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百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!  作者: 無色
四葉凱歌編

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87.祝福

「はぅわ〜…♡」

「可愛いですぅ…♡」

「マリアとジャンヌにとっても妹だよ」

「私たちの…」

「妹…」


 ベビーベッドで眠る赤ちゃんたちに二人はメロメロだ。

 もちろん二人だけじゃない。


「可愛らしいわね赤ちゃんって」

「はい。とても」

「愛いものよ」

「なんだか…心があたたかく、なりますね」

「ちっちゃふわふわぁ♡写真写真〜♡」


 心なしかみんないつもより穏やかな雰囲気。

 赤ちゃんってすごい。

 子どもが産まれるってすごい。


「お母さんってすごいな」

「はい。すごいです」

「リコリスの声、ちゃんと聞こえたわよ」

「いやぁ、ウヘヘ…。私は結局オロオロしてただけだよ。自分が産むわけでもないのに。情けなくてみっともない…」

「そんなことないわ。あなたはちゃんと待っていてくれたもの。お姉ちゃんとして」

「アルティもよ。この子のお姉ちゃんになってくれてありがとう」


 気恥ずかしいようないたたまれないような。

 なんともむず痒い気持ちになって、私は慌てて話を変えた。


「そ、そうだ!名前!名前どうするの?もう決めてあるとか?」

「それなんだけど」

「ああ。ソフィアと決めていたんだ。この子の名前はリコリス、お前に決めてもらおうって」

「うえぇ?!」


 いやいやいや!

 そんな軽く言われても!


「そんな急に…何も考えてないよ」

「あなたが決めて」

「有無を言わさねえじゃん…」

「いいじゃん姫。リルムたちもアリチュも名前を付けたのは姫でしょ?」

「そうだな。ボクたちはこの名前を気に入ってるし」

「おー!オイラもプランって名前すごく好きだぞ!」

「いや、それとこれとはまた…うーん」


 名前…名前…

 秋に産まれたからアキ?

 それとも私みたいに花の名前をつける?

 秋だと…コスモス、キキョウ、リンドウ、キンモクセイ…?

 それか偉人からもらうとか?

 楊貴妃、クレオパトラ、小野小町…ダメだ頭が混乱してきた。

 えっとえっと…


「ぁ、あぅ…」

「あ!なんか喋った!」

「マリアしー!赤ちゃん泣いちゃう!」

「あ、あーぅ」

「……ノエル。この子の名前は、ノエル=ラプラスハートがいい」

「ノエル…生誕の祝福ね。ステキな名前」


 この子の顔を見てたらパッと頭に浮かんだ。

 産まれてきてくれたことへの感謝を込めて。

 ノエルもどことなく嬉しそうな気がする。

 元気に育つんだよ、ノエル。


「アルティ、もしよければあなたもこの子の名前を決めて」

「へっ?わ、私がですか?えっと、じつは…少し考えていて…。ショコラ…という名前はどうでしょう」

「ショコラ?リコリスちゃんが作ってくれたお菓子の?」

「ええ。甘く優しい子に育ちますように、と願いを込めて。それに語感も可愛らしいので。あの…ダメ、でしょうか…」

「いいや、いい名前だよ。ショコラ=クローバー。素晴らしい名前をありがとう」

「ショコラ…私たちの可愛い娘」


 ノエルとショコラ。

 私たちの妹。

 

「ダメだめっちゃ顔ニヤける…」

「ママ、アリスも。アリスもあかちゃんあいさつ〜」

「はいはい。ほら、ノエルとショコラにこんにちはして」

「こんにちはアリスだよ〜」


 ほわぁ♡

 天使いっぱ〜い♡


「そういえばリーゼちゃんは?姿が見えないけど」

「お二人が産まれてすぐどこかへ…ああ、帰ってきたようですよ」

「たっただいま戻りました…。あの、これ」


 リーゼちゃんはお母さんたちに花束を渡した。


「キレイなお花」

「わざわざ摘んできてくれたの?」

「パパやご主人様、家の方々にお世話になりましたので。せめてこのくらいはと」

「ありがとうリーゼちゃん」

「とっても嬉しいわ」


 慣れていないんだろう。

 リーゼちゃんは顔を赤くして頬を搔いた。

 不器用でマジメで真っ直ぐな娘かと思ったら、年頃の女の子らしい面もあるじゃん。

 

