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73.顛末『すっかり火星に染まったらしい』

 <設置>スキルで一時的にオブジェクト化した緑の迷彩ポンチョを回収し、再び装備し直してバスから降りる。


 今の所<聞き耳>で捉えているのは、ギッシャがこちらに向ってくる音だけなので大丈夫だとは思うが……。


 念の為クロスボウに矢をつがえていると、ギッシャの客席から手を振るコットさんが見えたので、ホッとしてクロスボウを背中に戻す。


 近づくギッシャに声を掛けようとすると、ジェスチャーで口元に人差し指を当てていたので、理由も分からず黙って待つ事に。


 とにかくそのまま、ゆっくり目の前に止まったギッシャに乗り込み、走り出すのを待つと、コットさんの方から口を開いた。


 「よく無事だったな~!もし駄目なら街まで引き返そうかって話をしてたんだが……」


 「俺は大丈夫だろうって、言ったぞ?」


 「あの、危ない所だったんですけど何とかなりました」


 「明らかにレベル帯が上の二人相手に何とかなりましたってのが、よく分からないんだよな~……まぁレベル帯が違った所で銃で死ぬゲームだし、何とかなるもんなのかねぇ?」


 「まぁ、二人相手ってのは俺も遠目で見てヒヤッとはしたがな。牛車狙うような駆け出しに毛の生えたような連中が二人もバックアップ用意してるとか周到すぎるだろ」


 「えっと……あの人達って結局、何が目的だったんですかね?」


 「多分腕試しだろうな。バギーを手に入れたんで、誰かのプレイ動画かなんか見て真似しようと思ったんじゃないか?実際は火星の牛は足も早けりゃ、いざとなった時の気性の荒さも酷いし、だからこそネタプレイの動画にされるんだろうが、よく分かってない奴が真似して瞬殺そんな感じだろうな」


 「もっと先の牛の街でも牛に無闇に手を出す奴なんていないしな。結局俺も弾の一発も撃たずに終わっちまったしよ。それより……」


 「この動物って牛だったんですか!角も長いし、色も白黒じゃないのに!」


 「え?今更そこなのか?多分ラビが思ってる牛ってホルスタインなんだろうが、水牛とか見た事無いのか?」


 「いや、水牛にしてもこいつはでかすぎるし、角もごつすぎるから、ちょっと見た目には牛には見えないかもしれない……それよりだ!ラビはどうやってあの二人を倒したんだ?撃ったんだろ?ディテクティブスペシャル」


 ギッシャの目の前を走る大きな生き物を客席の隙間から見上げると、ジョンさんから珍しく、どうやって殺ったのかを聞かれた。


 「一応、罠ですけど……」


 二人は自分のたどたどしい説明をちゃんと聞いてくれる。


 まず、始めに仕掛けたのは後部座席の〔弓罠〕矢は動きを止める〔麻痺矢〕だ。


 そして、一番の肝は自分の目立ちすぎるポンチョを装備品から<設置>可能なオブジェクトにして、あとは糸で吊って動いてるように見せかけた。


 コレで敵二人共、後部座席に誘い出せれば逃げる事もできるかもしれないと思ったのだが、相手がどれ程のVITかも分からないし、念の為酸の罠や毒の罠など通路に念入りに仕掛けていった。


 最後に朽ちたバスに似合いのボロ布、かつて自分をPKした相手を探す為に着ていた不審者マントを運転席に被せ、自分はその運転席の足元に隠れた。


 そのままだと見つかる可能性があるかもしれないと、ただの木箱にも見える木製バックパックを取り出して自分の前に設置した時、バスのステップに人の足音が聞こえた。


 それまで好きに喋り散らかしてた敵二人が急に黙ったなとは思っていたのだが、どうやらバスに入る合図は無しに踏み込んだらしい。


 既にバックパックを出して完全に視界が切れてる自分からは、入り口の方が何にも見えない。


 いざという時の為に音を立てないようにこっそりと、イヤーマフを耳に掛け、グレネードを取り出して手に持つ。


 クロスボウじゃない理由は簡単で、今構えれば流石にばれるからだ。


 もう少し余裕があれば、何とか体勢を整えられたかもしれないが、急に入ってくるのだから仕方ない。


 イヤーマフの所為で足音だけが鮮明に聞こえ、近づくに連れて自分の呼吸も荒くなる気がする。


 「死ね!」


 急に聞こえた声と目の前に差し出された黒々とした物体に、体が強張り思わず手に持っていたグレネードを取り落とし、爆発した。


 物凄く驚いたものの、フワフワと自分の上に不審者マントが落ちてきて、動くかどうか迷いつつ、とりあえずその場で動かずにいると、急に今度は銃の乱射音が聞こえた。


 その後は次から次へと自分が仕掛けた罠が発動する音だ。


 如何にイヤーマフとは言え、完全に音を遮断するわけじゃないとは分かっていたが、思ったより近くの音は聞こえるようで、コレはいい発見かもしれない。


 そんな事を思っている内に、一番奥の足音が完全に止まり、麻痺罠に掛かったかな?と思って、運転席の足元から立ち上がった。


 すると、目の前に後ろを向いた人が立っている。


 敵は二人だったと、奥に行った足音は一つだったか……と、聞こえているのにちゃんと把握していない自分に嫌気が差したが、何故か相手は振り向かない。


 しかし先刻の会話で二人共、自分を狩る気だと言う事は分かってる。何よりバス内で銃を乱射したのがその証拠だろう。


 「隙を見せれば奪われる」


 ホルスターからディテクティブスペシャルを抜き、後頭部の赤く色づく部分を撃ち抜いた。


 引き金を引く瞬間までは肩に力が入っていた気もする。しかし麻痺している方を撃つ時には何の逡巡もなくトドメをさせた。


 ドロップ品はお金以外は使い道のなさそうな物だったので、どうしたものか。

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