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1-26 第一回戦利品確認会

なんとか一章完結しました!

それといつの間にか30万PV超えておりました!ありがとうございます!


「ごめん、お待たせ」


「いや、そりゃ有名人だからな。しょうがねぇよ」


 場所はいつものように【ホワイティア】の路地裏。


 違いと言えばボロボロながらも大きな机が設置されている事だろうか、レイとリボッタは3度目の邂逅を果たしていた。


「いや本当だよ。下水道から出た瞬間あそこまで囲まれるとは……」


「ぎゃうう……」


 レイとじゃしんはくたびれた様子で溜息を吐く。


 ワールドクエストをクリアしたレイは通常ボスを倒したときのようにダンジョンの入口にワープして、そこで大量のプレイヤーに囲まれた。


 彼らはレイがワールドクエストをクリアしたと聞きつけた野次馬たちであり、何とか情報を得ようとレイを待ち構えていたのだ。


 それに対して身動きが取れない状態のレイだったが、遠巻きに見ていた視聴者達が間に入り何とか抜け出すことに成功したのだ。代わりにダンジョン前は大騒動になっていたが。

 

「お疲れ。んで?何を手に入れたんだ?」


「あぁ、分かってるって。じゃあ戦利品確認といきますか!」


 もう待てないといった様子で身を乗り出して聞いてくるリボッタにレイは落ち着くように言う。


 ただ、彼女も彼女でワクワクしながらアイテムを確認し、今回入手したモノを取り出してテーブルの上に置き始めた。


ITEM【月の石】

月から落ちてきたと言われており、手に持っていると重力が軽くなる不思議な石。

効果①:滞空時間上昇

効果②:落下ダメージを無効化


ITEM【謎の地図】

古びた羊皮紙にどこかの地図が書かれている。バツ印のあるそこには果たして何があるのだろうか。

効果①:なし


ITEM【卯の紋章】

兎の形をした銀色の紋章。なにか特別な力を感じる。

効果①:???

※譲渡不可アイテム


「アイテムはこんな感じだね」


「見たことないもんばっかだな……」


 説明欄を見てもいまいちピンとこないレイは、とりあえず【月の石】を手に取ってそのままジャンプしてみる。


「お!?すごい!」


「ぎゃう!?」


「なるほど、無重力ってやつか」


 レイは月を歩いているかのように身長の倍以上飛び上がると、ふわふわとゆっくり降りてくる。その姿を見たじゃしんは目を輝かせ『俺もやりたい!』と言いたげな視線でレイへと突撃していく。


「有用なアイテムだが……おれはやっぱり地図の方が気になるな」


 レイ達がぴょんぴょんと跳ねて遊んでいる中、リボッタは【謎の地図】を手に取る。


 ぼろぼろになった地図を見てもいったいどこの場所か判断がつかず、そのことが逆にリボッタの心をワクワクさせていた。


「紋章はもらえないから無視するとして……なぁこれだけか?」


「いや武器もあったはず」


 リボッタの問いかけに今度は武器を取り出す。それは一見【撃鉄・因幡】と似ていたが、大きさが一回りほど大きく色が黒かった。


WEAPON【Crescent M27】

三日月の紋章が入ったマグナム。軽量感をそのままに火力を飛躍的に上昇させ、特殊弾の使用も可能にした。

上昇値:-

要求値:-

効果①:100の固定ダメージ

効果②:SKILL:【黒月弾(ブラックムーン)

※5発発射後リロードが必要


「つっよ!!!」


 性能を見て目を見開いたレイは武器のスキルについても確認する。


SKILL【黒月弾(ブラックムーン)

月の重力を凝縮した特殊弾。その黒点は全てを飲み込み無に帰す。

効果①:着弾点にブラックホールを発生させる

消費MP:100


「もしかしてラビーが最後に撃ったアレ!?最高じゃん!」


 興奮冷めやらないレイは脇目も振らず装備すると、光沢のある黒を身にまとう銃をうっとりとした様子で眺める。


「見た目も100点じゃん……好き……」


「いいなその銃」


 恍惚な表情で銃を見ているレイに対してリボッタは右手を顎に当てながら頷く。


「じゃあ、俺が貰うのはその銃で――」


「そういえばさ」


 リボッタの言葉を遮るレイは笑顔のまま銃から視線を外さない。


「おじさんさ、ラビーについての情報も満月の情報も教えてくれなかったよね?どうして?」


 淡々と口にする様子にリボッタは体を硬直させる。ちょっとした仕返しのつもりで黙っていたのだが、ここまで圧をかけられるとか思ってもいなかったのだ。


「まさかね?まさかと思うけどこれがわざとだったら裏切りってことに……」


「――と思ったけど男ならやっぱりロマンを求めて地図だよな!」


 詰問に分が悪いと感じたリボッタは慌てて目を反らすと、意見を変えて机の上の【謎の地図】を手に取った。


「あ、それにするの?おっけー」


 それを見て満足げに頷くレイに対して、結局こうなるのかと肩を落とすリボッタ。


「あ、そうだステータスも確認しとかなきゃ」


 しばらく銃を堪能した後、レベルが上がっていたことを思い出したレイはステータス画面を開いた。


=======================

NAME レイ

MAIN 【邪教徒Lv.2】

SUB -

HP 20/20

MP 20/20

腕力 10

耐久 10

敏捷 10

知性 10

技量 10

信仰 240(120*2)