「ありがとね、リーゼ」

「ありがとうございます」

「い、いえ…。喜んでいただけてよかったです」


 お母さんたちが疲れてるだろうってことで、話はそこそこに私たちは部屋を出た。

 授乳のシーンとかねぇ…見たかったんですけどねぇ。


「さっきまでの神聖な雰囲気が嘘のような下卑た気配」

「感じ取んな…んおっ?」

「リコどうし…ん?」


 なんだ?身体が…


「力入んねえ…」

「私もです…」

「ずっと気を張っておったからのう。疲れが出たんじゃろ」

「疲れって…私のスタミナは知ってんだろ」

「たかが数時間のことですよ?」

「自分たちでもわからんくらい切羽詰まってたってことっしょ。寝ろ寝ろ」

「ゆっ、ゆっくり身体を…休めてください」


 なにを子ども扱い…とか思ったんだけど。

 ベッドに横になるなり、私もアルティも秒で寝てしまった。

 起きたときには深夜。

 それもお腹がすいてってんだから、どこまでも情けないね。




 翌日。

 街は辺境伯に二人目の子どもが産まれたとお祭り騒ぎ。


「無事に赤ん坊が産まれたのは喜ばしいけれど、これから大変だな」


 花吹雪が舞う外の光景を横目に、ヨシュアさんはソファーの背もたれに体重をかけた。


「なんでですかおじ様?」

「子どもが産まれれば、他の貴族を招いてお祝いの席を開くのが貴族のしきたりなのさ」

「ホームパーティー的な?」

「そう。軽食や酒を用意したりして。だけど僕は困ったことに、そういう貴族のしがらみのようなものが苦手でね」

「こいつは貴族の中でも相当の変わり者だからな。王城に呼び出されるとき以外は、社交界にすら滅多に顔を出さないことで有名なんだよ。関わりがある貴族なんて僅かで、他の貴族連中の間じゃ、幽霊貴族なんて呼ばれ方をしてるくらいだ」


 幽霊貴族…なんかちょっとカッコいいじゃないか。


「ていうかお前、アルティのデビュタントも開かなかっただろ」

「ああ、まあね」

「お姉ちゃん、デビュタントって?」

「社交界…貴族のパーティーのようなものがあるのですが、その中でも貴族の令嬢が新たに皆様の輪に加わります、どうぞ仲良くしてくださいという意思表示のパーティーのことです。そういえば開いたことも参加したこともありませんでした」

「面倒だろう?他の参加者の顔色を伺いながらつまらない話をしなきゃならないなんて」


 すげぇイケメンが程よく力を抜いてる感じ、世の女性ならキャーキャー言うんだろうな。


「あまり政治的に捉えたくはないが、そんな勝手が許されているのもユージーンやソフィアとの縁がある部分が大きいんだ。英雄と賢者の手綱を握っているというか」

「騒がれるのが嫌で辺境に身を置いてもらってるから、別に制御されてやってるつもりもねぇけどな」

「ハハハ、それはそうだね。安心してくれユージーン。僕はこれでも君たちとの縁を十二分に大切にしているんだ」

「わかってるよ」

「辺境伯というのは、要は国境の警備が主な役目でしょう?なのに軍を持たないのはそういう意味なのね」


 お父さんたちが個人で軍に匹敵する力を持ってるってことか。

 実感は無いけど、やっぱりすごい人たちなんだな。


「じゃあべつにいいんじゃない?お祝いの席とかやんなくても」

「僕はよくてもショコラがね。生誕祭は他の貴族へじゃなく、神様に無事に子を授かりましたという感謝を捧げるために開く席だから。さすがにそれを蔑ろにするのはね。はぁ、招待状を出すところから始めなきゃいけないなんて気が重いよ」

