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141.坑道『ドローン怖い』

 二人一組の相部屋、有料の食堂、購買部、廃品買取窓口を案内してもらい、今は会議室で席に座っている。


 ちなみにさっきどこかに行った人は別に寝ておらず、あっさりと合流したのでやっぱりトイレだったのだろう。


 寝たのは別の人だきっと、初めて聞く声だったしあの人と断定できるもんでもない。


 「それでは何か質問は?」


 ホワイトボードの前に立つサスペンダーのおじさんは事務の人だったらしく、一通り説明の後、こうして最後の質問タイムに入った。


 「正規の警備員達はどこに寝泊まりしてるんだ?」


 急に後ろから声が上がったと思ったら、さっきどこかにいなくなった人だ。っていうか、やっぱりスリープに入るって言ってた人じゃん!



 「もう少し奥の宿舎になっておりますが、安全上の理由から詳しい事は説明しかねます」


 この答えで納得したのか、すぐに黙ってしまった。


 ところで、自分も一つ気になる。


 「えっと、この鉱床で金属掘ってる人達もまた別の宿舎なんですか?」


 「面白いこと言うね~!君たちと同じ待遇な訳ないだろうに!」


 また変なところから声がすると思ったら、扉を細く開けて管理責任者の髪の薄いおじさんが声を投げかけ、そしてまたどこかに行ってしまった。


 何だったんだろう?と思っていたら、事務のおじさんが説明してくれる。


 「この鉱床では非常に高度で繊細な機材を使用して採掘をしております。その為それを扱えるエンジニアも相応の好待遇で迎えているため、ここにはおりません。そして皆様警備員の仕事は彼らと機材を守ることになります」


 「じゃあ作業時間に周囲の警戒をすればいいんですか?」


 「くっくっく……あんた何も知らんで来たのか?まさかその身形で、犯罪者の強制労働って訳でもあるまいに……」


 「その方は街中で人を殺そうとしたところを現行犯逮捕で当面強制労働です」


 隣に座っていた赤ら顔のおじさんが、絡んできたと思ったら、あっという間に下を向いてしゃべらなくなってしまう。


 「それでは質問に答えますね。エンジニア及び機材の直接護衛は町で雇用している信頼のおける正規警備員が護衛しております。非正規雇用の警備員である皆様方には、坑道内に侵入してくるドローンの処理をお任せします。基本手当は日当5000クレジットと不満もあるでしょうが、ドローン撃破数による歩合及び、回収できた素材の買取で十分な金額を稼げるでしょう。また犯罪等で当面労働を強制されている方は、実績での短縮が可能となっております」


 なるほどね~、とりあえずお金には困ってないし少しでも実績上げるのが自分の目標かな。


 問題は、ドローンにちょっと苦手意識がある所かな。


 苦手って程でもないんだけど、初心者の街でちょっと狩ったきり出会ってないし、何なら最初は掃除機に追い回されたもんな……。


 毒も麻痺も効かない金属の塊相手にどう戦えばいいのか全くイメージが湧いてこない。


 「それではまず、二人一組を作っていただきます」


 「え?」


 急に不穏な言葉が聞こえて一気に気持ちが引き戻された。


 二人一組ってあれじゃないか!


 誰と組もう?やっぱりアイツかな?とか思ってる内にソイツが他の誰かと組んじゃって、じゃあどうしよう、とかやってる内に最後まで余って喋った事もないクラスメートと強制で組まされるやつ!


 思い出しただけで、呼吸が荒くなっていくのが分かる。


 何しろ今周囲にいる人達に知り合いなんて一人もいないし、何なら自分が目を合わせようとすると、一斉に目をそらされる。


 「今日の所は相部屋の人とそれぞれ組んでください」


 ん?自分で選べないのか?あっ!いや!選ばなくていいのか!そっかー!雇用主がそう言ってるんじゃ仕方ないよね~!自分の相部屋って誰だろう?


 目が合ったのはスリープに入るとか言ってた変な人だ。


 「そちらのお二方はどちらも保安官にお世話になっている同士ですが、くれぐれも揉め事など起こさぬようお願いします」


 なるほど、腫れ物同士で組まされたって訳か。


 「俺は殺そうとはしてない」


 「自分は殺す気でした」


 すごい嫌な顔でこっちを見てくるが、自分も嫌だから!


 そのまま、皆で会議室を出て、非正規雇用警備員の宿舎から大穴の方に出ると、まるで機械生物のお腹の中か?と表現したくなるほどの管やら線やらが奥へと向かって伸びている。


 金属の足場を歩き、皆一様にカーン!と響く音を立てているのに、何故か自分の足音だけしない?


 皆よっぽど固い靴でも履いているのかと思ったが、自分は金属防具装備できる程VIT無いし仕方ないか。


 坑道は途中幾筋にも分かれており、それぞれ少しづつ別れて進んでいく。


 自分達は分かれ道がある度に必ず左に行かされ、どんどん数が減っていき遂には二人になった。


 「あんた、ドローン狩りの経験は?」


 「少ないです」


 「だろうな。素材が獣の皮に絹って所か?何で森から海に出てきた?」


 「巡り合わせですかね?」


 「ふーん」


 どうでもいい世間話をしながら奥へ奥へと向かっていくと、遠くからブーン!と妙に人工的な音が聞こえて来たので、クロスボウを構えて警戒する。


 「どうした?」


 「変な音がします」


 すると、顔つきが変わった相部屋の変な人が坑道の奥に目を凝らす。


 奥から徐々に近づいてくるのは、回転翼が4つついた現実でも見慣れた形の空飛ぶドローンだった。


 さほど速くはない対象にゆっくりと狙いをつけて、引き金を絞る。


 放物線を描き飛んで行った矢は完璧なほどきっちりと狙い通りに命中し、


 カン!


 甲高い音とともに弾かれた。


 唖然とする相部屋の人に何と言っていいか分からず、困っていると近付いてきたドローンの下部に銃が搭載しているのが確認できた。


 その銃口がゆっくりと自分に向けられ、ドローン本体も空中に静止した。

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