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第41話 あっ、やっぱり……。

「増えるのじゃろうな」

 チラリと俺を見るリードラ。

「わからん。

 お前にクリス、アイナにフィナも俺に好意を持っているのも知っているし、そりゃ、嫁さんが居たから好意を向けられたことは有るが、あそこまであからさまなのは初めてだ。

 ちょっと、身構えてしまった」

 リードラはため息をつくと、

(ぬし)よ、(われ)は気にせぬぞ?

 多分、他の皆もな。

 (ぬし)が増やそうとして増えるのではなく、(ぬし)を慕って増えるのだ。

 それをどうこう言う気はない。

 皮肉は言うだろうがな」

「皮肉は言うんだ」

「それはそうであろう?

 独り占めできる時間が減る。

 ただのう、仲間として話ができるのは楽しい。

 それに、主の伴侶が二、三人で済むとは思っておらんよ

 なんせ、(われ)よりも強く優しい男じゃからの」

 俺を諭すように言った。

 俺はリードラに

「ありがとな……」

 と言うしかなかった。


「あら、仲が良い事。

 わたしも入れて欲しいわね」

 カリーネさんが無垢の冒険者ギルドカードと見覚えのある水晶球を持って戻ってきた。

 そのまま、ソファーの空いた側に体をねじ込む。

 ふわっとカリーネの汗のにおいがした。

 少し緊張しているらしい。


「リードラさん、まずは名前を書いてもらえる?」

「『さん』は要らぬ。

 リードラで良い。

 どうせ、我らのところへ入り込むつもりであろう?」

 図星なのか、カリーネさんは苦笑いすると、

「わかったわ、リードラ。

 マサヨシもリードラも私を『カリーネ』と呼ぶこと。

 わかった?」

 俺に言う。

「ああ、カリーネね」

 盛っているため敏感なのか「カリーネ」と言われるだけでも震えていた。


「じゃあ、リードラ、名前を書いて」

「任せるのだ。

 人の字は書ける」

 そう言ってリードラがカードに字を書く。

「それじゃ、水晶に手をかざしてもらえる?」


 流れは一緒だな……多分あれが起る。


 リードラが手をかざすと水晶球が光り始め、ピシッピシッ……軽快な音立て水晶球にひびが入る音がした。

 そして光が収まるとひびで濁った水晶球が残った。

「噂には聞いていたけども、凄い。

 初めて見た。

 最近だとドロアーテで二人の冒険者が水晶にひびを入れたと聞いたけども……」

 カリーネがそう言って俺を見ていた。


 一応報告が上がっていたのか……。

 では早速。


「リードラ、ステータス見せてもらえないか?」

「いいぞ」

 リードラは「ステータスオープン」と唱え、俺にステータスを見せてくれる。


 リードラ 女性 年齢:1074歳

 HP:742186

 MP:748304

 STR:SSS

 INT:SSS

 AGI:SS

 VIT:SSS

 職業:龍人ホーリードラゴン

 所有者:マサヨシ

 冒険者ランク:F


 おお、軒並みSSSかよ。

 まあ、俺が引っ張ったのもあるだろうがリードラがトップだな。

 敵になる奴いるの?


 ちょうど胸元あたりに表示されるので、俺はリードラの胸をガン見している感じになる。

「凄いな」

 俺が呟くと。

「えっ、何がすごいの?

 胸の事?」

 カリーネが突っ込と、

「私のも見る?」

 そう言って胸を持ち上げるカリーネ。

「ステータス見を見せてもらった感想だよ!」

 と言い返すと、

「わかってるわよ。

 あなたをからかっただけ」


 お狐様のテヘペロは強烈だな。


 カリーネがステータスを覗き込むと、

「!」

 唖然として引いた。

「軒並みSSSじゃない!

 ホーリードラゴンって何?」

(われ)はマサヨシに隷属するドラゴンじゃからの」

 そう言って隷属の紋章を見せるリードラ。

「本当に隷属の紋章が……。

 それも焼き付いた赤い紋章」

「ちなみに、焼き付いた紋章って?」

 カリーネに聞いてみると、

「契約台を使わずに内容を強引に上書きした時にできる現象。

 つまり、普通ではありえない事。

 二度と所有者の変更ができないと言われているの。

 わたしも初めて見たわ」

 と答えた。

 カリーネはじっと俺を見る。

 口笛を吹くふりをして、目を逸らす俺。

「ドラゴン使役する。

 つまりドラゴンより強いあなたはバケモノ?」


 ここでも出ましたバケモノ認定。


「一応人のつもり。

 でないとエリスを助けたりはしないよ」

「そうね……。

 ごめん、エリスが気に入った人をバケモノだなんて……」

 済まなそうにカリーネが言ったが、

「まあ『バケモノ』認定されることはよくある。

 気にしなくていいよ」

 と流しておいた。



読んでいただきありがとうございます。

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