78.百合の王姫《イヴ》
「フフッ、テミスの意外な一面見ちゃったなぁ♡」
後ろ手を組んで面白おかしく揶揄うリベルタス。
「テミスもリコリスちゃんのこと好きになっちゃった?♡」
そんな彼女に、テミスは仮面を付け直して返した。
「たまには私も私のルールでやりたいことをやろうと思っただけだ。何事にも何者にも抵触してはいない」
「クスクス♡そうだよね、テミスは誰にも罰せられない♡たとえ神罰の執行者にも♡テミスは行動そのものが"正しい"から♡」
「何が言いたい」
「ううん♡ねえテミス♡」
リベルタスは踊るように、歌うように朗らかに微笑んだ。
「リコリスちゃんの力になってくれてありがとう♡」
――――――――
「いやぁ、ハッハッハ。なんとかなったなぁ」
「うええええん!お姉ちゃん死んだかと思ったよぉ!」
「心臓の音聞こえなくなったから怖かったですぅ!」
妹たちのハグがねぇ。気持ちいいんですよねぇフヘヘ。
よしよし泣くでない泣くでない。
「心配をかけおって」
「シシシ、ゴメンゴメン」
「しかし妙なものよ。これだけの幻獣が一堂に会しておるというのは」
「それも定義に反する形で」
「テー、アー、リルムたち大きくなった!」
「うむ。より可憐になったのう」
「キレイですよリルム」
「エヘヘ」
シロンにルドナにウルも。
みんな揃って私のド好みの美女美少女になってまぁ。
「私の趣味が大いに反映されてるって感じだ」
「ボクたち的にはそう変わった感覚も無いんだけどな」
「内に秘めたる力以外は、でこざいますね」
「竜の気に当てられたときはどうなるかと思ったものでござるが、こうして主殿の傍にいられるとは…感無量でござるよ」
おほぉ巨乳に挟まれる幸せ〜♡
と、一方ゲイルとトト。
「主様…」
「あの、ドロシー…」
ドロシーは目を潤ませて二人を睨んでる。
ビンタの一つでもしそうに見えたけど、ドロシーは震えながら口角を上げた。
「おかえりなさい。キレイになったわね、二人とも」
「っ、主様!」
「ドロシー!」
成り行き上、二人の契約者は私に書き換えちゃった形になるんだけど、主従と信頼はそのままに。
何はともあれ、か。
みんなが帰ってきてよかった。
「リコリスさん、お身体の具合は?」
「だっ、大丈夫、ですか?」
「おうっ。めっちゃ元気」
「姫は…べつに変わったとこは無い感じ?」
「もっと可愛くなってたりするかもー♡ちゃはっ♡」
「変わらずウザい」
変わらずってなんだ変わらずって。
「あっあれ?リコリスちゃんの、目が…」
「目?鏡…鏡…わぁ美少女♡」
「はいはい可愛い可愛い」
「もっと言ってええんやで♡んお?なんか右目青いな…あ、元に戻った」
身体は特に異常無し。
魔力が何十倍にも膨れ上がってるかな。
進化したリルムたちの力を一手に引き受けてるからっていうのもあるんだろうけど。
それとは別に何か力が私の中にあるような?
