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2-18 己を知って、今できること

なんと100万PV突破してました。

ありがたや、ありがたや……!


「とりあえずこれからの話をしようか」


 話を切り替えたレイは先ほどの宣言を実現するにあたって、今後の行動を一度まとめることにした。


「今一番ネックになっているのはメイン職業が【邪教徒】で固定されちゃっている事かな。これのせいでいろいろ縛りが出来ちゃってるし、なにより情報がなさすぎる」


・それはそう

・ステータス自動振り分けもこれのせいだっけ?

・確かそうだったはず

・あと武器固定も


 コメント欄でもおおむね同意の意見が見られると、レイは再度頷いて話を続ける。


「でもじゃしんとこれからもやっていくって決めた以上、変えることはできないからね。それ以外で何とかなりそうな部分を考えていこうと思うよ」


・りょ

・それは大事だね

・さっきの召喚の石板とかか?


「うん、話題にも出たしまずは【召喚の石板】について話そうかな。そもそも今の現状じゃスライムしか召喚出来ないんだよ」


 そう言ったレイはアイテム欄を視聴者に見せると、ウィンドウを操作してとある種類のアイテムのみにソートする。


・あー魂がないのか

・このスライムは?

・チュートリアルでもらえる奴だな


「そうそう、私が持っているのは【スライムの魂】だけで、新しい魂を入手しようにも【召喚士】じゃないから自力でゲットは無理なんだよね」


 今度は自身のステータス画面を表示して視聴者に見せる。


=======================

NAME レイ

MAIN 【邪教徒Lv.2】

SUB -

HP 20/20

MP 20/20

腕力 10

耐久 10

敏捷 10

知性 10

技量 10

信仰 340((120*2)+100)

SKILL 【邪ナル教典】

SP【敬虔ナル信徒】【自己犠牲】

BP 0pt

称号 【月光組織の一員】

========================


「見てもらえれば分かると思うんだけど【懐柔】持ってないから魂をとれなくなっちゃてるって感じ」


・あれ召喚士の固有スキルだからなぁ

・スライムでよくないです?むしろスライムこそ最善かと

・魂ってほかの入手方法ないの?

・一応他プレイヤーからもらうってのもあるけど…


「スライムは――まぁ最後の手段ってことで。他プレイヤーからもらうって言ってもレアなのは皆譲りたくないだろうし……でさ、私が気になったのはここ」


 そういうとトントンとサブ職業の欄に人差し指を当てる。


「これさ、ずっと使用できないよって意味だと思ってたんだけど、もしかしたら設定してないだけ(・・・・・・・・)ってことないかな?」


・ん?どういうこと?

・設定してない?


 理解が追いついていない視聴者に分かるようにレイは説明を続ける。


「つまり【神官】と【召喚士】が合体して【邪教徒】になったから両方消えたんじゃないかなってこと。だから今はメインしか設定してない状態でサブは空欄だから、設定し直せばもう一度【召喚士】になれるかなって」


・あ~そういう事か

・確かに

・試す価値はあるかも


 レイの言いたいことが何となく伝わった視聴者達は納得するように同意の言葉をコメントする。


「でしょ?だからこの後『スタートワーク』に行ってみようかなって思ってる。だから【召喚の石板】の出番はその後かな」


 そう言ってレイがコメントを見ると特に反対の意見は見られなかった。なので遠慮なく次の話に入る。


「じゃあ次は武器についてかな」


 レイは腰についていた【邪ナル教典】を手に取るとぱらぱらとページをめくる。


「今後どれくらい強くなるかは知らないけど、今はお荷物以外の何物でもないからさ、できればこの呪いを解除したいんだよね。教会で何とかなったりしないかな?」


・ふむ

・銃使いたいしね

・ワンチャンありそう


 レイは賛同するコメントを見て数回頷いたものの、ただ、と否定の言葉を続ける。


「これ普通の武器じゃないからなぁ。望み薄いんじゃないかな~って気はしてる」


・あ~…

・スキルから出たんだっけ?

・そんな武器今までなかったしね

・解除した瞬間もう一回呪いがかかるとかありそう


「わかる。まぁ試すだけタダだし教会にも一回行ってみようかなとは思ってます」


 そうして【邪ナル教典】を枕の横に置いたレイは次にクラッカーとチケットを取り出した。


「んで最後に補填で入手したアイテムの使い道について。【祝福のクラッカー】は次レベルが上がった時に使うとして、問題はこっちだよね」


 そう言ってぺらぺらとチケットを振るレイは悩んだようにうなり声をあげる。


「む~、普通にいけば【ダッシュ】か【二段ジャンプ】なんだけどさ~、こういうの悩んじゃうタイプなんだよね」


・分かるわぁ

・エリクサー使えないタイプじゃん

・ごめんついていけてないわ

・そもそも汎用スキルって何?


