お正月がやって来た
更新遅れてすみません。
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俺、立石達也。去年は色々あったが、無事に年が明け正月を迎える事が出来た。午前六時、起きるには少し早いが一年の計は元旦にありという諺もある。あえて起きる事にした。
今年は早苗からの連絡はない。当然今日も午前中に行く事になっているからだろう。しかし去年の正月の事、早苗と正式に交際する事を親に初めて報告した事を考えれば大きな進展だ。
大学卒業後結婚する事を正式に両親に報告したし、涼子、玲子さん、加奈子さんにも話してある。今年は横に逸れる様な新たな進展がない事を願いたいところだ。
顔を洗って一階に行くと今年も妹の瞳はリビングで年始のテレビを見ていた。父さんは新聞を読んでいる。例年通りだ。
キッチンからは母さんの声が聞こえてくる。お手伝いさんと一緒にお客様お迎え用の料理を作っているんだろう。客を迎える和室の方でも準備が進んでいる様だ。
今年の正月の予定は変わらないはずだが、念のため父さんに聞いてみる事にした。
「父さん、今年の正月の予定は去年と同じ?」
「ああ、同じだ。今日の午後に立花さんが来る。そう言えば、玲子さんの兄の洋二さんも来ると言っていたな。理由は分からないが。明日は三頭家の方達が来る。三日目からは例年通りだ。爺さんも朝から来るはずだ」
父さんの言葉に何故か妹の瞳が目を見開いて反応している。どうしたんだ?
「父さん、三日は朝から来客がある?」
「いや、午後からだ」
「じゃあ、午前中は出てていいかな?」
「構わないが」
涼子が初詣に行きたいと言っていたが、日にちが見えなかったので返事を保留にして置いた。後で連絡をしておこう。
午前八時になり家族でダイニングに集まった。正月の家族内輪での挨拶の後、母さんの手作りのおせちを食べた。市販品を使わないだけに相当に手が込んでいる。そして美味しい。
早苗も俺と一緒になったら大変だな。そんな事を思いながら食べ終わると俺は自室で和服に着替えた。少し部屋で本を読んでいると
コンコン。
ガチャ。
「お兄ちゃん、早苗お姉ちゃんが来たわよ」
「そうかすぐに行く」
瞳は、母さんに着せて貰ったのだろう赤を基調とした和服に着替えていた。背が高い所為もあるが見栄えが良い。兄の俺から見ても瞳は本当に綺麗だ。母さんによく似ている。
リビングに行くと早苗が珍しく父さんと話している。俺に気付くと
「達也、明けましておめでとう」
「明けましておめでとう、早苗」
「じゃあ行こうか。父さん行って来るね」
「ああ行って来なさい」
早苗は水色を基調とした和服だ。髪の毛をアップして可愛い簪をしている。化粧もしている所為か可愛さがいつもより増している。
家の中では手に持っていた白いファーを玄関先で首に回すと
「達也行こうか」
「ああ」
二人で門から出た後、
「早苗、父さんと何を話していたんだ」
「別に、普段話よ。達也がモテて困っているとか、中々他の女と別れないとか」
「それって普段話か」
「達也が普段そうだからよ」
「…………」
正月から辛らつだな。
家から十分程の所にある神社に着くと時間が良いのか結構な行列だ。参道は人がぶつからない様にロープで行きと帰りが分けられている。
「今年も混んでいるわね」
「ああ、この辺じゃ有名な神社だからな」
「達也、今年はいよいよ高校卒業だね。大学は二人きりで行きたいな。どうしても無理かな?」
「早苗、気持ちは分かるがこればかりはどうしようもない。だが、大学も卒業すればお前とは一緒になるんだ。後たったの四年だ」
「四年だって十分長いよ」
周りの人が俺達の話を聞いているのか、俺の最後の言葉で驚いた顔をしているが無視を決め込んだ。
そんな話をしながら途中で手を清める為の洗い場で手を洗うと少しして境内に着いた。やがて順番が来ると賽銭箱に賽銭を入れ、二礼二拍一礼をして横にずれた。
「達也は何を願ったの?」
「そういう事は言わない方が良いんじゃないか。言うと叶えられないって聞いたぞ」
「そうだけど。私は達也と二人で大学に行けます様にって」
「それって始めから無理だろう」
「でも神様が叶えてくれるかもしれないし」
「うーん、分からんが」
ここの神様ってそんな願い聞いてくれるのか?
「達也、おみくじ」
「そうだな」
お金をおみくじが入っている棚の脇にある箱に入れた後、札番が付いている棒の入った六角の箱を良く振ってから一本取り出した。
そしておみくじの入っている棚のその番号が書いて有る引出しを開けると一番上のおみくじを取った。
開いてみると大吉だ。中々だ。おみくじに書いて有る言葉を読んでいると
「達也はなんて書いて有った?」
「大吉だ」
「ずるーい。去年は同じだったのに。私は中吉」
「悪くないから良いじゃないか」
「でもーっ」
早苗が頬を膨らましている。とても可愛い。
「早苗、教えておくが今日の午後は立花家、明日は三頭家の来訪が有る。そして三日の朝は涼子の初詣に付き合う。そして午後からは父さんへの来訪者を一緒に迎える事になる。だから正月明けまでは会えない」
「分かっている。去年も同じだったから。でも本宮さんの初詣に達也が付き合うのは面白くない。分かっているけど」
「涼子とは今年までだ。来年からは行かない」
「分からないでしょ。彼女強行だから」
「良く話すつもりだ。どちらにしろ彼女には俺から離れて貰わないといけないからな」
「達也がそのつもりなら良いけど絶対そうしてよ」
「分かっている」
二人で話している内に家に着いた。
「じゃあ、達也夜の連絡は毎日してもいいよね」
「ああ、待っている」
「ふふっ、それなら許してあげる」
彼女が家の中に入るまで見送ってから俺も家に入った。午後からは玲子さんが来る。これはこれで去年とは違った重さになるだろう。
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さてどうなりますか。
次回をお楽しみに。
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