ま、無事にリルムたちの幻獣進化とその制御は成功したってことで。
「あ、忘れてた!みんな、新しい仲間を紹介するよ!ホープドラゴンのプラン…だ…?」
「んぉ?」
「プラン?」
「おー!オイラだぞ!ん?わあああ!なんだなんだ?!オイラも人間みたいになってる!」
「リルムたちと一緒にプランまで進化したの?」
「んーなんかよくわかんないぞ。でも力が漲ってる感じだ」
ちょっとロリめ。可愛い。
お腹…撫で撫でしてぇなぁ。
「リコ、みんなのステータスはどうなったんですか?」
「んぁ。どれどれ」
名前:リルム
種族:幻獣種・粘魔竜姫ベルゼビュートスライムロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【魔竜の暴食】
名前:シロン
種族:幻獣種・眠兎竜姫ベルフェゴールラビットロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【兎竜の怠惰】
名前:ルドナ
種族:幻獣種・空鷹竜姫マモンホークロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【鷹竜の強欲】
名前:ウル
種族:幻獣種・黒狼竜姫ルシファーウルフロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【狼竜の傲慢】
名前:ゲイル
種族:幻獣種・翠甲竜姫アバドンビートルロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【甲竜の破滅】
名前:トト
種族:幻獣種・月霊竜姫レヴィアムーンエレメンタルロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【霊竜の嫉妬】
名前:プラン
種族:幻獣種・冀聖竜姫サタナエルドラゴンロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
スペリオルスキル
【聖竜の憤怒】
「……なんか、すごいシンプルだな」
「人のことシンプルって言うな」
「プランはともかく、みんなドラゴンになったの?見た目はそうでもなさそうだけど」
「私たちもまだよくわかってないよ!」
「このスペリオルスキルっていうのは…?」
「ユニークスキルの更に上位。悪魔や怪物の名前を冠した、幻獣や亜神が使うスキルの極点のことさ」
【念話】とか【状態異常無効】を含めたみんなの力が、たった一個のスキルに集約してる。
その権能どれもとんでもない。
なんていうか、こう…すごい!!
「あっあの、肝心のリコリスちゃんは…」
「あ、そっか。自分のこと診るのすっかり忘れてた」
「関心が無さすぎませんか?」
なんせ変わらず美少女なもんでね。
どれどれ?
名前:リコリス=ラプラスハート
種族:半神半人
性別:女性
年齢:19歳
職業:魔狼級冒険者
所属:百合の楽園
称号:ドラグーン王国伯爵、アイナモアナ公国名誉子爵、ディガーディアー名誉子爵、竜殺し、夜会の主、神への叛逆者
加護:【自由神の加護】【遊戯神の加護】【法神の加護】【精霊の加護】【竜の加護】
アンリミテッドスキル
【百合の王姫】【創造竜の魔法】
「半神半人…私も一応進化はしてるっぽいな」
半神半人。ようは半分は人間で、もう半分は精霊やドラゴンみたいな魔力で構築された精神体ってことらしい。
感覚は今までどおりみたい。
「姫すっげー神じゃん」
「神なのに称号は叛逆者なの、なんだか矛盾してない?」
これテミスが付けたんだろうな。
カッコいいからいいけど。
「【法神の加護】とは、また珍しいものを与えられたものじゃな」
「珍しい?」
「テミスは人嫌いの神として有名だからね。僕も与えられた者は初めて見る」
テミスの加護は人の嘘や悪意を見抜き、それに応じて簡易的な罰を与えられるというものだ。
使う機会は限られるけど、なんだかんだで私は認められたということなんだろうか。
シシシ、可愛いところあるじゃんテミスってば。
さて、問題はこれだ。
「アンリミテッドスキル、【百合の王姫】。アンリミテッド…限界突破か。エクストラとかユニークとか、今まで覚えたりみんなと繋がって得たスキルが全部一個にまとめられてるな」
【恩寵】とリルムたちのスペリオルスキルも同様に。
私の中から無くなったわけではけしてなく、それぞれ独立しての使用も可能らしい。
「そもそもシンプルに【百合の姫】がめっちゃ強化されてんのね。てことは、ますます魅力的になっちゃうか〜♡いやーまいったねこりゃ♡どうもモテ子でーす♡」
「私、神でも容赦とかしませんよ」
「不信心だこいつ!」
さて、もう一つの【創造竜の魔法】。
これは読んで字の如く、魔法を作るスキル。
【管理者権限】をベースに、魔法を集約した魔法とでも言えばいいのか、これもまたみんなの恩恵の結晶だ。
