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投稿もれです 早苗と一緒にプールにお出かけ

えーっ、読者の皆様。

なんと41話と42話の間に本来投稿されていたはずの「早苗と一緒にプールにお出かけ」が未投稿のままになっていました。

ストーリーには影響はないですが、達也と早苗の初期の心模様が描かれています。

お時間有りましたら読んで頂ければ幸いです。



 夏物語は一話が長いです。


――――――


 私桐谷早苗。今日は八月七日達也と一緒にプールに行く日。あいつ…彼と高校生の間にこういうイベントするなんて思ってもみなかった。


 三頭さんや立花さんがあんなに積極的に達也にアプローチしている以上、もう大人しくしている訳にはいかない。

何故かって。いずれ私は達也と一緒になると何も考えずに思っていたから。


でもよーく考えるとこの状況も悪くない。今日は思い切り私の魅力を達也に見せて中学二年から今日まで恥ずかしくて出来なかった事をするんだ。


だから今日はしっかりと気持ちを持っている。もうすぐ彼が来るはず。私の部屋の窓から見れば…あっ、家の門を出た。私も直ぐ一階へ。


ピンポーン。


ガチャ。


「おはよう達也」

「たっちゃん、おはよう」

「おばさん、早苗、おはようございます」

今日もおばさんの後ろにいる。でもしっかりとお化粧しているみたいだ。


「たっちゃん、今日は早苗を宜しくね」

「はい」


 早苗がおばさんの前に出て来た。水色のTシャツに白い短パン、白のかかと付サンダルを履いて、手に大きめのバッグを持っている。


「お母さん行って来まーす」

「はい、気を付けてね。行ってらっしゃーい。今日は遅くてもいいわよ」

 うっ、またおばさん誤解を招く様な事を言っている。


「達也行こうか」

「おう」


 俺達は早苗の家を午前九時ちょうどに出ると駅に向かった。




「ふふっ、嬉しいな。達也と一緒にプールに行けるなんて」

「…………」

「達也は私と一緒にプールに行くの嬉しくないの?」

 こいつ何を言いだすかと思えば。


「あ、ああ嬉しいぞ」

「ぷっ、何その言い方。まあいいわ」


 最寄りの駅から電車に乗って九つ。ちょっと乗る距離だ。東京みたいに隣駅まで一、二分と言う訳にはいかない。

隣では何故か早苗がちょっと緊張した顔で景色を見ている。普段なら思い切り話しかけて来るのに。


「早苗、どうした?」

「うん、何でもない」

「…………」


 勢いで二人で来たのは良いけど、水着姿を見せるのは中学一年の時まで。あの頃はまだ体も幼かったから、達也に見られてもなんとも思っていなかった。


 でも今日は違う。私はもう高校二年生。体は大人と同じとは言えないけど十分成長している。達也に見せるはちょっと恥ずかしい感じがする。覚悟して来たんだけど。

 でもここで気遅れても前には進めない。


 プールのある駅に着いて改札を出ると

「さっ、達也行こうか」


 早苗が俺の手をいきなり引いた。

「お、おい」



入口でチケットを買って更衣室に別れて入る。まあ、男は簡単。五分もしないで着替えて更衣室の出口で待った。


 それから十五分位すると早苗が出てきた。

「うっ!」


 俺が知っている早苗と違っていた。この前買ったオレンジのビキニを着ているが、胸は、はち切れんばかりに大きくてビキニからはみ出しそうだ。

お腹にぜい肉は全くなく、腰は括れている。お尻は引き締まってきゅっっと上がっている。

 手には防水バッグとラッシュガードを持っている。顔が少し赤いのは気の所為か。


「達也待った」

「いやそんな事ない」

「ふふっ、どうかな」

「早苗、とっても似合っている。素敵だぞ」

「そ、そう。ふふっ、嬉しいな。さっ行こう」



「達也、あそこにしようか」

