74.竜の因子
千のドラゴンは、たった一体のドラゴンを崇め讃えるように夜の間円を描き続ける。
そうしているうち、黒いドラゴンこと終焉の竜はどこかへと姿を消し、それを機に円環も方方へ散った。
竜星郡。最後まで美しい千年に一度の奇跡。
まさにファンタジー光景だったけれど、竜王は居なくなったとはニュアンスが違うように思える。
たしかに存在は感じるけど、さっきまでと打って変わって力が希薄になって、感知能力を全開にしても引っかからない。
「竜星郡を見た者は永劫の幸福が与えられる。フフ、誰が言い始めたのか。今となっては竜饗祭の真の意味を知る者なんてほとんど居ないだろうね」
「真の意味、ですか?」
「竜は円環と共に人の世に降りる。今頃オースグラードのどこかを彷徨いていることだろう」
「なんのために?」
「それこそが竜饗祭たる所以の一つだよ」
食後酒に清酒を一献傾けながら、アリソンさんが答える。
「竜饗祭であるからと言って、人が竜を食べるということはない。竜が人をということも。…たまにしかね」
たまにはあるの?
「上位竜種というのは半精霊だ。食事は必要とせず、魔力を吸収することで生命活動を行う。無論嗜好品として味を楽しむこともあるけれど。竜王は千年の間、大気中の魔力を喰らい力を蓄え、竜饗祭にて人の魔力を喰らいに人の世に紛れる。誰にも気付かれぬよう、迷惑をかけぬよう」
「人の魔力?」
「大気中に存在する魔力を水としよう。そこら中にあるが味は無い。その魔力が人の体内に入ることで味が付くのだと考えてくれればいい。変質する…栄養を持つのさ。もちろん人には理解しかねる話だが。フフ、おもしろいだろう?竜王はそうして人からほんの少しだけ魔力をもらいながらオースグラードを彷徨う。では何故そんなことをする必要があるのか」
「力を蓄え…千年に一度だけ栄養を摂取する必要がある…」
「千年っていうのは何かの準備期間?」
「ドラゴンがなんの準備すんの?人間を滅ぼすためとか?」
「物騒で草」
「……身籠り?」
エヴァがふと呟いた。
「こっ子どもを産むための…最後の期間が、竜饗祭…とか」
「正解だエヴァ君。千年に一度、竜王は子を孕む。新たな竜王となる子を」
「出産か…なるほどのう。その説は思いつきもせなんだ。生物としての格が違うが故の盲点じゃな。それに竜王とは世代ごとの竜の頂点を指す称号じゃと思い込んでおったが、よもや血脈のものとは」
「生殖行為によるものでなく魔力による肉体の構築だから、同じ血が通っているわけではないのだけれど。つまり竜饗祭というのは、王が代替わりするドラゴンにとっての神聖な祭事というわけだ」
竜饗祭っていう名前すら後付けってことか。
そう聞かされると、なんだかおこがましく思えるな。
「アリソンお姉さん、代替わりした後、先代の竜王さんっていうのはどうなるんですか?」
「うん、いい質問だね。そもそも長い年月を経て力を得た魔物は、幻獣と呼ばれる神ならざる神、亜神へと魂を昇華する。竜王も同じく竜神へとね」
「幻獣って、テルナお姉ちゃんが【召喚魔法】で呼び出してる?そういえば幻獣ってどこから呼んでるの?」
「うむ。その辺は説明したことがなかったかの。妾や魔王、竜王を生物としての格が違うと喩えるならば、幻獣は文字通り生物としての次元が違う。幻獣は"亜空"と呼ばれるこの世ならざる次元でなければ生きられぬ。奴らがこちら側に来るには、【召喚魔法】というルートと、契約した術者というパスが必要になるのじゃ」
陣を描いて召喚に応じてもらうところから始め、魔力の一部を代価に契約を成す。
【召喚魔法】自体が稀少性の高いスキルなのもあるけれど、相応の力が無いと幻獣は契約はおろか召喚にすら応じない。