自分の名前を冠してるのはなんか変な気分。
スキル名に竜が入ってるのは、たぶんリルムたちと魂で繋がった影響だろうと師匠は推測した。
「よもや人間が幻獣の運命を変えるとは」
グレイブドラゴンは低くも驚嘆した風に私たちを見下ろした。
「感服させられた」
私が何か言う前に、リルムたちが前に出る。
「ありがとう。リルムたちをここに呼んでくれて」
「私はただの墓守り。何もしていない。お前たちは誰の意思でもなくここに導かれたにすぎない。尤も、ここはお前たちの死に場所ではなかったようだが。まだ幼き同胞たちよ、長き悠久の生を送るといい。私にお前たちを看取らせぬように」
グレイブドラゴンは言葉を残して姿を消した。
幻影なのかそうでないのか、見破るのは野暮だ。
私たちはグレイブドラゴンに敬意を払い、胸に手を当てて頭を下げた。
「どうかあなたにも、長い幸福が訪れますように」
それから竜泉郷を後にした私たちだけど、疲労感が尋常じゃなくて、途中の湖畔にラジアータ号を停めて一夜を明かすことにした。
ご飯もお風呂も明日にしようって、みんな泥のように眠ってる。
魔力の消費が著しいし、揃って限界が近かったみたいだ。
「すぅ…すぅ…」
リルムたちは人間の姿に慣れてないらしく、眠るときは元の姿に戻っている。
私はというと、まだ実感出来てない人間からの脱却に妙な興奮を覚えて、月が映る湖を眺めていた。
「半神半人…か」
「まさか後悔してる、なんてことはありませんよね?」
「アルティ」
「寝ないんですか?」
「こっちのセリフすぎるな。アルティは?」
「気を抜いたら瞼が持ち上げられないくらいは眠いです」
「じゃあ寝ろよ」
「気に掛けてあげたんですよ。婚約者を」
それはなんとも嬉し恥ずかしい。
「先程の質問の答えは?」
「後悔?してるわけないだろ。後先考えない無鉄砲なとこも私の美点なんだから」
「そうですね」
「およ、ツッコミ待ちだったんだけど?」
「半神半人…人間を辞めたあなたは、どういう歳の取り方をするのでしょうね」
「さぁ。生きてみないとわかんないなぁ。普通にお婆ちゃんになるのか、それとも師匠みたいに不老不死なのか。試してみるかーって死んでみるわけにもいかねぇしな。ま、なんだって受け入れるよ」
「もし」
「?」
「もしもリコが不老不死になったら、私もそうなります」
そうなるって、なろうと思ってなれるもんじゃ…
あ。
「アリソンさんのあれか。魔力を細胞に働きかけるとかってやつ」
「私なら出来るだろうと世界最高の魔法使いのお墨付きなので」
「不老不死になるって、そんなん軽いノリで決めていいんか。軽い…ん、いや重てえな。私のこと好きすぎて未来永劫一生愛します♡ってことだろ。やーんアルティってば一途〜♡」
「…?好きなんですからしょうがなくないですか?」
「お前ほんとそういうとこだぞ」
このっ。可愛い奴めっ。
「一生愛する…それが結婚するってことでしょう?」
「だな」
どちらからでもなく自然と指を絡ませる。
「式、どうする?」
「挙げないつもりでいるんですか?」
「違う違う。どこでどんな風にする?って」
「派手じゃなくても、こぢんまりとしていてもいいんです。私たちを祝福してくれる人たちがいてくれれば」
「それなら一回村に帰るのもありだな。お父さんたちに報告と、ヨシュアおじ様…お義父様か。アルティのご両親にも挨拶しないとだし」
「どんな反応をされるでしょうね」
「やっとか、とか思われるんじゃない?」
「リコのお義父様なんて咽び泣くんじゃないですか?」
「想像に容易いな」
好きな人が出来て、愛し合って、結婚か…ああ、なんて…
「なんて幸せなんだろう」
「なんですか急に」
「シシシ、そう思ったんだから仕方ねえだろ」
アルティをすっぽりと腕の中に収めて、甘い香りに頬を綻ばせる。
「好きだアルティ」
「私もです」
「……今日いい?」
「疲れてるって言いませんでしたか?」
「お願いお願いお願い!!先っちょだけ!!」
「……ちょっとだけって約束出来ますか?」
「出来ぬる!!」
「どっちむぐっ!ん、ちょ…リコ…」
なんかブーストかかってる感じするわ。
これも進化の影響か、はたまたアルティが魅力的すぎるせいか。
「がっつきすぎですよ……」
「無理。止まんねえ」
って言った直後。
「?」
「リコ?」
「あ、いや…誰かに見られてるような気がして」
「中折れしたのかと思いました」
「誰だいらん知識教えたの」
生えてねーよ。
……そうだ。
「【創造竜の魔法】」
「何故魔法を?」
「魔力で肉体を作り変える魔法でも…っと。おお……こいつは」
「ハレンチ!!」
「うおおおおピンポイントで殴んなぁ!!」
痛覚有ったらどうすんだ…
どんな痛みか知らんけども…
「これは…以前のよりも…」
半精神体だから出来る芸当だな。
こんなの余裕よ。
私は今黒歴史を乗り越えた。はず。
「…………」
「あの、アルティさん。そんなガン見されると」
ねぇ?
