レジスタンスってなんだろう?
「ナギちゃん、これで魔力は戻ったかな?」
「はい……回復魔法をちゃんと使そうな感覚が出てきました。ヨミルさん、ありがとう……ございます」
「ナギの回復魔法についてひとまず解決したのは良いが、二人の男は逃げていったな。ヨミル、この後はどうする?」
「大杉君、そうね。一緒にいた男二人はビビって逃げちゃったし、私は魔王の力を使っちゃって辺りが騒然としそうなので、この場は離れたほうが良さそうね」
「それでは、南方向に……行きませんか」
ナギが口を開けると、俺はナギの頭を無てた。
「俺はそれが良いと思う」
「私としても、四天王がいるという情報があるし。決まりね」
頭に生えていた黒い角を隠すヨミルは、にんまりと微笑んでいた。
これから王都ハウルクエリスを離れて、南方向に進む。
馬の形体になった俺はナギとヨミルを乗せて、南の門番の元へと向かう。
南の門番は、ギルドで作成して仮カードを出すとすんなりと通してくれた。
門番を越えると、その先には砂の道がある草原が広がっていた。そこでは、黒い肌身の牛と、白いウルフが徘徊しているように思える。
「俺以外の雑魚モンスターも、ちらほらいるものなんだなーって」
「そうねぇ……。ヘルライダー大杉君、普通の感想すぎて面白味に欠けるわ」
「俺も思った」
「それでは、モンスターの話はおしまいにして……レジスタンスについて考えてみましょうか」
ヨミルって、退屈そうな話題はすぐ変えたがるのかな。
草原を走り続ける俺が暇に感じなければ、それで良いか。
「ナギちゃんはレジスタンスについて、何か知っていることはありますかね?」
「レジスタンス……ボクはいくつかの噂を聞いたことある程度です。みっつくらいでしょうか」
「ほうほう」
「まずひとつめは、ギルドが掲げる勇者パーティーの存在によって、活躍したレジスタンスの話題が埋もれてしまいやすいことです」
「簡単にいうと、ソーシャルネットワークサービスにおいて、人気者の陰に隠れがちで時には闇落ちもしてしまいそうな、可哀想な連中ってことか」
「そ、ソーシャル……? へ、ヘルライダーおお……おおおお……」
「ナギ、俺のことは大杉で良いよ」
「うん……。お、大杉さんって、難しそうな言葉を知っているんだね」
「ヨミル、俺が元いた世界にあってこの世界にないものって把握しているか?」
「私から見てヘルライダー大杉君の住んでいた世界というのは時間軸の違う異空間という認識だから、何もわからないよ」
「そうか……」
「別にガッカリすることはないと思うわよ。それで、レジスタンスは簡単にいうと影の実力者が集う集団ということね?」
「はい。レジスタンスのことは、ヨミルさんの認識で合っています」
「現状だと、俺たちが目にしたレジスタンスは魔王に怯えていたから、さほど脅威にはならないか」
「レジスタンスのトップに君臨しているらしい、シドラー・レイヌアグリオンの存在は少し気になるけど……。ナギちゃん、ふたつめをお願いね」
「ふたつめは、ギルドと違ってモンスターからの解放を目的としていること」
「ギルドは働く場って感じですからね。いまから二百五十四年前も同じようなことをしていたから、そこは私の記憶と現在に相違がなくて理解しやすいね」
「やっぱりギルドって、働いて、働いて、働いてまいります。という場なのか?」
「大杉さん、そこまでみっちり働く必要はありませんけどね。モンスターを倒すクエストは命懸けになってしまうことはありますので、働く意識というよりかは、平穏を守るために戦うという意識が自然と強くなります」
「働いて金銭を得るためではなく……人が生きるための、か」
「大杉君は理解が早いね。大杉君がいた世界でも、似たような体験でもあったのかな?」
「うーん……」
もし俺に経験があったとしても、答える必要はないと思う。
いまの俺は雑魚モンスターだから、過去の行動に囚われる必要は全くない。
「これから感じていくよ。魔王に従う雑魚モンスターとして」
「そうね。ヘルライダー大杉君も、これからいろいろ経験していくでしょうし。私もそうだけど」
「ボクもそうです。勇者パーティーのことは、簡単には忘れられませんけど……」
「勇者パーティーか。ナギ、この世界のギルドって何を目的としているのかをまとめると……どうなんだ?」
「うん。ギルドは雑用もそれなりにやっているけれど、表向きには人々をモンスターから守る組織です」
「守る組織か……」
「魔王は逆にモンスターを守る会よ、なんてね。その話題はもう良いとして……ナギちゃん、三つめに行きましょうか!」
「はい。三つめは、ギルドと違ってレジスタンスは世界にひとつしかありません」
ナギが言葉を伝えると、ヨミルが少しばかり難しい表情をする。
レジスタンスは、少数精鋭ということか。
それはつまり、シドラー・レイヌアグリオンが組織内では『絶対的な支配者』であることを意味する。
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