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日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

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418 「待ち伏せ(1)」

「追撃隊が壊滅して、悪魔に逃げられた?!」


 西に移動して『帝国』軍の駐屯地のような場所で、その報告を聞いたのは翌日の午後遅くだった。


 ここは飛行場も備えたそれなりの規模があり、竜騎兵ばかりか飛行船も配備されている。

 追撃隊の位置も、空からなら四半刻(30分)の距離だ。


 この為、駐屯地ではあっても、どこか現代の軍隊の基地に雰囲気が似てる。周囲も木の塀と見張り櫓くらいだ。

 他にも様々な種類の飛行生物と、飛行船を曳く雲龍など人が運用する殆どの飛行生物が運用できるように整備されてる。


 もっとも、大半は魔物の追撃で出撃中で、連絡用の翼竜と飛馬、念のための防衛用の獅子鷲が少しいる程度だ。

 また駐留している軍隊も、少数の守備兵以外の大半は出動中で、駐屯地は閑散としていた。


 そこに、今の報告を携えた翼竜が飛んできたのだ。

 連絡は最初はこの駐屯地の司令官にもたらされ、ゴード将軍から言われていた司令官が伝令を出してくれた。

 しかし、伝令は伝えられた以上の情報もなければ、オレ達の出撃を伝えるものでもなかった。

 伝令は申し訳ありません、伝えられていません以外の言葉はなく、申し訳なさそうにするだけだった。


『追撃隊は壊滅。現在、部隊を再編成中。魔物は罠を張って、待ち構えていた模様。魔物の大半を逃し、その後の消息は不明』


 これが伝えられた全てだ。

 そしてこれでは、『帝国』軍が負けて魔物が逃げて行方不明、という以外は何も分からない。


「情報か要請が無ければ、私達も何も出来ないな」


 シズさんの言う通りだ。

 一応って感じで、トモエさんが小さく右手を挙げる。


「ここの神殿騎士に聞いてみる?」


「伝わってることは、私達と変わらないと思うわ」


「じゃあ、残るはここの隊長さんだな」


「そっちも変わらないでしょうね」


「どうしてですか?」


 提案したオレが聞く前に悠里がハルカさんに問いかけた。

 しかし、その時点でオレにも察せた。


「多分だけど、討伐隊から伝えられた報告が、本当にそれだけなんだろう。どう思うハルカ?」


「私もそう思うわ。ゴード将軍もだけど、『帝国』軍が私達や神殿に情報を出さない理由がないもの。何しろ、純粋に魔物相手だし」


「セクショナリズムは?」


「今はゴード将軍が全権を握っているって聞いてるわ。だから、それもないでしょう。抜け駆けする人達がいれば話は別かもしれないけど」


「なんにせよ、次の一報を含めて情報を待つしかないだろうな」


 けど、待つと言うシズさんの言葉で、何か虫の知らせのようなものを感じた。


「あのさ、次の伝令が来るより先に魔物がここに来たらどうする?」


「魔物のお目当てがキューブだから、ここが本命だって?」


 真っ先にハルカさんが反応してくれた。

 同じ事を考えていたのかもしれない。


「うん。悪魔が二重に罠を仕掛けたとしたら?」


「誘出殲滅と各個撃破か。上級悪魔と言っても、人の戦術をそこまで駆使できるとは思えないが?」


「そこまで難しく考えなくても良いと思います。ようは、数が多いだけで喧嘩ですから。

 ノヴァの悪魔って、『ダブル』のゲームに乗って戦争の真似事をしたから、準備してたのにあんなに呆気なく負けと思うんです」


「ノヴァでの戦いは、敵の段取りをボク達が崩したからじゃないの?」


「うん。一度自分たちの立てた段取りが崩れたら、奴ら総崩れで後になるほどダメダメだっただろ。

 それに悪魔って、個体は強いの居るけど知識や技術を他に伝えなさそうだろ。だから、戦争の上辺だけしか知らないからだったと思うんだ」


「だが、ここの魔物どもも策を弄しているだろ」


「はい。けど、こっちが一回罠に嵌めたのに、やり返された格好ですよね。邪神大陸の連中って、大樹海の連中と違って自分たちのルールで戦ってるんじゃないかって思えるんです」


「それで次はここを襲うと?」


「オレならそうする。それに、『帝国』軍を相手にするのって、魔物どもの目的じゃないでしょ。なのに、さらに叩くのはおかしいと思うんですよ」


「……そうか。あっちの魔物は、さらに『帝国』軍を引き寄せる為という事か」


「もしくは、前の戦いで活躍してキューブを持ってる、私達達を引き寄せる為でしょうね」


 年長組二人の言葉で、全員に理解が広がる。


「敵の策を見抜くなんて、ショウ君凄い。私だったら、壊滅した方に向かってた」


「ショウってたまに冴えてるよね」


「どうだか。それよりシズさん、お兄ちゃんの言う通りだとしたら、どうします? 待ち伏せの準備ですか?」


「そうだな? ハルカ」


「ええ、ちょっと場所を借りて、お出迎えの準備をしましょうか。あくまで、念のためね」


 ハルカさんがそう言うや、みんなが一斉に動きだす。

 駐屯地の隊長さんにも、あくまで仮説と念を押して説明し、偵察と警戒だけでも高めてもらう。

 けど、この駐屯地には有力な騎士やましてや竜騎兵もいないので、オレ達が許可だけ得る形で「お出迎え」の準備を進める。


 もっとも、出来る事は多くはない。

 主にしたのは、儀式用の魔法陣の展開だ。

 シズさん、ハルカさん、それにトモエさんも多少の儀式魔法が使えるので、それぞれ飛行場の広い場所に、必要になるかもしれない魔法陣を作れるだけ作ってく。


 『熱核陣』『轟爆陣』などの攻撃魔法。

 『光槍陣』など一部の投射系攻撃魔法でも、事前に魔法陣を準備しておくと、射程距離の拡大など色々お得らしい。

 そしてその魔法陣は、簡単には見えないように、簡単な幻術で偽装しておく。


 それ以外に、戦闘時の防御陣、治癒の効果を高める為の魔法陣は、流石『帝国』軍の駐屯地なので事前に準備されていた。

 また、汎用の効果拡大のための魔法陣などは、駐屯地なので準備されてるので、それをそのまま使う事にする。


 また、備蓄されてる儀式魔法に使う魔道器、呪具などを借りる事ができた。

 魔石はオレ達は大量に持っているので、余程の敵か数で寄せて来ない限りは十分あった。

 先日手に入れた上級悪魔の核になっていた高い魔力を持つ魔石も、倒したオレ達のものだ。


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