「んー貴族を呼ばないといけないって言うんなら、私じゃダメなんですか?」

「え?」

「私、これでも伯爵ですが?」

「ああ!そうだ、そうじゃないか!ハハハ、すっかり忘れていたよ!」

「アタシたちも」

「姫貴族じゃん!」


 鳥○族みたいに言うな。

 貴様ら揃いも揃って不敬で処すぞ。


「いやしかし、一家だけというのも」

「じゃあヴィルとリエラも呼びましょ。あとフィーナも」


 あんまり騒がしくすると赤ん坊に悪いし、お母さんたちにも負担がかかるだろうし。

 王族と公爵がいれば体裁は何とかなるでしょ。


「リコリスお前、交友関係どうなってんだ?」

「ホホホ、全て私の魅力が成した結果よ」


 てなわけで、さっそく話を付けに行くぞ。




「子ども産まれたからお祝いパーティーしーよぉ」

「お前くらいだ。毎度毎度何の連絡も無しに【空間魔法】で城に乗り込んでくる狼藉者は」

「いやぁ、ハッハッハ」

「お祝いの席ですか。ぜひ出席させていただきます。ね、お母様」

「うむ。しかし馬車で何日もかけては私も疲れる。当日は迎えに来い」


 へいへい、そのくらいお安い御用。


「あーそれとフィーナも呼びたいんだけど、ローレンス家ってどの辺?」

「ローレンス領は王国の西部一帯です。ですがローレンス卿なら、今王都にいらっしゃいますよ」

「ん、何か用事でもあったのかな?」

「なんでもリコリスカフェを自分の領内にも出したいからと、パステリッツ氏と相談するとか」

「そっか。サンキューリエラ、ヴィル。じゃあ日程が決まったら教えるね」

「楽しみにしています」

「つまらぬ催しにはするなよ」


 心得ました〜っと。

 さて、じゃあ次はパステリッツ商会だな。


「こんちは〜。アンドレアさん」

「あーリコリスちゃんだぁ〜!♡久しぶり〜!♡」

「おっふ…相変わらず激しめのスキンシップ」


 これがたまらんのよ。

 このお花のいい匂いが。


「こんにちはリコリスさん。今日はどういったご要件で?」

「お話中すみません。じつは」


 かくかくしかじか。


「えー絶対行くー!♡呼んでくれてありがとうっ!♡」

「よかった。じゃあまた連絡するから」

「もう行っちゃうの?寂しいなぁ。せっかくだから一緒にご飯行こうよぉ」

「いや、今アンドレアさんと商談中だったんじゃ…」

「いえいえ。さすがは聡明なローレンス卿。商談はスムーズに終了しました。年明けにはローレンス領でリコリスカフェを計三つオープンする運びとなりました」


 おぉ…なんだすごいことになってるな…

 しばらく見ない間に王都もちょっと様変わりしてるし、私の知らないところで商売が軌道に乗りすぎている。


「ご安心を。料理、接客の質を落とさせるような真似はいたしません。このアンドレア=パステリッツの名に懸けてましても」

「アンドレアさんには頭が下がります。そういえば迷宮(ダンジョン)の方はどうですか?」

「話題は上々といったところでしょうか。現在毎日百人単位の冒険者が挑み、それなりの成果を上げているようです。アドさんも楽しそうにしておられましたよ」


 楽しいだろうなぁ。

 自分の遊園地に自分で考えたアトラクションを置いてみた、だもんやってること。


「以前お話されました階層に宿屋やアイテムショップを置くという件ですが、アドさんやジェフと相談した結果、商業階層を設置するという方向で話が纏まりました」

「商業階層?」

「階層を魔物が出現しない一つの街にするというものです。広さ自体は王都の約五分の一程度。階層は5階層に設定。冒険者はそこまでは自力で辿り着かねばならず、それによって迷宮(ダンジョン)の難易度を上げる目論見を持たせ、我々商人及び階層到達者のみ、商業階層への直接転移が可能となっております」

