163.因縁『悪友も友の内なのか?』
とりあえず、人だかりへと向かいイベントの内容を見に行ってみる。
すると、大きな立て看板が出ていて、そこには地図が描かれているっぽい?
「毎回少し地形が変わるんだが、あの島で最後の一組になるまで戦うのさ。サバイバルバトルロイヤル形式ってやつだな」
「一組って事は、何人かで組になるんですか?」
「タッグチームなんで二人って事ですよね。バトルロイヤルも何となく分かりますけど、サバイバルの要素は?」
「武器・防具・アイテム類の持ち込み禁止でな。最初に支給される最低限の道具類以外は現地調達しながら、戦わなくちゃいけないんだわ」
「じゃあ生産系の人が強い訳ですか」
「そうでもないんじゃないですか?バトルロイヤルじゃ戦わなくちゃいけないんだし……しかも最低限の道具類って事は、武器も最初は無し?」
「一応はあるんだけどな……まぁ、攻略見ればわかる事だし多少は説明しちまってもいいか。最初は水と携帯食とナイフに一番最初期に着ていたあの初心者服だけだ」
「割と充実してる」
「いや、それでどう戦うんです……へ?ラビさんそれで行けるんですか?」
「ラビなら確かに、なぁ……基本自給自足だし、よく考えたらラビ用のイベントなのかもな」
「そうなんですか?でもクロスボウをどうやって調達しようか……弓罠があるから何とかなるか?とりあえず〔廃品〕かなんか見つかれば、いける気がする」
「凄い!そのクロスボウって敢えてその装備だったんですね!一から全部手製で揃えるこだわり様!道理でなんか他のプレイヤーとは雰囲気が違うと思った!」
「うん、雰囲気が違うっていうか、相当な変人だとは思うけども!イベントの話に戻ると、大抵は生産職と戦闘職で組んで、素材集めをしながら他のプレイヤーを倒していくわけだが、ただ作るだけじゃ、それこそラビみたいなのしか勝てないだろ?」
「そうなんですか?」
「そうだと思いますね。素材から全部作るなんて相当難しいと思います」
「ああ、だから普通に銃とか防具も手に入れられるんだ。要は宝探しみたいな感じか?ヒントを元にイベント中のみ使えるコインを集めてNPC闇武器商人から購入したりとか」
「つまり、戦闘に生産に謎解き要素まである?」
「やっぱりラビさんしか勝ち目がない!」
「そうなんだよな~」
「そうなんですか?」
「そうですよ!」
そんな事を話していると、地図に何やら書き込まれていくのが見えた。
「ああ、結構埋まって来てるな。スタート地点は先着順で、地形的に有利な場所や何かありそうな場所がどんどん取られていくんだ」
「へ~そうなんですか。そっか少しでも早く受付していいポジションを確保した方がいいんだ」
「ラビさんは行かなくていいんですか?」
「いや、行くも何も、一人じゃ参加できないだろ。タッグチームのイベントなんだから」
「うん。二人は出る気ないですもんね?」
「レーヴェがいないと戦えないので、無理だと思います」
「俺はガンスミスだから他の物は作れないな」
「じゃあ、自分もパスかな……あ!あれ!」
地図の横に何やら書いてあると思い、何とはなしに目を向けるとそこにはクロスボウの写真がある。
しかもそのクロスボウは何やら紐の通し方が特殊で、どう見ても滑車らしきものが装着されていると来た。
「あ~!賞品ですか?見た事がない物が多いですね」
「確かに、このイベントの賞品ってネタ装備みたいなのが多いんだよな。にもかかわらず、結構参加者がいてさ。タッグチーム系の大会目指す奴らにとって結構穴場になってんだよ」
「穴場ですか?」
「大会に出るには一定数の同系統イベントでの実績が必要になるんですもんね。賞品があまりおいしくないから競合が少ないみたいな感じですか?」
「そういう事だな。だからこそ確かにラビでもチャンスはあるのかもしれないんだが……」
穴場と言う話を聞いて、尚更出てみたくなってきた。
あのクロスボウはどう見てもコンパウンドクロスボウだ。
そろそろグレードアップじゃきつくなってきた自分のメインウエポンの次の段階の武器じゃないだろうか?
いや、自分のクロスボウもこれはこれで悪い物じゃないんだろうけども、射程は短いし、威力も低い。
確かに愛着はあるし、海の中で使う分には悪くない気もするが、地上で使うには少々活躍の場面が減っている気もする。
何とかならないものかと、周囲を見渡す。
すると、まるで自分と同じような動きをする人物に目が止まり、間もなく向こうもこちらを見て動きが止まる。
「秋……ラビ」「辰……タツ」
「「あの……」」
「なんだよ!」
「タツはこのイベント出るの?」
「……あれ……」
顎でしゃくって指す方にはやたらと大きな銃の写真があった。
「自分はあっち」
そう言うと、自分の欲しいコンパウンドクロスボウの方を見やる。
再びお互い目が合い、何となく言いたい事は分かった。
どうしようもない付き合いとは言え、お互い両親の事すら知ってる幼馴染ってやつだ。
子供はそうでなくとも親が仲良ければどうしたって顔を合わせる機会は多い。
嫌な思い出は多いが、いじめるという程の事をされた訳でも無し、ここは手を組むか?
「嫌でも我慢してきたのはお互いだろ?」
「確かにそれはそうだけど……分かった」
二人で受付をして、地図の外れの岩場にスタート地点を置いた。
何しろそこしか場所が残っていなかったので、仕方ない。




