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日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

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469 「様々な人との再会(1)」

「ようっ兄弟。久しぶりだな!」


 自分たちの船の周りでヘタリ込む感じで休憩していたら、ほぼ戦いが沈静化したくらいに旧知の人達がやってきた。

 ジョージさん達だ。


「お、お久し振りです」


「と言っても、体感的には三ヶ月ぶりくらいだな」


「流石の勇者様もお疲れのようだな」


「勇者はハルカさんですよ」


 レンさんのジョークに、思わず力のない笑みを浮かべてしまう。

 その横では、マリアさんとサキさんが、ハルカさん達と挨拶を交わしている。

 そして驚きの声が聞こえてきた。


「えっ? シズトモのトモ? えっ? じゃあ、シズって、シズに似てるからそう名付けたんじゃない、とか?」


 マリアさんが混乱しているのは、かなり貴重なシーンだ。

 同時に「シズさんの事はそう思っていたのか」と納得する。

 そのあとも話は続いているけど、それよりも気になる事があった。


「それにしても、どうしてここに?」


「そりゃおまえ、ショウ達が運営してるホームページを見てたからに決まってるだろ。他の連中も、大なり小なりそうだと思うぞ」


「ノヴァの空母が合流してきた時は流石に驚いたがな」


「そうだったんですね。でも、何で?」


 そう、オレ的には話がまだ見えない。

 オレが何してきたかなど、今年の6月から公開しっぱなしだ。数日前にも、『帝国』を立つ辺りまでの話をアップしたところだ。

 ただ、なぜ今ここに現れたのかがさっぱり分からない。

 けど、そんなオレの間抜け面に二人が苦笑する。


「これまで地皇の聖地は、行った奴がほぼゼロだ。あっても上空から見たとか、玉砕報告だった」


「それを兄弟達が『帝国』と一緒に攻めるってんなら、行けるチャンスありってみんな思ったんだよ」


「チャンス、ですか?」


「何しろ兄弟達は、ノヴァで大暴れしただろ。そいつらが攻めるってんなら、突破できそうだろ」


「何しろ今話題のSランパーティーだからな」


「オレ達が?」


「知らないのか?」


 首をフルフルと横に振るしかない。

 そう言えば、最近色々と忙しくて他のまとめサイトも見てないし、部員や講演会に来る人達ともあまり話してないから、他の情報や噂とかはさっぱり拾えてなかった。

 そんなオレに、二人して「ダメだなぁ」と首を横に振られる。


「いいか兄弟、今『アナザー・スカイ』で活動してる『ダブル』の中で、少なくともオクシデント地域で最強パーティーは兄弟達って言われてるんだよ」


「何しろ、上級神殿巡察官に尻尾が5本もある獣人魔導師、それに疾風の騎士に雷龍の使い手だからな」


「さらにハーレムメンバー追加とか、反則だろ」


「ハーレムメンバーって……」


「まあハーレムはともかく、あのサムラーイがモデルさんって、マジなのか?」


 ジョージさんが、トモエさんをチラ見する。


「マジですよ。当人もそう言ってるでしょ。それに、めっちゃ強いですよ」


 横で行われている女子トークでは、トモエさんは普通にリアルバレをしている。らしいと言うべきだろうけど、隠す気ゼロだ。目元で横ピースとかして、ポーズまで取っている。

 似合ってるけど、サムライっぽいスタイルでやると違和感半端ない。


 そしてシズさんについては訳ありという事で、機会を見て話すという事に落ち着きつつある。

 まあ、この4人には、いい加減本当の事を話しても良いだろう。

 それに例のバズった写真の件を考えると、ボクっ娘と悠里までいるんだから、誤魔化しても仕方ない。

 しかし男子チームは別の事に関心が向いていた。


「まあ、その話はマリアさんに任せるとして、だ」


「そうだな。それよりチラっと見たけど、『帝国』の皇子ってマジだったんだな」


「ええ。マーレス殿下には、色々と助けて頂きました」


「なるほどな。あと、ゴーレムマスターが居るって話だが? これもマジなのか?」


「ええ。呼びましょうか? 船の中だと思いますよ。大勢の前は嫌だって、言ってましたから」


「えっ? ゴーレムマスターって実はコミュ障?」


「ええ、まあ、多少」


 思わず目を逸らしてしまう。

 それほど隠キャでもないけど、色々と問題はあるだろう。

 けど横目の先で、そのダメな象徴の一つが歩いてきた。


「ショウ様、我が主人がお呼びです。如何致しましょうか?」


「重要な話?」


「いえ、あのオタクの戯言に過ぎません。大した事はないでしょう」


「じゃあ、後で顔出しますって伝えといて」


 「畏まりました」と慇懃にお辞儀をして去って行った。けど、問題はむしろここからだろう。

 二人とも、いや隣の女子2人も目を丸くしたり、呆然とした表情を見せている。

 近くに居るのがジョージさん達だけで良かった。他の『ダブル』もいたら、レイ博士の株はさらに下がったところだ。まあ、今更な気も多分にするけど。


「で、あの人は?」


「てか、何かのコスプレか? 流石にあれはレギュレーション違反だろ」


「あれは、レイ博士のゴーレムの一種?」


「何で疑問系なんだよ。で、実際は? そういう設定、ってだけじゃないだろうな」


「いや、マジで魔導器です。他にも、似たようなのが歩いてたでしょ」


「そう言や猫耳執事も居たよな」


「まあ、機会があれば紹介しますが、博士秘蔵のゴーレムってやつは、結構な数が旅に同行してます」


 他に、騎士と神官、それにガキンチョもいる。

 同行するなら紹介する事もあるだろう。

 それにこの人たちには、この件もいい加減真実を話すべきかもしれない。


「そうなのか。それにしても、ようやく入った男子メンバーがゴーレムマスターとか、どうなんだよ?」


「まあ、年齢とか趣味とかかなり差があるのは確かですね。けど、今回の旅だけですが、男子メンバーはもう一人いますよ」


「そうなのか?」


「絵描きの人です。多分、そのうち向こうでもカミングアウトして、絵を一杯アップすると思います。意欲満々でしたから」


「なるほど。旅の絵師か。リアルには記憶と技術しか持ち帰れないから貴重だよな」


「あのサイトで絵を描いてる人か?」


 レンさんが感心するより先に回答にたどり着いた。

 だから素直に頷く。


「はい。でも一応オフレコって事で」


「それは勿論。しかし次は神々の塔だろ。これは貴重だな」


「で、行けそうなのか?」


 ジョージさんの言葉に腕組みしてしまう。


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