 そうしてリスナーに尋ねてみたが、想像していたよりも反応が薄い。どうやら汎用スキル自体を知らない人が多く、レイは少し驚きながらも最初に説明することから始めた。


「意外と知らない人多いんだ。じゃあ特別に説明してあげよう。……まぁ私も攻略サイトの受け売りなんだけど」


・はーい!

・せんせ~!

・よろしくお願いしま~す


 随分とノリのいい視聴者に吹き出しそうになりながらも、レイコホンと一度咳払いをして心なしか背筋を伸ばして口を開く。


「じゃあまずは固有スキルから。固有スキルは職業に紐づいたスキルの事だよ。メインでもサブでもその職業になっている間は使えるし、やめたら使えなくなる。例を挙げるとすれば【召喚士】の【懐柔】とか【神官】の【祈り】かな」


・へぇ~

・うんうん

・じゃあ先生は【邪教徒】になったから【懐柔】使えなくなったんですか?


「そういうこと。だからわざと一次職で止めている人とかもいるらしいよ?」


 先生という言葉に少し嬉しそうにしつつ、特に疑問のコメントが流れていないことを確認したレイは次の説明に進む。


「対して汎用スキルは職業関係なく一度取得したらずっと使えるスキルのこと。入手難度が低くて使える場面が多い代わりに、固有スキルに比べると効果が控えめなのが多いかな」


・ほうほう

・どうやって手に入れるの?

・ZZZ…


「こらそこ寝ない! ……えっと固有スキルは一つの職業を指定のレベルまで上げる必要があるんだけど、汎用スキルはBPを支払っちゃえば購入できるんだよね」


・そうなのか

・ステータスの代わりにって事?

・そう、強い奴は平気で1万BPとか要求してくるよ

・その中で比較的強くて安いのがさっき言ってた二つ


 レイの説明に理解できていなかった視聴者からはなるほどと感心の声が聞こえ、知っていた視聴者からはさらに補足説明が入る。


 大まかな説明を済ませ、それを踏まえた上でレイは改めて何を取得するべきかという話題に話を戻す。


「私の場合BPは勝手に割り振られちゃうから関係ないと思ってたけど、いざ取れるとなると悩んじゃうね」


 嬉しい気持ちの反面、それ故に悩みが尽きない。


基本的にポイントが高いものほど効果が良いため、ただで手に入る以上それを取るに越したことはないのだが、レイにとってはこれが最後の入手チャンスの可能性もあり、一番合っているものを選択する必要があるのだ。


「ちなみに一覧は攻略サイトから見れた筈だから、なんか良いスキル見つけたら教えて」


 そう言うとコメントの量が明らかに減少する。おそらくそのほとんどの人が調べてくれているのだろう、そのことに感謝しつつもレイは頭を悩ませた。


「まぁこのままなら【ダッシュ】かなぁ。ただでさえ機動力ないし……ん?」


 数分後、妥協するようにレイが呟いたその瞬間に、とあるコメントがその目に映った。


・レイちゃん!ヤバいスキル見つけた!【両利き】ってやつ!


「ヤバいスキル?【両利き】?」


 聞いたことも見たこともないスキルだったが、その概要を聞くにつれてレイの体は震えだし、自然と口角が吊り上がっていく。


「こんなのあったの!?いいじゃんこれ!早速手に入れに行こうよ!」


・待って待って

・先に教会行ってからね

・落ち着くんだ!


 喜びを爆発させ、いてもたってもいられなくなり即決しようとしたレイだったが、視聴者から諫めるコメントを目にして一旦冷静になる。


「それもそっか。おっけー、早速いこう!」


「ぎゃ、ぎゃう!」


 それでも逸る気持ちも抑えきれないレイは急いでベッドの中から飛び出ると、ドアへと駆け出していく。その後ろを遅れまいとじゃしんが慌ててついていった。

 


[TOPIC]

SKILL【ダッシュ】

その一歩が世界を変える。

効果①:両足接地時、一定距離を移動(10m)

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ、スキル追加で武器制約なんとかならないかな、でもムリそうって思ってたけど解除?されるのか。運営もこれを見越して補填してたならまぁ…。 てゆかサブ職業設定できるんかーい。まあ、たしかにで…
[一言] 両利きってもしや武器を…? うわー楽しみです!! これからも応援させていただきます、頑張ってください!
[一言] 邪教徒なのに教会は… 両利きスキルで二刀流ができるかは運営のみぞ知るw 両手拳銃ができても撃った時の反動をリアル準拠にしますとかやられた日にゃ
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