つまり、複数の幻獣と契約を結んでる師匠が異常ということになる。
「なんで幻獣は亜空じゃないと生きられないの?」
「それはのう――――」
バサッ
師匠のことばを遮る風が一つ。
「っ?!」
私たちの前に、子どもが一人やっと乗れそうなほどの小さな竜が降りてきた。
金色の身体が凄まじく神々しい。
「竜の子?」
「フゴフゴフゴ、フゴフゴフゴフゴーーーー!!(我が家にドド、ドラゴンが降ってきたーーーー!!)」
「はぐれドラゴンとかじゃないよな?子どもが迷って人里に降りてきたとか」
「オイラは子どもじゃないぞ。ホープドラゴンっていうんだ」
「喋った!」
【念話】とかじゃなくて普通に。
「ホープドラゴン…!」
「フゴッフゴッフゴフゴ!(ホープドラゴンといえば幸運の象徴とされる竜!)フゴフゴー!(こんな間近でお姿を見ることが出来るとは感激だ!)」
「身体は小さいが立派な中位竜種だね」
「中位の竜種になると知性も凄まじいのね。人語を介する魔物なんて初めて見たわ」
「なんかいい匂いするな。うまいもんか?なぁなぁオイラにも食わせてくれよ」
「いい匂いって…天ぷら?」
「おお!それだ!」
「食べるんならあっため直すよ、冷めちゃったから。ちょっと待って」
ドラゴンがトパーズみたいな目を更にキラキラさせるので、あんぐりと開けた口にえび天を差し出してみた。
「はい、どうぞ」
「おー!バリバリムシャムシャ…んー!うまいぞ!これなんていうんだ?」
「天ぷらだよ」
「天ぷら!オイラ天ぷら気に入ったぞ!もっとくれ!」
周りに目配せしても、言われたとおりにするのがいいみたいな目をされたので、残った食材を揚げることにした。
「あなたはどこから来たの?」
「ムシャムシャ、オイラはずっとあの山に住んでたんだ」
「あの山ってオーベルジオ?」
「オーベル、ジオ…っていう名前なのか?オイラ外のことは全然知らないんだ。ドラゴンの中でもオイラは新しい方だからな」
ドラゴンに教育の文化があるのかは定かじゃないけど、もしかしたら見て覚えろ、自分で知れとかそういうスパルタな種族だったりするのかな。
「ドラゴンさんカッコいいね!ねえねえ、ちょっとだけ触ってみてもいい?」
「いいですか?」
「おーいいぞ。オイラはカッコいいドラゴンだからな」
「やった!」
「わーい!」
マリアとジャンヌに褒められて、ドラゴンは機嫌良さそうに尻尾を軽く叩きつけた。
「ひんやりスベスベだね」
「ツヤツヤしてて気持ちいいです」
金属みたいに硬いのに靭やかさも感じる。
ディガーディアーで倒したミスリルドラゴンとは全然違う。
その後、ドラゴンは私が用意した食材を全て平らげ、満足そうに口の周りを舌で拭った。
「くあー!満腹だ!こんなうまい飯は初めてだぞ!すごいな人間!」
「そりゃどうも。満足してくれたみたいでよかったよ」
「おう!オイラいつも魔力ばっかり食べてたけど、天ぷらは魔力よりうまくて好きだぞ!」
比べるところが独特でいまいちわからん。
「お前名前なんていうんだ?」
「リコリスだよ。リコリス=ラプラスハート」
「リコリスか」
ドラゴンは唇?ていうか鼻先?を私の頬に当ててから、長い舌で私の顔を舐め上げた。
「んっぺぁ!油っぽい!」
すると淡い光が私を包み込む。
「これは…」
その様子を見たアリソンさんが、クスクスと曲げた指を口元に当てた。
「これが竜饗祭が竜饗祭と呼ばれる所以、その二つめだ。竜は嗜好品として人の食を味わい、気に入った者に祝福を与える。その者の能力を高め、更なる潜在的な力を引き出すとされる【竜の加護】を」
「【竜の加護】…?」
リベルタスにロキに、精霊に竜か…何個加護持たされんの。
ありがたいけども。
ん?いや待てよ?