「ああ、いいぞ」


 監視員からは少し離れているが、プールからは近い。テーブルに座って、防水型の小物入れに貴重品だけ入れると

「達也、流れるプール行こう」

 椅子から立って俺の手を握って来た。今日はやたら積極的だ。




 やはりこれか、何故か早苗は浮輪に座って俺は側で立っている。


ぷかーっ、


ぷかーっ。


「ねえ、達也引っ張って」

「ああ、いいぞ」

 加奈子さんと逆だ。早苗がこっちを向いて座っている状態で浮輪を引っ張る。


俺が引っ張っていると

「もっと早く」

「良いのか?」


 俺は少し強めに引張り出した。

「うわーっ、気持ちいい。もっと引っ張ってー」


 おいおい、いいのかよ。思い切りグイっと引っ張ると


きゃーっ、


ザブーン。


 早苗が思い切り後ろにひっくり返った。何か見た様な光景だが。


「達也、引っ張り過ぎ!」

「…………」

 俺が悪いのかよ。


「ねえ、達也、波の出るプールに行こう」

「ああ、いいぞ」


 二人で立っていると波が来た。ジャンプしてそれを避けて遊んでいるのだが、


きゃーっ、

 早苗がひっくり返った。ジャンプのタイミングが悪くて波に足を取られた様だ。仕方なく手を引いて起き上がらせると

 うっ、いきなり抱き着いて来た。鳩尾辺りに二つの柔らかい物が…。


「達也、こうしている。これなら転ばない」

「えっ!」

「ねえ、いいでしょ」

 思い切り抱き着いて来ている。仕方なく波が来る度に早苗の腰辺りを持ってジャンプした。


「あははっ、楽しい。もっとやって」

「…………」

 ジャンプする度に早苗の胸が擦れるんだけど。


 早苗を何回も持ち上げていると流石に疲れた。

「おい、ちょっと休まないか」

「えーっ、もっとお」

 せっかく達也に抱き着いていられるんだから。ふふっ、でも抱き着くの慣れちゃった。結構気持ちいい。


「仕方ないなあ。少し休もうか」


 二人でテーブルに戻ると

「達也、喉渇いた。飲み物買いに行こう」

「俺が買って来るよ」

「ううん、私も行く。だってえ」

「そうだな」

 確かに早苗の言う通りだ。これだけの容姿だ。その危険性は十分ある。二人で売店に行くと結構並んでいる。


「早苗何がいい」

「うーん、イチゴシェイク」

「分かった」


 早苗を列から少し離れた日陰に待たせて、俺が並んだ。結構待つな。やっと買えて早苗の所に戻ろうとして後ろを向くと


 やれやれ、ここだったら人も多いし、問題ないと思ったんだが。

早苗が茶髪のチャラ男二人に囲まれている。


「お姉ちゃん、可愛いいね。僕達と一緒に遊ばない」

「友達と一緒に来ているので断ります」

「いいじゃない、その子とも一緒に遊ぼうよ」



「おい、俺と一緒に遊びたいのか。相手してやってもいいぞ」


「おうおう、見かけがっしりした野郎じゃないか。でも両手が塞がっているよな。これはどうだ」


 いきなり蹴って来た。馬鹿か。俺は両手に持った飲み物を漏らさずにスッと体を後ろに引くと蹴って来た膝をめがけて蹴りを入れてやった。


「げっ、ひ、膝が」

「大丈夫だ。折れちゃあいない。そっちもやるか」

「い、いえ。お、おい行くぞ」


 もう一人の茶髪頭が、俺に蹴りを入れて来た奴に肩を貸しながら去って行った。


「「おおーっ」」

「すげえなあ」

「やっぱり男は女を守らないと」

「あんた、私が同じ目に遇ったら守れるの」

「…………」

 なんか、周りから拍手もされている。


「お、おい。早苗行くぞ」

 早苗にシェイクを渡すと


「ふふっ、達也なら安心」

 俺の空いている腕の方に抱き着いて来た。

「い、行くから」


「いいなあ、私もあんなに強くてシャイな彼にすればよかった」

「お、俺じゃあだめなのかよ」

「駄目!」


 後ろの方で、何か声が聞こえるが無視をした。



