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日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

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497 「報告(1)」

 とにかく復活に光が見えたので、全体の雰囲気が明るく、そして軽くなった。

 そこに半ば部外者だったレイ博士が、再び問いかけた。


「ところで世界よ、出来うる限り便宜を図ると言ったが、一人幾つまで願いを叶えてくれるのだ?」


《際限がありませんので、一人一つです。しかし、その一つの範疇は出来る限り広義に捉えるようにしています》


「この場の全員に魔導と知識を与える、と言った風にか?」


《そうです。何か決まりましたか? お決まりでないのなら、決まるまでお考え下さい。時間は十分にあります》


「十分ではなかろう。一週間だ」


《はい。ですが、『夢』の中では体感的な時間は何百倍にも増えた事になります》


「そうか、それで『夢』なのか。なら、ゆっくり考えさせてもらう」


 真面目モードなレイ博士が、クソ真面目に『世界』と問答している。

 そしてそれを聞きつつ、他のみんなも考える。

 既にボクっ娘とハルカさんが、願いを決めて伝えたも同然だ。

 オレは、オレの分をハルカさんに使わないのなら、彼女とずっと居られるように年齢でのドロップアウトなしだ。

 あとはタクミをもう一度呼べるかだけど、ここは後でタクミに謝るしかない。


 どんな事を求めるのか、真剣に考えているのは悠里だけだ。

 トモエさんは気軽に構えている。

 そうして見ていると、シズさんがレイ博士へと顔を向ける。


「レイ博士、知識を求めるのか?」


「多分そうなるであろうな」


「なら魔導の真髄だけでなく、すべての魔法にしてもらえないか?」


「まあ、構わないが?」


 オッサンが可愛く首を傾げても可愛くない。

 対してシズさんは淡々としたままだ。


「向こうで私が治癒魔法を使えれば、聖魔タカシを呼ぶ必要もなくなるだろ」


「なるほど、あいつが唐突に見舞いに来れば、周りも混乱するであろうな。心得た。ただ、もう少し考えさせてくれ」


「ああ、勿論だ」


「あの、それだったら私の分をシズさんの必要な魔法にしてもらって全然構いません」


「有難う悠里ちゃん。でも、みんなで考えてから決めよう」


「ハイっ!」


「お礼を言わないといけないのは、私よ。みんな有難う」


 悠里にシズさんのやり取りに、ハルカさんが二人だけでなく全員に頭を下げる。

 それに人それぞれに反応を示したけど、シズさんがこれでこの話は、今はひと段落って感じで雰囲気を改めてから球体へと問いかける。


「少し質問だが、私は恐らく獣人で言うところの妖人と同じ状態の筈だ。だが他の「客人」と同じように、年齢を経るとこちらに来なくなるのか?」


《魂が依り代に強く引っ張られるので、余程強く拒絶しない限りは難しいでしょう》


「やはりそうか。それで、この体は何年生きられる?」


《基本的に不老です。自然死はありません》


 流石にこの言葉には、シズさんも目を丸くしている。


「つまり「異界」で死んだら、あとはこちらで永遠に生きるという事か?」


《妖人、妖獣とも、生きるのに飽きると死に至る場合が多数報告されています》


「ちなみに何年ほど?」


《人それぞれ、としかお答え出来ません。ちなみに、最短は通常の自然死程度、最長は1万年を超えています》


「なるほど、心の問題ならそうだろうな。ありがとう」


 《どういたしまして》と『世界』がちゃんと答えるのが、どこか人間臭い。

 けど1万年とか、「もうそれ神様だろ」と思える。

 そしてシズさんが驚きから戻ると、さらに言葉を続ける。


「話は変わるが、願いとして任意の誰かを「客人」として招く事はできるか?」


《可能です。ですが、相応しい方に限ります》


「一人だけ?」


 そこにトモエさんが問いかける。


《この期間中の、通常お招きする限りとなります。あなた方の地域からは毎日1人は最低招いております。ですから、一つの要望に対して、合計7名までです》


「だってさ。シズはタクミ君呼ぶの?」


「知識や魔法が一人の願いで済むなら、願い事の使い道がそのくらいしか思い浮かばないからな。トモエはどうする?」


「獣人が無理だもんね。まあシズに付き合う積りだから、妖人化で良いかなって」


「妖人なら、Aランク以上なら大抵はなると言うぞ。その辺りどうなんだ? あと妖人になれば、私と同じように年齢による脱落はないんだな?」


 そう言って、シズさんが球体に顔を向ける。


《妖人となると、こちらの世界に強く引っ張られます。

 また、ランクというものは分かりかねますが、トモエ様でしたら既に変化が始まっています。この場にいる皆様も全員含まれます》


「えっ? じゃあどうして私を?」


《お身体の状態から、急ぐ必要があるからです。妖人にするのでしたら、既に皆様始まっていますので要望の対象外です。必要ありません》


「アララ、じゃあどうしよう。それこそ魔導と知識の全てを寄越せってくらい?」


「ならば我輩が、魔力を求めようか?」


「おっ、それいいね。役満じゃんって、私どうしよう? ライムとずっと一緒にいられるようにしようと思ってたのに。他に何か強くなれる事ってあるかな?」


 どうもみんな強くなる事に興味があるのか、それとも特に願いがないから取り敢えずなんだろうか、どうもノリが軽くなってきているようにも思える。


「もっと考えても良いんじゃないか? 1週間あるんだから」


「あー、確かに。ねえ、叶えてもらうのは7日後でも良いの?」


《問題ありません。7日後、日付が変わるか皆様がお休みになるまでが制限時間となります》


「だってさ。私、一応考えてみるよ」


「そうですね。ハルカさんの事済んでからでも良いですよね」


「我輩は知識で良いが、確かにショウ君の言う通りだな」


「と言うわけだ、また来るが、いつ来ても良いのか? それと外に飛行船を止めっぱなしで問題ないか?」


《期間中なら問題ありません。それでは次の来訪をお待ちしております。では、また横になって目を閉じて下さい。そして同じように5つ数えますので、それから意識して目を開けて下さい》



 そこで今度は全員バラバラの場所で横になり、同じように目を開けると、ちゃんと頭を内側に向けた円形状になって、そして手を繋いで寝ていた。

 周りにはクロ達もいる。


「クロ、どれくらい経った?」


「はい。1分も経過しておりません。何か御座いましたか、我が主人?」


「後で話すよ。クロ達にも協力頼むかもだからな」


「畏まりました。お申し付けをお待ちしております」


「おう。取り敢えず、外に出よう。選手交代だ」


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