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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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路地裏での怪しい動き


「西のほうは特に動きないっす」


「オレからも報告する。北と東も動きなしだ」


「ジークさん、ゼルトさん、情報共有ありがとう。ということは、問題は南方向だけね……。魔王の四天王と、その支配下におけるモンスターが現れたという情報は正しい情報と判断できる!」


「そうみたいっすね。我々、レジスタンスの目的は人々をモンスターから解放してあげることだから、南方向に人員を割くように手配を進めているっすよ」


「ジークさん、細かい気配りもありがとう。モニュラもギルドの日中業務が終わったら、レジスタンスとして加勢するつもりだから」


「おう、モニュラさんがレジスタンスに加勢と来るか……」

「姉御さん、急にどうしたっすか?」


「ギルド『片翼の満月』の勇者パーティーが帰ってきたの。モニュラが掛けてるこの眼鏡型の魔道具(マジックアイテム)で位置情報をターゲットしていましたので、片翼の満月のギルドマスターを上手く誘導できたと思って良い」


「勇者パーティーが街に戻るのは妥協ラインだと言えるのだが、レジスタンスの活動の妨げにならなければそれで良いからな」


「そうっすね。魔王に匹敵するモンスターが魔王城から出現したという嘘の情報を勇者パーティーに伝えて、魔王城を定期的にくまなく探索させる。魔王城から凶暴なモンスターがいなくなったらレジスタンスの本命を勇者パーティーにぶつけて戦闘内容の捏造をし、すべて我々レジスタンスの手柄にする。魔王城の土地は魅力的ですから、レジスタンスが魔王城の土地を制圧したと世間に広まれば、人々をモンスターから解放したという実践も世に広めることができるっすね」


 男二人がにこやかにしていた。

 それに連られるモニュラも、表情が柔らかくなっていた。


「姉御さん、我らレジスタンスのトップに君臨する、シドラー・レイヌアグリオン様が考えたプロジェクトは、ひとまず順調に進行しているということで間違いないっすね……!」


「ええ、それに……足音がして……?」



「なるほどね。レジスタンスっていうのが私にはよく分からないのだけど、眼鏡でナギちゃんの魔法を封じ込めて、変なことを企んでいた組織があるとは思いもしなかったわ」


 ヨミルは我慢ならなかった。


 街中で被っていた白いフードを完全に脱ぎ捨てたヨミルが堂々と胸を張りながら、路地裏で喋っていた三人の話に割り込んでいく。


「新手の盗み聞きか」

「ゼルトさんは周囲の警戒をお願いっす。オレはまず……」


「あれっ……さっきギルドにいた……?」

「姉御さん、あれは誰っすかね」

「知らないわよ。ただ、勇者パーティーのひとりと一緒にいたくらいで」


「わからない? 私は魔王ヨミル・クレネーラ。貴方が掛けている眼鏡の魔道具(マジックアイテム)を潰しに参りました」


 ヨミルは右手に拳をつくり、ゆったりとモニュラに近づく。


「はっ? 二百年以上前に眠りについたとされる魔王の名……だと……」

「これ嘘っすよね、ただの悪夢っすかね!」

「まさか、魔王が復活しているとなると……あれ、勇者パーティーの残りのメンバーは……?」


 ヨミルが放つ魔王の威圧感に耐えれなかったのか、モニュラと男二人はその場で両膝を地面につけていた。


「まずはモニュラさん、でしたっけ。ナギちゃんの回復魔法をきっちり返してもらうから、覚悟してね」


 左手で軽々とモニュラを持ち上げたヨミルは、にんまりと笑っていそうだった。


「魔王本人だなんてあり得ない。魔王は、この世にはもういないはずで……」

「ごめんね。私にも理解しがたいのだけど、なんか復活しちゃったからさー」


 存在そのものが魔王の証明といえるであろう黒き羊の角がふたつ、ヨミルの頭から生えてきた。


「時には拳で語るのも、悪くないわね」


 次の瞬間、ヨミルの拳がモニュラの眼鏡に直撃した。


 モニュラの眼鏡は瞬く間に粉々に崩れ去り、絶望な状況がまだまだ続きそうなことを理解するモニュラはすぐに気を失ってしまう。


お読みいただき、ありがとうございます。

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