111.『黄昏失踪事件-解決-』コットの事件簿
「それで?これからどうするんだ?」
「ふっ!探偵の捜査と言えばなんだと思う?」
「え?探偵でしょ~?」
「そう!聞き込みだ!」
「いや、誰も言ってねぇけども……」
そうして3人連れ立って表に出た。
何しろ事は急いだほうがいい。
自分の推理が背中を押すように、思わず早足になる。
「何でそんなに急ぐの~?」
「そもそも、聞き込みって誰に話を聞きに行くんだよ?手あたり次第か?」
「いや、既に目星はついている。そして急ぐ理由は一つだ。そのテルという人物、もしかするとこの町から出て行ってしまうかもしれない」
「え?何でよ!私を置いて、他の町に行くなんて酷いじゃない!」
「いや、そもそも失踪してるんなら行方晦ますのが当たり前だろうがよ?」
その時、偶然目の前を高身長の男が通り過ぎる。高身長というより細長いと言った方がより印象が伝わりやすいだろうか?
ジョンの2回戦の対戦相手だ。
「いた!そこの御仁!少し話をうかがってもいいかな?」
「え?かまいませんけど……あ!先日は対戦ありがとうございます」
「ああ、こちらこそな。それで?何でこの前の対戦相手を探してたんだ?」
「ねぇ!あなた!私のテルを知らない?」
「え?テルさんですか?何かよくありそうな名前ですけど、自分の知り合いには……ゲームの中の話ですよね?それであればいないですけど」
「そうだよな。悪かったわ。他人の邪魔にならないように店に戻ろうか」
「ちょっと待ってくれ。質問を変えるが、弓を持った人物に心当たりはないかな?」
「ああ、それであれば……確か、この前のイベントでお見掛けしましたよ」
やはり!自分の推理が完全に正解していると確信し、思わず心拍数が上がる。
「じゃあ、もしかしてその人物はイベントに参加してたんじゃないか?」
「ああ、そういう事か……そりゃしてるだろ。って言うか本当に誰がテルなのか分かってるのかよ」
「何?どういうこと!早くテルの居場所を教えてよ!」
「まぁ落ち着きな。まずこの人の話をちゃんと聞こう。それで?イベントにその人物は参加していたのか?」
「してないんじゃないですかね?そもそもイベントの事よく分かってないみたいだったし……仮に参加してても3回戦以降には進んでないですね」
「え?本当か?じゃあ、クロスボウ持ちが他にも……」
どうやらジョンは自身の推理に疑問を持ったのか、小首をかしげている。
しかし、自分は揺るがない。何しろ今の証言には一つ大きな違和感がある。
「何で三回戦以降に限定したのかな?もしかして、一回戦、二回戦……」
「他の人の試合を見ると自信を失いそうだったんで、負けるまでは試合は見てませんでした」
思ってたのと違う。
……いや!別にこの人は何も悪くない!どうやら他にもあのイベントに参加した人物を探さねばならないようだ。
「成る程な。それなら納得できるわ。悪かったな急に呼び止めちまって」
「いえ、ジョンさんでしたっけ?話せて良かったです。またイベントとかで会ったらお手合わせお願いします」
それだけ言い残して去っていく細長い人物。
「ねぇ?イベントとテルがどう関係あるの?」
「ふむ、先にその説明をしないといけないか……つまりテルという人物はお金がなかった。そしてこの町で大きく稼ぐ方法と言えば?そう!イベントだ!だが、今回このイベントに優勝したのはこっちのジョンってことは?」
「テルはお金を稼げてないから、お金を求めてどこかに旅立ったって事?」
何も言わず、静かにうなずくと、ジョンだけ変な顔をしてこっちを見ている。
「何だ?何かあるなら言ってみたらどうだ?」
「いや、外れてんのに当たってんなって思ってさ」
「何だ?頓智か?」
「そんな意味ありげな話じゃなくてよ。確かにイベントには出場してたさ。それで負けた。でも金はあるし、まだ町にもいる。それだけの事だ」
ふむ、ジョンにはどうやら自分とは別の推理があるらしい。しかし、半分当たっているとなると、中々やるようになったな!
身近で自分の推理に触れている内に、自然とジョンにも推理力が身についたのだろうか?
やはり、名探偵は周囲に与える影響も大きいらしい。こりゃ、悪い事は出来ないな!
なんて……悪い事をするやつを見つけるのが仕事なんだが!
「それで?次はどうするのよ!」
「それは聞き込み続行だな。探偵には頭も必要だが、時として足で稼ぐ情報が重要になる事もあるのさ」
「……だったら、あのイベントに出場していた知り合いがいるだろうが?話を聞きに行こうぜ?」
イベントに参加していた知り合い?
ふと、何とはなしに目線を流すと、大きな貸し作業場が見え、そしてそこから出てくる人物が目に留まった。
「あ!ラビ!ちょうどいい!話を聞きたいんだけどよ……」
「ジョンさん?」
「テル~~~~!!!!!どこに行ってたの?探したのよ!!!!」
「ああ、やっぱりか。じゃあ事件解決だな」
「え?事件て何ですか?」
「何よ!私に何も言わずにどこかへ行ってしまうなんて!何があったの?お金がないの?」
「多分違うから、一旦落ち着けって、ラビが怯えてるだろ」
はらりと一枚落ちてきた黄色い葉っぱを空中でつかみ取り、くるくると回す。
「ふっ……出会えてよかった。そんな素敵な女性、絶対離しちゃいけないぜ?」
ラビに言うともなしに、告げる。
「いや、離すも何も、なんで二人は変質者と一緒にいるんですか?」
「へ、変質者~?だ、誰が変質者なの?まさかコット……あなた……」
「いやよりによって何で俺なんだよ!ジョンかもしれないだろ」
「あっ戻った……じゃねぇ!俺が何で変質者なんだよ!どう考えてもこの場合こっちの木の変態だろ?」
「誰が木の変態よ!木の変態ではあったわ……でもそれはテルも同じじゃない!」
「なぁ、ラビ!どういう事なんだ?」
「え?だってこの人パンツみせようとしてくるから」
「「……運営さーーーーーーん!こいつですぅ」」