「それでどうするんですか?」
「どう、しようか」
「…………」
「…………」
朝だよ。
「ふあぁ…よく寝た…」
「おはようなのでございますよ…」
「くぁ…どうしたのでござるか?主殿、何やら気怠そうな顔でぞざるが」
「アーも眠いー?」
「ハ、ハハ…ちょっとね…」
「だ、大丈夫、ですよ…」
燃えすぎた…
さて、キノーフィスに戻ってきたわけだけど、人数が増えたのもあって、エヴァの家をお暇することにした。
「いくらでもいてくれればいいのよ?」
「フゴフゴフゴッフゴ!(エヴァが友だちを連れてくるなんて初めてだからね!)フゴッフゴフゴッフゴ!(歓迎してもし足りないくらいだよ!)」
エスカノールさんもエムドさんもそう言ってくれたけど、さすがにね。
部屋に余裕があるわけじゃないし、かと言って人の姿になれるリルムたちを納屋に寝かせるのもね。
「すみません、ご厚意だけありがたく受け取ります。お世話になりました」
「いいえ。またぜひ遊びにいらしてね。エヴァ、いいお友だちが出来て本当によかったわね」
「うっうん…」
「次に帰ってくるときは、孫の顔も見たいものだけど。期待していいかしら、リコリスさん」
「おっお母さん!」
珍しくエヴァが大きな声を出した。
照れちゃってまぁこの子は。
「エヴァは私が幸せにします。なので嫁にください」
「ええ、喜んで」
「よ、よ、嫁……はにゅう〜〜〜〜!」
「ニシシ」
「わ、た、し、が。最初ですからね」
「わかってるわかってるから。ほっぺつねんなって」
「フゴフゴフゴフゴ!(エヴァのこと、よろしくお願い申し上げます!)フゴフゴーフゴフゴ!(エヴァ、ステキなお嬢さんが相手でよかったな!)フゴフゴッフゴッ!(お父さんはお前の幸せを心から祈ってるぞ!)」
「う、うんっ…ありがとう…。二人とも、元気で」
「あなた、もっと派手に見送らないとでしょう?」
「ブヒィィィィィィン!!(行ってらっしゃ気持ちいひいぃぃん!!)」
鞭の乾いた音と汚え激励で背中を押され、私たちはベリーディース家を後にした。
いや、どんな門出?