「はぇ〜考えられとる〜」


 この数日で発展させすぎだろ。

 才能ある大人の行動力やべぇ。


「今後は随時安全な階層を設定する予定です。今はたしか13階層まで出来ていたはず。迷宮(ダンジョン)階層主(フロアボス)を配置するのが楽しいと、アドさんは喜んでおられました」

「あいつ死傷者は出さないってルール忘れてないよな…」


 迷宮(ダンジョン)内では残機を持たせるとか、死んでも蘇るアイテムとか、そういうの作った方がいいのかな。


「リコリスちゃーん私お腹すいたー」

「はいはい。あ、アンドレアさんもよかったら生誕のお祝いに来てくださいよ。ジェフさんも一緒に」

「よろしいのですか?」

「人が多い方が楽しいですからね。アルティのお父さんたちには私から伝えておきますから」

「では喜んで参加させていただきます」


 家主(ホスト)は私じゃないけど、みんなを招く以上はちゃんともてなしたい。

 料理とか余興とかいろいろ考えよ。

 



「先生とアルティさんの妹様の生誕祭?!先生、不肖の身ではありますが私もぜひ参加させてください!成長した私の腕をぜひ皆様に味わっていただきたく!」


 ワーグナーさんの熱量よ。


「それは構わないんですけど。味わうも何も、今もこうして堪能してますよ?」

「私このお店のハンバーグとっても好き〜♡」

「ね?」


 私が作るのと遜色ない。ていうか私よりおいしいんじゃないか?


「まだまだです。私の腕はとても先生には及ばず」

「ってわりには店も評判みたいですけど」


 お客さんからの反応も良く、連日行列の大盛況。

 オープンから何ヶ月も経ってるのにこの繁忙は凄まじい。

 みんなよく飽きないよね。

 ギルドの口座もすごい額になってるんだよな。


「みんなちゃんと休んでます?お給金とか上げていいんですからね?」

「恐れ入ります。我々のことを第一に考えてくださるなんて、まさに先生は経営者の鑑です」


 ワーグナーさんの私への評価が留まることを知らねえ。

 そう言ってくれるのはありがたいんだけど、私は名前とレシピを使ってもらってるだけだから、経営者としては評価に値しないんだよね。

 働かなくてもお金だけ入ってくるの最高〜♡不労所得ばんざーい♡ってのもちょっと申し訳ない気持ちになるので。


「ワーグナーさん、これ私からのボーナスってことでどうぞ納めてください」

「大金貨?!そ、そんなとんでもありません!我々は働かせていただいているだけで光栄なのですから!」

「いいからいいから。よかったら店の人たちで飲みにでも行ってください。適度な息抜きは大事でしょ?」

「あ、ありがとうございます!」

「リコリスちゃんカッコいい〜♡好き♡抱いて〜♡」

「ハッハッハ、今度な♡」


 あとはサリーナちゃんも誘って、招待客はこんなもんかな。

 ワーグナーさんは接待側で来てくれるっぽいけど。

 百合の楽園(うち)の連中と合わせても、貴族の催しにはちょっと寂しいか?

