表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

387/402

505 「願い事(2)」

「あのね、仮に魂の接続ってやつが途切れても、また呼んでもらえばいいんじゃないかな? ホラ、シズさんはタクミン呼ぶって言ってるし、枠は7人あるし、魂が途切れても体は残ってるし、多分体の状態は強制離脱と同じだろうから、すぐにこっちの体が死ぬわけでもないでしょ」


 「おおっ!」思わず3人で感心する。

 トモエさんなど、手を「ぽん」と叩いてる。


「なんだ、問題ないんじゃないか」


「だよな。一瞬でも心配して損した」


「うーん、ここが恩の返し時と思ったんだけどな。シズの深謀遠慮に阻まれたか」


 トモエさんが態とらしく腕を組んでいる。

 なるほど、トモエさんはそう思ったからこそ、覚悟完了な飄々さだったのだ。

 ホッと一安心したところで、三人が目を覚ました。


「どれくらい時間経った?」


「多分、数分。それよりどう?」


 ハルカさんにそう聞くと、3人が何かを考えるような表情になる。

 そして「オーッ!」とレイ博士が奇声をあげた。


「何と、錬金術の真髄も入っとるじゃないか! あれもある、これもか。ん? これは何だ? 聞いたこともないものも山ほどあるぞ」


「そうだな。第五列の魔法の幾つかは、遺失魔法だろう。治癒魔法も第四列まで、怪我を直す系列があるし、体の状態を調べる魔法もある。調べた後で魔法を施せば、安全に治せそうだな」


「そっちはお願いね、シズ。私も治癒魔法とか随分増えてるわ。けどそっちより、拡張、補助の方が嬉しいわね」


 三人は少し興奮気味だ。

 今のオレ達の話を伝えないといけないが、解決策があるのだから後でも構わないだろう。



 そうして次は週末に来る事を伝えて目を覚まして外へと出る。

 そして外は騒然としていた。

 出口には、大勢の『ダブル』が待ち構えていた。

 口々に「何をした」「何があった」と聞いてくるけど、要領を得ない。


「待って下さい。何があったんですか?」


 ようやく叫ぶように聞いたハルカさんの声に、『ダブル』達も少し落ち着く。

 そしてヒイロさんが代表して一歩前に出た。


「僕の仲間を含めて4人が、突然倒れたんだ。何か知らないかな?」


「ああ、そういう事か」


 その言葉にオレ達は納得する。

 そして事情をかいつまんで説明すると、それはそれで騒然となった。


「じゃあ、サキは最強魔法使いの仲間入りって事か?」


 どうやらジョージさんところのサキさんも、4人の中に含まれていたらしい。

 そして質問にはハルカさんが実感を込めて答える。


「魔力総量が足りないから第五列の魔法を覚えたとしても、触媒や魔石を大量に持たないと使いたくても使えないでしょうね」


「なら、『世界』に頼んで、魔力も限界いっぱいまで増やしてもらえばいいじゃないのか?」


「そんなに1人が恩恵に預かったら、不公平でしょう。それに優先権は、ここに来るまで一番活躍しているハルカ達が受けるべきよ」


 マリアさんの言葉はもっともだし心強くもある。

 けどオレ達は、すでに十分もらったと思うし、この場のみんなも聖地から相応に戦ったりしてきているのだから、恩恵の一つや二つあっても良いと思う。

 視線を向けると、他の仲間も似たように思っているようだった。

 それを受けて、ハルカさんが再び口を開く。


「私達は、まだ3人が願いを決めてません。また、もう一人はこの世界に任意の『ダブル』を招く事にしてますが、すでに1人分は決めているので、後6人を皆さんの知り合いから選べるかもしれません」


「あ、それなんだけど、もう一人の枠も貰うから5人分でお願いします。後、呼べる人は、塔の中に入れる人が正確に思い浮かべられる人じゃないとダメみたいです」


 少し強めの視線がハルカさんからオレに注がれるけど、後で説明する的な視線を向けておくと、多分ある程度は伝わった。

 そしてギャラリーの『ダブル』達は、ざわついてそれぞれのパーティーで相談し始める。


 誰を新たに呼ぶのかについては、オレ達が運営している『アナザー』サイトのメールに画像と個人情報を送るくらいしか手がないので諦めた。

 そして中に入れるマーレス殿下以外の10人が、好きに決めてくれって事に落ち着く。


 それよりも魔力を与える話からは、かなり紛糾した。

 何しろ願い1つだと、枠はキューブの数と同じ7人分しかない。

 そしてそこから、かなりのグダグダになった。

 

 『ダブル』の出現時に格闘戦など色々な技術を体に刷り込めるのだから、技術を与える事もできるんじゃないかという話になり、ヒイロさん達が塔の中で確認だけしに行った。

 他にも、何をもらう事が可能なのかなどをヒイロさん、火竜公女さん、空軍元帥が代表となって聞いてきた。


 そして結論として、『世界』がこの場で人に与えられる恩恵は、基本的には知識と魔力。それに技術もオーケーだった。そして意外だったけど、属性を増やすユニーク(特徴)もいけた。

 属性を増やすのは身体能力の無属性も増やせるので、間接的には魔力総量と基礎能力の向上にもなる。

 それ以外にも、人によっては追加で属性以外のユニークが増やせるかもしれないという事だった。


 また魔力を与える場合、魔導器に認められるだけの総量は無理。一度に与えすぎると魔人化するとの事。

 最大でAランク程度までだった。

 他にも、既存の魔導器にさらに魔力を注ぎ込むというか練り込む事もできるそうだ。

 そして願いとして同じ事が重複した場合は、一回分限りではなく重複分だけ数は増やせた。



 一方で、ここに至る事のできる『ダブル』に依り代を与えるなどをする魔導器について聞いたけど、基本的には「客人」を補佐する一世代前の魔導器を代々使っているそうだ。

 だから今はキューブ型で、300年後には今活発に活動している球体、オーブ型とでも呼ぶべき魔導器が使われる。


 だからオーブ型を6つ揃えて持ってきても、塔の中には入れない。

 一方で古い方を持ってきた場合は、次からは塔に入るアイテムとしては100年間は対象外となるけど、自動的にメンテナンスしてくれる。

 つまりクロ達は、オレ達の知らない間にメンテ済みと言う事だ。


 魔導器自体の活動寿命は500年程度だけど、何らかの理由で稼働していた度合いなどにより個体差はある。

 キューブ型の数は最大で100個程度。すでに壊れたり活動停止しているものものあるので、過去の事例から見ると現存するのは半数程度。


 過去300年間に、そのうち半数程度が一度は使われている。その中には、100年以内に使われたものもある。その上、今回オレ達が使った事になる。

 それ以外、推定で30から40個ほどが世界のどこかに塔に入るアイテムとして使える状態として存在する事になる。

 そして神々の塔は、現行の魔導器の追跡で精一杯で、古い魔導器の位置を全く察知していない。

 少なくとも知らないの一点張りだったそうだ。


 そうしてともかく情報は揃ったので、何をもらうか考えないといけない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