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112.職人『どうやら自分は変質者寄りの変わり者らしい』

 「いいじゃないのよ!減るもんじゃないんだし!」


 「だからそれは、見せる側が言う事じゃないんだっていつも言ってんだろうが!」


 「自分もそれ言いました」


 「誰もが言うんだが、全く懲りないんだコイツ」


 どうやら自分が逃げ回っていた変質者はジョンさんとコットさんの知り合いらしく、特に危険もないらしいので、ちょっと話を聞いてみる事にする。


 「もう!君達~!なんでそんなに枯れちゃったの?若い頃はもっとお盛んだったでしょ!」


 「……若い頃は興味がなかったと言えば噓になるか?」


 「自分は思春期の筈ですけど」


 「自分から見せてくる女はちょっとな……ってラビは若そうだと思ってたけど、そんなに若かったのか?」


 「え?ちょっと待って!今どきの思春期が分かんない!時代が変われば思春期も変わるのかしら?」


 「さあ?何しろ初めての思春期なもので、勝手が分かりません」


 「(今どきの若者ってこんな感じなのか?)」


 「(俺が知るかよ!ラビが特別落ち着いてるんじゃないのか?)」


 「それで、この人は運営に通報した方がいいんですかね?」


 「正直なところ、ラビ次第なんだがな……」


 「ちょっと待ってよ!なんでパンツ見られる方が通報されるの?!!おかしいじゃない!」


 「露出は一応罪になるんだが、ラビに限ってはあまり得策じゃないかもな」


 ジョンさんとコットさんは通報にはあまり前向きではないらしい。どうしようかと思案していると、ジョンさんが説明してくれた。


 「一応こいつはこんなんでも、このゲームでは数少ない腕利きの<木工>職人でな。多分ラビの扱う装備やなんかとは相性がいいんだろうと思うんだわ」


 「確かにそういえばそんな感じのニュアンスの事を言っていた気がしなくもなくもない」


 「何でそんなに曖昧なのよ!自分で言うのもなんだけど確かに有数の<木工>職人よ!何しろ<木工>やるプレイヤーが少ないんだから当たり前よね!」


 何を自慢しているのか分からないが、個人的に木製の装備品の充実は助かる。


 やはりステータスの補強があれば、レベルアップでの割り振りもかなり楽になる。個人的にはSNSとAGIをもっと上げていきたいが、今後装備をグレードアップすればSTRやVITも求められるだろうし、そこを補強できるならこの上なく助かる筈だ。


 「まぁ、なんだ?パンツを見せようとしてきた件は、今後木製装備を作る事と引き換えで、不問にするのもありかもな」


 コットさんもフォローしてくる。


 「二人がそうおっしゃるなら、自分は別に無理に通報はしないですけど」


 「こういう事だから、ラビに何か木製装備でも……」


 「いやよ!」


 話がまとまりかけたところで、変質者さんが急にキレだした。


 「さっきから聞いてれば一方的に私が悪いみたいに!パンツ見せようとしたのは確かだけど、やむを得ない状況があったからじゃない!それを無理に見せようとしたみたいに!それに私はテルと心が通じ合ってると思ったからこそのコミュニケーションだったわけだし!だからテルの為の木製バックパックも作ったっていうのに!何なのよもう!」


 ……確かに言われてみれば一方的だったかもしれない。


 「ここはやっぱり、運営に報告して第三者の判断を仰いだ方が、平等な気が……」


 「何でそうなるのよ!いいわ!テルの木製装備を担当する条件を出すから!それをクリアしたら、何でもしてあげる!」


 「どういう事ですか?」


 「ああ~なんだろうな?とりあえず付き合っておけ。運営に通報されるのも、一方的に仕事を押し付けられるのも嫌なんだろ」


 よく分からないが、とりあえず条件とやらを確認する。


 「いいかしら?私の名前を当てられたら、心の通じ合ったパートナーとして今後テルの装備の面倒を見るわ!」


 「でも、パンツ見せようとしたからヒントはくれるんですよね?」


 「無理言うな!って言おうとしたんだが、ラビも随分乗り気じゃないか……」


 「そうね!本当は心が通じ合っていれば、名前なんてすぐにわかるものだけど……」


 「自分の名前間違ってますけど?」


 「いいから聞いて!ヒントはこの森に溶け込むような可憐な花の名前よ!」


 「この森に溶け込むような?」


 「おい!それじゃ分からんだろもう一声!」


 「ああ、さすがに引っ掛けが過ぎる」


 「うるさいわねぇ!じゃあ~私は中でも特に黄色くて~健康的なの!」


 「健康的……」


 「いや分かるかい!」


 「ヒントになってねえって!もっと何かあるだろ」


 「うるさいわね!何度も何度も!これはクイズじゃないの!私とテルの心のつながりを示す為の試練なんだから黙っててよ!」


 「マリーゴールドですか?」


 「だからって……なんつった?」


 「いや、普通黄色だったらタンポポかヒマワリだろうが……」


 「正解!やっぱり!私とテルはつながってたのよ!君達全然分かってない!そう!私はマリー!特別にテルはマリーちゃんって呼んでもいいわ!」


 「いえ、マリーゴールドさんて呼びます」


 「心の距離が縮まらない!でも分かってる!テルが奥手で、時間をかけて分かりあいたいって事は!」


 うん、なんだかよく分からないけど、丸く収まった気がする。


 自分は偶々学校で黄色いマリーゴールドの花言葉が『健康』だから花壇で育ててるって教えてもらった事があるだけなんだが?

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