 うーん…あ、そうだ。

 あの人たちも呼んだら来るかな。




 あれよあれよという間に日にちが過ぎて生誕祭当日。

 【空間魔法】で招待したヴィルとリエラ、フィーナにアンドレアさん、ジェフさんがクローバー家へと到着した。

 ちなみにワーグナーさんには一足先に来てもらって、料理の手伝いをしてもらったよ。

 カチッとした服は苦手だけど、うーんみんなフォーマルなのが似合うねえ。

 しかし…


挿絵(By みてみん)


 なーんで私はドレスじゃなくてスーツなんだ。

 なんでも着こなすリコリスさんだとしても。


「女王陛下、王女殿下。本日は我が娘の生誕の祝にご足労いただき、感謝の意が尽きません」

「お前に畏まられるのは悪い気はしないな。他の貴族の目があるわけでもない。堅苦しいのはよせ」

「ハハハ、そう仰っていただけると助かります。ローレンス卿もお久しぶりで。相変わらずお美しいですね」

「久しぶり〜♡ヨシュアさんたちってば全然顔を見せてくれないんだもん〜。たまには遊びに来てくれればいいのに」

「いや申し訳ありません」


 連絡不精というか、アルティのそういうところは完ぺきにヨシュアさんの遺伝っぽい。

 砕けた態度の貴族は親しみを持てて私は好みなんだけど、それだけじゃやっていけないのが貴族というもの。

 大変ですねえ。


「クローバー卿、本日はお招きいただきありがとうございます。パステリッツ商会会頭、アンドレアと申します。お子様の誕生をお祝いに参上致しました」

「冒険者ギルドギルドマスターのジェフ=ランドルフです。同じくお祝いの言葉を」

「ありがとうございます。本日はささやかながら料理を用意しましたので、どうかお楽しみください」

「ささやかぁ?ちょっとおじ様、このわーたーしーが!プロデュースしてるんですけど?」

「ああ、いや言葉の綾だよ。君の手腕を信用していないはずがないだろう?」


 ふーんだ。


「リコリスさん、アルティさん、おめでとうございます。これお花です。庭に咲いた一番キレイなものを束ねました」

「サンキュ、サリーナちゃん」

「ありがとうございます」

「アル、今日はお招きありがとう。赤ちゃんは?」

「今お母様と共に支度を。ああ、見えたようですよ」


 入り口が開いて女神が現れた。

 あ、ドレスで着飾ったお母さんとマージョリーさんね。

 その腕にはノエルとショコラ。

 女神が天使を抱いてるのはなんて絵になるんだろう。


「皆様、本日はようこそお越しくださいました。紹介いたします。私たちの娘、ショコラ=クローバー。そして我らが敬愛する友、ユージーンとソフィアの娘であり、リコリス=ラプラスハート伯爵の妹」

「ノエル=ラプラスハートです。って、いいのかしら。貴族の席に私たちが混ざっても」

「何を今更。リコリスちゃんは貴族なんだし、第一私たちはもう家族じゃない」


 マージョリーさんがこっちに目配せをする。

 今言っとけってか。


「はぁ。アルティ」

「はい」


 私はアルティの手を取った。


「お集まりの皆様、この場を借りて報告を。この度私リコリス=ラプラスハートは、クローバー辺境伯の長女、アルティ=クローバー嬢と婚姻を結ぶ運びとなりました」

「おお!リコリスさんとアルティさんが!」

「わぁ!おめでとう!」

「まだまだ若輩の身ではありますが、皆様のご指導ご鞭撻を受け、敬虔なる王国の民として邁進する所存でございます。どうか私たちの門出を祝福してくださいますよう、よろしくお願い申し上げます」


 アルティと共に一礼すると、誰がきっかけかはわからないけど拍手が起こった。


「短い。今しがた考えた言葉を綴ったのが丸わかりだ。しかも心にも無さすぎて浅い。形式だけでも取り繕おうと思うなら、せめて数分の口上は考えておくことだな」


 ヴィルからは容赦ないダメ出しをもらった。

 仕方ないじゃん急に振られたんだもん。


「うえぇ…アル…アル゛ぅ…!おめっ、おべでどぉ〜!」

「ちょっ、リエラ…なんでそんな…?」

「だっでぇ〜だっ、うああああ〜!」


 なんか一人圧倒的に感極まってるけど…

 なんにせよ、お祝いパーティーの始まりだ。

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