女子テニス部の復活その二
前話の続きになります。
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私、四条院明日香。昼食を摂り終えると玲子と一緒に2Aにいる南部和人を訪ねた。入り口にいる男の子に
「ねえ、南部君いる?」
「えっ、いますけど。南部お前を訪ねて来た人がいるぞ」
例によって教室にいる全員がこちらを見た。
「おおーっ、この前の美人上級生とかわい子さん上級生だ」
「いいな、南部紹介してくれよ」
「うるさい」
俺南部和人、あの人達が来るたびに周りが五月蠅くなる。だけどこの前言っていた女子テニス部の復活をしてくれたのはあの人達みたいだし…。お礼は言っておくか。
俺は、女子テニス同好会のリーダー的存在の来宮美紀に声を掛けた。
「おい、来宮ちょっとこいよ。一応お礼ぐらい言わないと」
「えっ?」
来宮は入口を見ると目を大きく見開いて
「あっ、四条院先輩」
彼女は俺を差し置いて入口に急いで行った。
俺達は入口に上級生に近寄ると来宮が
「四条院さん、女子テニス部を復活させてくれたありがとございます」
「来宮美紀さんだっけ。ちょうどいいわ。あなたともちょっと話したいんだけど」
「今からですか」
「都合悪い?」
「いえ、南部君、君は?」
「いいですよ」
「じゃあ、この前の所で」
校舎裏の花壇の所に南部和人と来宮美紀を連れて来た。
「時間無いから手早く話すね。女子テニス部の部員募集の件なんだけど。夏休み前には行いたいの。どうかな?」
「それは賛成です。男子テニス部員の募集もまだ行っていますし。一緒にやれば良いと思う」
「南部君、急に言われても私何して良いか分からない」
「まあ、先生の許可取って掲示板に張り出して、校門か下駄箱の所で勧誘ビラ配りで良いんじゃないか」
「来宮さん、取敢えずそれで行こうか。部になった以上、予算がでるから、それ使って勧誘ビラを作ればいいわ。勧誘は今の同好会の三人と私でやる。玲子手伝ってくれる?」
「明日香、私は手伝わないって言ったでしょ」
「まあ、そうだね。じゃあ、取敢えず来宮さんと南部君で勧誘ビラのデザインと製作お願いね。予算とか手続きは白鳥先生に言えばいいわ」
「分かりました。四条院先輩、色々ありがとうございます。細かい事はまた後で相談させて下さい。ところで先輩はテニス部に入るのですか?」
「部員にはならないけど、偶に玲子と一緒にコートを使わせてくれると嬉しいな」
「入部頂けないのは残念ですけど、コートを使う位ならいくらでも声を掛けて下さい。先輩がいなかったら部への昇格は無かった。四条院先輩は女子テニス部復活の恩人ですから」
「あははっ、そんなに褒める事無いわよ。じゃあ時間無いから戻ろうか」
ちょうど予鈴が鳴った。
クラブ勧誘は、最初女子テニス部員になった三人が下駄箱で行ったが、人数も少ないので芳しくなかった。
そこで木曜と金曜日に達也の図書担当が終わるまで、私、四条院明日香と玲子、桐谷さんが勧誘ビラを配った。流石に本宮さんは辞退したけど。
しかし何を聞きつけたのか、男の子と女の子が集まって来て、二日間で勧誘ビラが無くなってしまった。
中には握手まで求めて来る男の子もいる。何勘違いしているんだろう?
そして翌週には、来宮さんの所に新規に二年生三人、一年生五人もの女子テニス部入部希望者が集まった。半分以上がテニス経験者だ。どういう訳か南部君の所にも男子新規入部者が三人来たそうだ。
入部した子達に聞くとやはり同好会だったという事が参加しない理由だったらしい。
私四条院明日香はいつもの様に昼食を皆で食べながら玲子と話をしている。
「ふふっ、これで部員数も問題ないわね。玲子偶にはテニスしようよ」
「明日香の行動力は中等部の時代から変わりませんね。達也さんとの時間以外なら考えなくもないですけど」
「うーん、玲子そんなにあいつの事好きなの?」
「あなたに彼の良さをいくら説明しても分からないでしょうから」
「へーっ、しかし信じられないわ。あの立花玲子がねえ、男を好きになるなんて。世の中分からないものね」
「明日香も同じでしょう。今の彼とはどこまで進んだの。まだキスもしていないんでしょ」
「こ、こんな所で言わないの。みんなが聞耳立てているじゃない」
「ふふっ、明日香、顔が赤いわよ」
「へーっ、四条院さんってそんなに奥手とは。知らなかった」
「桐谷さん要らない事言わないで!」
俺立石達也。四条院さんの行動力には目を見張るものが有った。女子テニス部復活騒ぎのおかげで勉強会とかの騒ぎにならずに済んだが気が付けば一学期期末考査そしてそれが終わって直ぐに模試が有った。
結果は中間考査と同じだ。俺の順位が二十位に上がった位だ。
そして後一週間で夏休み。例によって塾からは夏期合宿特別講習とか言って軽井丘という少し涼しい所で三泊四日も講習が行われる事になった。でもその前に夏期講習と人の心の不安を煽り立て足元を見る様な講習が始まった。
まあ、これで去年の様な事は無いだろうと俺は思っていた。
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はてさて、高校生最後の夏休み。どうなりますか?
次回をお楽しみに。
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