「従魔契約されてる?!スキルも増えてるし…まさか雌か!」
「どっからどう見ても雌だろ?」
ドラゴンの雌雄わからんて。
【百合の姫】の影響ガッツリ出てるこの感じ久々だな。
「オイラたちは生涯に一人しか加護をやれないんだ。だから加護をやるならちゃんと選べって父ちゃんが言ってた」
「そんな大事なものよかったの?天ぷら食べさせただけなのに」
「天ぷらはすごいぞ!父ちゃんたちにも食べさせてやりたいくらい!」
「お、おお…」
「リコリスお姉ちゃんのご飯はどれもおいしいんだよ!」
「ラーメン、お寿司、ハンバーグ…どれも最高です!」
「なに?!天ぷらよりか?!なぁなぁリコリス、またなにか作ってくれよ!」
「べつにいいけど。ていうか、あなた名前は?」
「オイラたちに名前なんか無いぞ?魔物はそういうもんだろ?」
「それもそうか」
「リコリスが好きな名前を付けてくれていいぞ!オイラたちは加護で繋がった盟友だからな!」
距離感の詰め方陽キャじゃん。
人懐っこいっていうか、ルウリといい勝負してんな。
一応【神眼】で診とくか。
ホープドラゴン。速い。強い。【光魔法】を扱える。……相変わらず簡素な説明だね【神眼】さん。
「名前か…魔物に名付けなんてリルムたち以来だ。ホープドラゴン…そうだなぁ」
「ド○ミちゃん」
「黙ってろルリ子・F・ルリ雄。よし、それじゃあプラン。ホープドラゴンでプランにしよう」
「プランか。キシシ、オイラ気に入ったぞ。ありがとなリコリス」
プランは身体の大きさを変えると、手乗りサイズほどになって私の頭に乗っかった。
「おとと、これからよろしくねプラン」
なんか急な展開だったけど、リルムたちも喜ぶだろうな。
新しい友だちが増えたって。
「おーいリルムー。あれ?リルム?シロン?ルドナ?ウル?おかしいな…どこ行ったんだろ。おーい。もう寝ちゃったのか?」
「では、僕たちも休むとしよう」
「そうですね。今日一日でいろんなことがあって疲れましたし」
って、明日の観光に備えて早めに休むことにしたんだけど。
翌朝目が覚めたら、リルムたちの姿はどこにも無かった。
朝ご飯だよって呼んでも来ない。
こんなこと今まで無かったんだけどな。
「おーいどこ行ったんだよー」
「ゲイルとトトまで…いったいどうしたのかしら」
「心配ですね。みんなで手分けして探しましょう」
シャーリーはそう提案してくれた。
でも。
「きっとどこかで遊んでるんだろ。元々自由な性格してる奴らだし。心配無いって。まあ一応、どこかで迷惑をかけてないか飼い主として探しに出てみるけど」
「アタシも行くわよ」
「オイラもついて行くぞ!」
「おう。ってなわけでさ、こっちはリルムたちを探しておくから、みんなはオースグラードを観光しててよ。師匠なんて昨日一日ダウンしててろくに楽しんでないだろ」
「ゴメンねみんな、今日はアタシがリコリスを独占させてもらうわ」
「おっ、今日は久しぶりにイチャイチャするかー♡」
「おいオイラもいるぞ!」
私たちの漫才にため息してから、アルティは了承した。
「では、予定通りに温泉に行きましょうか。何かあったら連絡を」
「うんっ、するするー♡一分ごとに愛してるって送るー♡」
手を振ってみんなと別れたけど、あれはバレてんなぁ。
「よし行くかドロシー、プラン」
「ほんとどこに行ったのかしらね」
「ただの行方不明なら探しようはあるんだけどな」
私はドロシーに自分のステータスを表示して見せた。
「リルムたちの従魔契約が外れてる…?って、まさか!ア、アタシの契約も外れてる…なんで…?」
「【百合の姫】で繋がってたはずのみんなのスキルは使えないし【念話】も繋がらない。明らかにリルムたちに何か起こってる。オースグラードに近付く頃から様子はおかしかったのに、大丈夫だろって気にしてなかった。クッソ…私の責任だ」
