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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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飛んでいるモンスターとの遭遇


「……??」


 状況を理解していないナギは、きのみスティックをひとつ取り出して食べる。


「大杉さん、次に進みまないのです……?」

「そうだったな、ダンジョンを進んでいこう」


 大杉は三人の死骸の合間を通り抜けると、前方に意識を集中させた。


 走る。大杉は思いっ切り走る。

 ナギの光魔法での地図。そして、背後にヨミルがいることによって安心して大杉は走り続けることができた。


 あっという間に二十七階層への下り階段を見つけると、ヘルライダーの身体能力を生かして一気に飛び降りた。


『キキ、キキキッ――』


 二十七階層の地面に足をつけた途端、コウモリの鳴き声を耳にした。


「モンスターか」


「こちらに……向かっています……。数は六です」


「大杉君、気をつけてね」


「状況はわかったが、どうすれば良い?」


「そうねぇ。……大杉君はモンスターの頭が見えたらそのまま突き進み、ナギちゃんは大杉君に補助魔法で俊敏性を上げてね。私が攻撃します」


「えっと、わかり……ました……」


「ひとまずヨミルの作戦通りに、やってみるか」


 目を細める大杉は、コウモリのモンスターが視界に入ってくるのを待った。

 その間に、ナギの魔法で大杉の足を軽やかにする。


「さて、どんな魔法で仕留めようかしら」


 余裕そうな態度をみせるヨミルは、まだ何も仕掛けない。



「……前方に三、その後方に三ですか」


 戸惑いながらも、ナギは囁く。


 戦況に関わる動きがあると、大杉とヨミルに伝えてきた。


「ふむ、雑魚モンスターが隊列を組んできたわね」


「ヨミル、雑魚モンスターが隊列を組むと何かあるのか?」


「例えば魔法が使える個体がいるとしたら、その個体が後ろの隊列に入ったりするわ」


「モンスターに個性があるのか……?」


「自然界に生まれたモンスターであれば普通にないのだけど、例外があるわね。魔族召喚の儀で呼び出された個体は必ずしも個性が出る」


「もしかして、ウルフ系なのに魔法をガンガン扱えたり、俺みたいに魔力を感じないとか……」


「そうそう、そんな感じ。だからね、個性がある雑魚モンスターに出くわしたら、気を付けないといけないこともあって」


「魔族召喚の儀を使った者が……そのダンジョンに潜んでいる可能性があります……」


「ナギちゃんの、ご名答ね」


「いえ……」


 地図の光魔法を一度閉ざして視界を良くしたナギは、ヨミルの指示にない支援魔法を大杉に使った。

 大杉の足元を中心に、青い星のマークが時計回りに回転している。


「ナギは、何をした?」


「これは、魔法結界です……。中級程度の単体魔法であれば、何もしなくても……」


「防げるってことか。助かる」


 大杉がナギに、お礼を伝えた瞬間のこと。


『キキ、キキキッ――!』


 もう一度、声がした。


『キキキ、キキキキッ――!』


 とても近い。

 バサバサと音も立てて、急接近していた。


「一、二、三……。ヘルライダー大杉君、走って」


「わかった!」


 モンスターの姿をまだ捉えていないが、指示が出たので大杉は全速力で走りだした。


「……うん? コウモリはいなさそだが」

「コウモリというか、骨コウモリというべきでしょうね。上から白いのは見えなかったかしら」

「いや?」


「あの、前です……大杉さん……」

「うおっ!」


 大杉の前方から、岩の固まりが三つほど飛んできた。

 ただこれは、大杉に直撃する前にサラリと砂のように消えてしまった。


「ナギ、いまのはなんだ?」


「土の……初級魔法です……」


「なるほど。ということは、俺の前に魔法が得意なコウモリがいるってことか」


 戦況に納得した大杉は、止まらないで走り続けた。


 すると、骨のようなコウモリのモンスターが三匹、忽然と姿を現した。

 このコウモリの胴体は大杉の頭の二倍以上のサイズがあって、そのまま通り抜けスルーができないくらいには邪魔だった。


 大杉は一度立ち止まった。


「ヨミル、あの雑魚モンスターの名前ってなんだ?」


「ヘカトンバットムね。魔王城のひとつ手前くらいにあるダンジョンにいそうな強さを兼ね備えているわ」


「えっ、結構強いのか」


「そうなるわね」


「うぅ……生きて帰りたい……」


 ヨミルは平気そうな表情をみせるが、大杉とナギには不安が募る。


 ヨミル、早くなんとかしてくれ……!


お読みいただき、ありがとうございます。

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