SKILL 【邪ナル教典】

SP【敬虔ナル信徒】【自己犠牲】

BP 0pt

称号 【月光組織の一員】

========================


「まずは……称号から見ようかな」


 そこにはいくつか増えている項目があり、特に気になった称号の欄をレイは最初に確認することに決める。


称号【月光組織の一員】

伝説の月の組織の一員としてその力を認められた証。

取得条件:ワールドクエスト【月の光に激しく昂る】をクリア

効果:満月時、全ステータス2倍


「これは……う~ん」


 悩ましい声を上げるレイ。


 発動条件は簡単なうえ、効果はとても強力なのは分かってるが、そもそものステータスが低い彼女にとってはあまり有効ではないと感じていた。


「ま、いっか。残りは【邪ナル教典】ってやつかな」


 それでもないよりかはましと考えたレイはもう一つ追加されていたスキルを確認する。


SKILL【邪ナル教典】

敬虔ナル信徒はその信仰故に禁忌の領域に足を踏み入れる。

効果①:WEAPON【邪ナル教典】を召喚する


『【邪ナル教典】を発動しますか?』


 いきなり現れたウィンドウにびっくりした様子を見せながらも何も考えずにYESを選択する。


 次の瞬間、辞書のようなサイズの本が空中に現れ、ゆっくりとレイの手の中に収まった――それと同時にポロリと先ほど装備した銃が腰から落ちる。


「あれ?」


 レイは首を捻って【Crescent M27】を拾い、再度装備しようとする。だが、何故かそれが叶うことはなかった。


「えっどうして?」


「その手に持っている本のせいじゃないのか?」


「あっそうか、WEAPONって書いてあったなそういえば。じゃあこれの装備を解除して――」


 リボッタの言葉に一理あると考えたレイは装備を確認して、そして言葉を失う。


WEAPON【邪ナル教典】

その教えは『尊キ御方』の心そのものであり、何時如何なる時も手放すことは許されない

上昇値:信仰+100

要求値:信仰200以上

効果①:SKILL【邪法】

※【邪教徒】の場合、装備を外すことはできません


「嘘……でしょ……」


「あん?どうしたんだ」


 震える声でそう呟くレイにリボッタは眉を寄せて問う。


「この本、外すことが出来ないって書かれてるんだけど……」


「え?あ~……」


 泣きそうな声音でレイの口から出た言葉にリボッタはかける言葉がなくなる。


 その後、いろいろと試行錯誤を繰り返しても【Crescent M27】が装備できなくなったことを悟ったレイはドサァ……と膝から崩れ落ちた。


「そんな……馬鹿な……」


「まぁ、なんて言うか――ドンマイ?」


 四つん這いの状態で項垂れたレイに対して気の毒に思ったのかリボッタは励ますように声をかける。


「ふ、ふふふ」


「あ?」


 しかしそれに対して返ってきたのは不気味な笑い声であり、リボッタは物理的にも少し距離をとった。


「この程度でへこたれる私はもういない!」


 ガバッと顔を上げた彼女の顔には以前のように萎えている様子はなく、むしろギラギラと燃え滾っていた。


「だって、私の冒険はまだまだ始まったばかりだからね!」


「ぎゃう!」


 レイはそう宣言すると片手を上に突き上げる。


 隣では相棒が同じように手を挙げて陽気に鳴き声をあげていた。


[TOPIC]

SKILL【じゃしん結界・月満ちた時】

【じゃしん結界】によって作られた空間。頭上に満月が浮かぶ静かな草原では、最強の獣達が牙を剥くだろう。

効果①:周囲の景色をスーゼ草原(満月時)へと変化させる


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 他の方も書いてたけど、主人公のレベルが1だったからワールドクエストボス相手の際に主人公が空気となっている点。 経験値制限のせいで上がらないのは分かるけども、主人公の活躍が薄いのはマイ…
[気になる点] 最新話まで見てきたんですが、邪なる経典の効果1の邪法ってのはなんなんですか?使わないのはなんでなんですか?この話の後一度も出てないので気になりました [一言] とても面白く、楽しんで読…
[一言] ドンマイやな
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