「アタシもね。とにかく今は自分を責めても仕方ないわ。みんなを探しましょう。って言っても当てがあるわけじゃないのよね」
「広いオースグラードを闇雲に探してもな…どういうわけか【世界地図】にも反応が無いし」
どうすればいいのかと途方に暮れていると。
「なぁなぁ、あのスライムたちを探すのか?なら竜泉郷を目指すといいかもしれないぞ」
「竜泉郷?」
「あの山、なんて言ったっけ?」
「オーベルジオ?」
「そうそれだ。オーベルジオの麓には、いっぱいの魔力が溜まってて、魔物がよく集まるところがあるんだ。オイラたちはそこを竜泉郷って呼んでるんだけどな、父ちゃんはよく、竜泉郷は魔物の楽園だって言ってた」
「魔物の楽園?」
「他に手掛かりも無いし、一度行ってみましょう」
「そうだな。プラン、案内を頼んでもいい?」
「おう!任せとけ!」
一縷の望みを託し、私はラジアータ号のハンドルを握った。
「しっかり掴まってろよ」
「振り落とされても助けてくれるでしょ」
ギュッ
「……なんで背中合わせで座ってんの?」
「ガッツリ前向いて当ててんのよ」
「相変わらず悲しい乳してんな…でもまな板っぱいも好きだぜ♡」
「そう。なら今度すりおろしてあげるわ。頭蓋骨まで」
興奮しちゃうじゃねーか。
――――――――
「リルムたち大丈夫かなぁ?」
「心配です」
「きっとすぐに見つかりますよ」
「アルティ君の言うとおりだ。心配は要らないさ、マリア君、ジャンヌ君」
「疑問符いいっすか?なんでアリーも付いて来てんの?」
私もそれが気になってました。
「そう邪険にしないでくれるとありがたい。同じ釜の飯を食った仲じゃないか。不老不死が出歩いてはいけないなんて法も無いわけだしね。気まぐれを咎めることなんて誰にも出来はしないさ。ということで今日は温泉を堪能しようじゃないか。案じなくとも従魔たちはいずれ戻ってくるよ」
「何か知っていそうな口振りですね」
「知っていそうな、とは語弊があるよシャーリー君。僕は全知の王なのだから。過去も未来も全てこの中さ」
アリソンさんは人差し指でニ回、自分の頭を叩いた。
「これから何が起きると?」
「君は答えのわかっている人生を心から謳歌出来る人間かい?」
年頃の少女のように屈託なく笑い、けれど重みを含んだ言葉を発する。
答えを知っている人生というのはいったい、どれだけ退屈なのだろう。
どれだけ虚無なのだろうと思ってしまった。
「…すみませんでした」
「フフフ、君はいい子だね。それに賢しい。その調子でリコリス君を支えてあげ給えよ」
「み、みなさん、お待たせしました…船のチケットが取れました…」
「もうすぐ出航じゃぞ」
「ありがとうございますエヴァさん、テルナさん」
「よっしゃ行くべ。いざ、ゴア=フォルタ。竜人族の里へ」
ゴア=フォルタ。
湖を渡った対岸に座するオースグラードきっての温泉街。
キノーフィスや他の街でも温泉は楽しめるけれど、ゴア=フォルタの温泉は一味違うらしいことを、エスカノールさんから聞かされた。
どうせならと、こうしてわざわざ船で向かっている次第。
船といっても人が数十人乗るかどうかの小船だけれど。
「フフフ、最初からこうして飛んでいけばよかったのじゃ」
テルナは船と並んでこうもりの羽を羽ばたかせている。
周囲に酒に本に果物を浮かせて、それはそれは優雅に。
船を使うと聞いたときは、
『絶ーーーーッ対イヤじゃ!!船ぇ?!そんなものに乗るくらいなら妾お留守番するのじゃ!!もーどんな船にも乗らん!!こっちで残って一人寂しく酒盛りしてた方がマシじゃわ!!フンッ!!』
なんて駄々をこねていたけれど、機嫌が直ったようで何よりです。
「あと三十分は遊覧するようですが、大丈夫なんですか?」
「飛行が本分ではないからの、長時間飛ぶと疲れるのは仕方ない。が、船酔いするより百!倍!マシじゃ。この後に待っておるのが温泉と酒の極楽ともなればこの程度の苦労など」
