石瞳です。宜しくお願いします」
手を合わせてお辞儀をした所為かはっきり見えないが、何故か瞳が顔を赤くしている様だ。
「瞳さん、立花洋二です。これから宜しくお願いします」
「そうだ、達也、玲子さん、それと洋二君、瞳。四人で初詣に行って来てはどうか?」
「そうですわね。達也さん行きましょうか」
「そうですね。瞳はどうする?」
何故か瞳がじっと洋二君を見ている。洋二君何を悟ったか
「瞳さん、俺と一緒に初詣行ってくれますか」
「はい!」
父さん達がニヤニヤしている。おい、まさか?
玄関を出て門の所まで行くと沖田さんと他のセキュリティが深々と頭を下げた。我が家の者も入れると六人以上いる。裏にもいるはずだから随分にぎやかな光景だ。
「お兄様は瞳さんと一緒に歩いて下さい。私は達也さんと歩きます」
突然の玲子さんからのカウンターに俺と洋二君が含み笑いをしてしまった。
「達也さん行きましょう」
「そうですね」
神社まで歩いて十分だが、歩道を歩いていても相当の視線を浴びる。主に玲子さんと瞳にだ。正月の着物を着ている所為もあるが、注目するだけの美しさは有るからな。
神社の参道に着くと午前中と変わらない人手だ。
「達也さん、午後なのに凄い人手ですね。去年も多かったですけど」
「ええ、この辺では有名ですからね」
益々視線が多くなった。初詣を終わって帰り側を歩いている人達のほとんどが目線を向けて来る。
私、立石瞳。何故か玲子さんのお兄様洋二さんを見ると何か顔が熱くなる。こんな事初めてだ。身長は兄さんと同じか少し低い位だけど、結構なイケメンだ。モテるのかな?
「瞳さん、あなたもこの神社には毎年いらしているんですか?」
「はい、友達と来ています」
「そうですか。それでは俺が友達との初詣を邪魔してしまいましたか」
「そ。そんな事ありません。今年は始めからこうするつもりだったので」
「えっ?」
あっ、不味い。私何言っているの。冷静になるのよ私。
「いえ、一応このケースも考えて友達とは後日に約束しています」
俺、立花洋二。この子、どういう意味なんだろう。初めてデパートで偶然に見た時は、背の高い女の子そして可愛い女の子位に思っていたが、こうして着物を着て化粧をしていると相当に綺麗な子だと分かる。達也君の一つ下という事は今年十八才か。俺は今年二十五だから七才差になるのか。俺何考えているんだ。もう境内が目の前だ。
俺、立石達也。俺達は四人で一緒に参拝すると横にずれた。
「達也さん、おみくじはしました?」
「はい、午前中に」
「そうですか。では私だけしますね」
「瞳も引いたらどうだ」
「洋二さんは?」
「俺も引きましょう」
瞳なんで洋二君に聞くんだ?
それぞれお金を入れて札番の付いた棒を取り出すと棚からおみくじを取り出した。
「あら、今年は大吉だそうです。待ち人来ますと書いて有ります。達也さん見て下さい」
「良かったですね」
ふふっ、これでまだ十分に希望が持てます。
「瞳さん、俺は中吉でした」
「私も中吉です。でも待ち人来ますと書いて有ります」
「同じですね。俺のにも同じ事が書いて有ります」
「良かった」
うん?瞳どういう事だ?
「玲子さん、ゆっくりと歩いて帰りましょう。父さん達はお酒を飲みながら話に花を咲かせている事でしょうから」
「そうですね。参道の横にある茶屋に寄って行きましょうか」
「瞳達はどうする」
瞳が洋二君をじっと見ている。身長差と言っても数センチだ。草履のお陰でほとんど変わらない。洋二君も瞳と視線を合すと
「そうですね。瞳さん寄って行きますか」
「はい!」
おい、本当かよ。
茶屋に寄るといきなり玲子さんが
「洋二兄様、瞳さんと良くお似合いですよ。達也さん、お兄様は今年二十五になりますが、まだ彼女一人いないんです。瞳さんがなってくれると私は嬉しいのですが、お父様もそう思います」
「「えっ!」」
何故か洋二君と瞳は下を向いて顔を赤くしている。こりゃ本物か?しかし玲子さん、まさかの方法に出て来るとは。
俺達は三十分程茶屋にいた後、家に帰った。案の定、和室では父さんと玲子さんの父親の洋一さんの笑い声が聞こえてくる。
俺達は仕方なく、リビングでテレビを見ながらお節を摘まんでさっきの話の続きをしていると時計が午後五時を回った。
廊下から足音がして
「洋二、玲子そろそろ帰るぞ」
「「えっ!」」
何故か洋二君と瞳が同じ反応をした。それを見た父さんと洋一さんが何故かニヤニヤしながら
「瞳、洋二君と連絡先は交換したのか?」
「えっ、そんな始めての方にはしたない」
「おや、本当にそれでいいのか」
「…良くありません」
「はははっ、立花さん、縁とは面白いものですな」
「その様です。立石さん、仕事以外でも末永くお付き合いください」
「立花さん、こちらこそ宜しくお願いします」
「「はははっ」」
何故か、父さんと洋一さんがまた笑った。
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意外な展開が。
次回をお楽しみに。
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