 テーブルに着くと

「ありがとうね。やっぱり達也がいい」

「えっ?」

「何でもない」

 何故か早苗が赤くなって下を向いている。


 買って来たかき氷を食べていると

「ねえ、達也それ私も頂戴」

「ああ、いいぞ」

 俺はイチゴミルクかき氷。夏はやっぱりこれだ。カップのまま早苗に渡すと


「ねえ、食べさせてよ。いいでしょ」

「…………」

 こいつ、俺をからかっているのか。


「小さい頃は、食べ合いっこしたじゃない」

「わ、分かったよ」


 仕方なく、スプーンにかき氷を一かきして口に持って行くと

「ひゃー。冷たくて美味しい。今度はイチゴミルクがシャーベットになっている所」


 注文付けて来やがった。仕方なく、本当は一番美味しい所なんだが、そこをスプーン一杯すくって早苗の口に運ぶと

「美味しい。私のそれにすれば良かったなあ」

「交換するか?」

「うん」

 達也は、私が口を付けたストローを何の躊躇もなく吸っている。本当は思い切り間接キスなのに。

 私も達也のスプーン普通に口に運んでいるけど。



「ねえ、食べたらあれやろう」

 うっ、ウォータースライダーだ。


「やりたいのか」

「うん」




 早苗が後ろから抱き着いて三回も遊んだ。いくら幼馴染とはいえ、ちょっと厳しい。


「早苗、休もうか」

「えーっ、もう一回」

「そ、そうか」


 俺の感性は限界になった。


「達也大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。少し休もう」

「達也、もう午後一時になっちゃた。お昼にしようか」


 俺達はそれから昼食を兼ねて一時間位休んで、また波の出るプールで遊んだ。早苗にべったりと抱き着かれながら。



「達也、もう午後四時近いね。帰ろうか」

「そうだな」




 更衣室で着替えて出口で待っていると早苗が出て来た。髪の毛はまだ少し濡れている。

「達也、待ったあ」

「いや」


 いきなり俺の手を握って来た。

「えへへ、いいでしょう」

「…………」



 今日は思い切り達也に甘えさせて貰った。もちろん私を思い切りアピールしたけど。本当は、もっと先に進みたいけど私にはその勇気がない。


 もちろん達也が誘ってくれれば文句なく許すけど。私の初めては達也以外に居ない。だからもう少し待っていて達也。私の心の準備が出来るまで。




 早苗が帰りの電車で俺に寄りかかりながら嬉しそうな顔をして寝ている。今日は楽しかったようだ。良かった。家に着く頃にはもう午後六時近いけど、これでいい。

 こいつは俺にとって大切な幼馴染。守るのは俺だ。




 早苗の家に着いて


ガチャ。

「お母さんただいまあ」


おばさんが玄関に出て来た。

「お帰り早苗、たっちゃん。早いわね。お母さんもっと遅いかと思ったのに」

「「えっ!」」

「たっちゃんだったらいいのよ。早苗だってそれ望んでいるでしょう?」

「お母さん!」


 二人で下を向いた。顔が赤くなったのが分かる。




 俺の家は早苗の家の隣。数秒しかかからない。自分の部屋に入るとベッドの上に乗って


 早苗かあ。おばさんあんな事言っていたけど、早苗はどう思っているのかな。玲子さんだったら早苗の方がいいな。気を使わなくていいし。俺の事良く知っているし。


 でも、俺加奈子さんに責任ある事しちゃったし。加奈子さんは自分の責任でしたと言っていたけどそんな訳にはいかない。


 はあ、どうしよう。


――――――


 ふむ、幼馴染とは健全にですか。良い事です。


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。



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