「あなたも大概物欲にまみれていますよね。リコやモナといい勝負です」
「強さと奔放さは比例して然る。己の欲に忠実で可愛いじゃろう?」
テルナはそう言って紫がかったワインを傾けた。
「んーこれが噂に名高い小人族の手掛けたロメロニワイン。すみれの花の馥郁たる香りが良い。アルティよ、そなたもやるか?」
「一杯くらいは付き合いましょう」
「うむうむ。船旅はこうでなくては」
「あなたのそれを船旅と呼んでいいのかはさておき」
グラスを受け取ったときだ。
グラスに反射して、遥か上空に竜の影が見えた。
「不思議な感覚です。存在すら稀少性が高い竜を、こうも高い頻度で目撃するというのは」
遠目にとはいえ竜王を目撃して、リコに至ってはドラゴンを従魔にしてしまった。
まるで自分が御伽話の中に迷い込んだような気分だ。
「竜の稀少性が高いのは、奴らが滅多に人前に姿を見せぬからじゃ。知能の低い下位竜種はともかく、中位竜種ともなると滅多な理由も無ければ人を襲うことも無いしの。…たまにしか」
「たまにはあるんですね」
「まあそれを抜きにしても、竜の因子の数が少ないのがそもそもの原因じゃからな。仕方あるまいて」
「竜の因子ですか?」
「クハハ、さすがの大賢者も知らぬことはあるか」
「魔物学は専門外なので」
「人は誰しも多少なりの欠点があった方が可愛げがあるというものよ。まあ、そなたを完全無欠と思ったことはないがのう。クハハハ」
小馬鹿にされているらしく私は眉根を寄せた。
「甲板に引きずり落としてもいいんですよ」
「すまんかったからマジやめてほしいのじゃ!コホン…竜の因子とは、すなわち竜に到る素質のことを指す。産まれついて竜が竜であるようにの」
「それは…当然なのでは?」
竜は竜。
それ以外の何なのだろう。
「では視点を変えて話そう。生物はみな、遺伝子の情報というものを持っておる。親の髪色、瞳の色、肌の色などが子に遺伝するのは、子が血に情報を継承しておるからじゃ。遺伝子の情報は連綿と記憶され、ときに隔世的に遺伝することもある。例えるならば獣人族。犬の獣人と猫の獣人が交わった場合、どちらかの獣人が産まれるのが道理じゃが、稀に別の動物の血を引いて産まれることがある」
「それ以前に別の動物の獣人族の血が交わり、遺伝子の情報が組み込まれているからですね」
「そのとおりじゃ。同じことが魔物全般にも起こるわけじゃが、魔物の場合は少しだけ話が変わってくる。それが竜の因子。遺伝子の情報の中に、極稀に竜の力を持って産まれてくる魔物が存在するというものじゃ」
「それはトカゲや恐竜などの亜竜以外も、ということですか?全ての魔物は竜に到る可能性を秘めていると」
「うむ。尤も遺伝子の情報が隔世的に現れるのとは異なり、竜の因子は魔物にとっての本能に近い。それ故に数は極端に少なく、また竜の因子を持っていたとして、討伐や力量不足で覚醒に到らずというケースが多々で、確認された事例などほとんど無い。学術書の中で語られるような御伽話じゃよ」
テルナは話に区切りをつけワインで口を潤した。
「御伽話…」
私も注いでもらったそれを口に含む。
吐息に濃い花の香りが混じるのがなんとなくおかしかった。
なら、もしも…と考えて またおかしくなる。
たまたま出逢ってたまたま従魔になった魔物たち、その全員に竜の因子が眠っていたら。
それはいったい、どれだけ途方もない確率の果てなのだろうかと。
この度百合の楽園に新しい仲間が増えました。
ホープドラゴンのプランです。
ちょっと子どもっぽくておいしいものが大好きな可愛い子です。
リルムたち共々よろしくお願いいたします。
今ちょっとだけカッコいいイラストを制作中です。
誰のかは、もう少し楽しみにお待ちください。
誰か性癖に刺さるキャラが一人でもいたら、いいね、ブックマーク、レビューをお願いいたしますm(_ _)m
感想でどのキャラが好きか教えてください!