「では僕はこれで失礼しようかな」
「へ?」
坂道を降りる途中、唐突にアリソンさんが別れを切り出したので私は少し驚いた。
「このままついて来るもんだと思ってました」
「なんていうか自然と溶け込んでたものね」
「フフフ、君たちと一緒はとても居心地がいいんだけどね。全ての未来を知るからこそ当事者にはなれない。僕はどこまでも観測者だ」
アリソンさん曰く、今に至る全ての結果は"観えて"いたらしい。
リルムたちがいなくなることも、私が半神半人になることも。
知ってて何も言わない。言えない。
言ったところで、伝えたところで、アリソンさんが観ているのは、或いは知ってるのは確定された未来だから。
「久しぶりに楽しかったよ。退屈はしなかった。これはそのお礼に」
アリソンさんは光る魔力を一本の鍵に形成した。
「これを持っていれば【空間魔法】を使っていつでも僕の店を訪れることが出来る。暇つぶしに使うといい」
「ありがとうございます。いろいろ勉強になりました」
「こちらこそ。ああ、いや、嘘をついた。僕に勉ることなど無かった。それではね、謳歌し給えよリコリス君。竜饗祭はまだ終わってはいないのだから」
子どもみたいにいたずらっぽく笑い、私の鼻先に唇を触れさせる。
「またいつか運命が交わるところで」
「いやーめっちゃ美人だったなぁアリソンさん♡ミステリアスで掴みどころ無くて♡今度デート誘っちゃお〜っと♡」
「はいはいいつものいつもの」
「病気」
美女をデートに誘うのはスーパー美少女の責務じゃ。
「リルムもリーとデートしたいなー」
「うーんどんな姿になっても可愛いなぁお前は♡」
この慕ってくれる感じがねぇ好きなんですよねぇ。
「しかし、さっきのアリソンさんの言葉は何だったのでしょう?」
「竜饗祭はまだ終わってはいない、じゃったか」
「まだ新しい竜王が産まれてないってことだぞ」
「竜王が産まれたかどうかなんて、プランわかるの?」
「おー!」
「新たな竜王か。オースグラードを出るのは、それを拝んでからでも遅くないよね」
「も、もう行っちゃうのか?!」
誰が言ったのかと思ったら、ベリーディース海賊団の副船長ことケイト少年がわなわなと震えていた。
腕にパンが入った袋を抱えている。どうやら買い物の途中らしい。
「マリアもジャンヌもか?!」
「うんっ」
「そうです」
「そんな、おれもっとお前たちといたい!なあいいだろ?」
おーおーお気に入りの女の子と離れたくないってか?
悪いな小僧。二人は私のなんだ。
目の前で妹たちペロペロして鬱展開でしか興奮出来ない特殊性癖植え付けてやろうか
「ディ○ニーヴィランみたいな顔してんね」
「この…純度の高い非道のクズが…」
「何も言ってないんだが?」
少年だろうと男なら容赦しない。
それが私。
「なんの騒ぎだ?」
「エ、エーファ」
「船長!こいつらが!」
「あぁ?」
かくかくしかじか。
「そういうことか。行かせてやりゃあいい。おれたちには関係ない」
「船長!でも…」
「欲しいもんがあんなら、お前がもっと男らしくなってから奪えばいいだろ。なぁ?」
「シシシ、奪えるもんならね」
「〜っ!マリア!ジャンヌ!おれもっと男らしくなるからな!」
「うん?ん?」
「はい?」
プフーwww
全然意識されてないねぇwww
ゴメンね相手が超絶美少女でーwww
「そなたは本当…顔以外最低じゃな…」
「それが仮にも半分は神の態度ですか…」
「だから何も言ってないんだが?」
言葉にしない優しさはあるじゃろ?
「それで姉貴たちはどこに行くんだ?」
「えっ、えっと、リコリスちゃんたちの…実家に。ですよ、ね?」
「うん。いろいろ挨拶とか、近況報告とか兼ねて一度戻ってみようかなって。竜王が産まれるまでは、こっちに残ろうかなってつもりなんだけどね」
「物好きなこった」
「な、ならまだオースグラードに残るんだよな!じゃあサルウァナに遊びに行こうぜ!」
ケイト少年は顔を明るくそんな提案をした。
「サルウァナ?」
「ってなんですか?」
「こ、小人族が治める土地…です」
「なあいいだろ?秋の果物がいっぱいで、お菓子がうまい店もたくさんあるんだ!」
「果物!」
「お菓子!」
「「食べたい!!」」
色気より食い気。
ケイト少年の提案に妹たちが目を輝かせたため、私たちは小人族の街サルウァナへと向かうことに。
「船で行くぞ。その方が速い」
「絶対嫌じゃあ!!」
陸路で。




