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First Game - 裏話








◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆




これ以降は、本編に纏わる深刻なネタバレを含みます。

本編を読んでいない方は、絶対に開かないでください。

ミステリーの面白さをほぼほぼ潰すことになりかねません。

この警告を理解した上で、問題ないという方だけこの先にお進みください。




◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆禁忌(FORBIDDEN)◆◆◆








◇◆◇【裏話】◇◆◇


・各魔王はそれぞれが小さな異世界を所有しています。その異世界は人間の世界と不完全な形で接続されており、その繋がりを通して魔物は人間の世界にやって来ます。とてもややこしいですが、魔王=世界であり、○○の国(○○ランド)というのはその異世界のことを指す名前であり、同時に魔王の名前でもあります。よって、全ての魔王は名前の最後に「ランド」という言葉を冠しているのです。


・作中で「魔物は自分の性質を逸脱できない」と空澄が言っていましたが、実は魔王だけは固定の「逸話」を持っていないために、基本的な性質(行動原理)にさえ沿っていれば魔物として型破りな行動もできます。ですから仮にワンダーが本当に魔王だった場合、Chapter4でのワンダーは、殺し合いのルールを捻じ曲げてでも処刑を放棄していたかと思います。……本編の展開も含め、空澄の決死の行動が無駄だったと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、空澄があれをやらなければワンダーランドは表に出ることのないままデスゲームを終えるつもりでした。もちろん今回でワンダーランドを止められなければ、第二回もワンダーランド主催で行われていたことでしょう。空澄や彼方の行動があったからこそ、最終的にはルナティックランドと袂を分かち、次回は二人の魔王が敵として相まみえる形となりました。これが本当に最良のエンドだったかどうかは、Second Gameで確かめてください。


・ワンダーというのは、ワンダーランドが無限の魔犬(102匹わんちゃん)に名付けたただの呼び名です。ルナティックランドが館スライムのことをクリアと呼んでいたのと同様のもので、一応これも伏線のつもりでした。


・ワンダーランドは無限の魔犬のことを割と気に入っていたので、自分の名前の一部である「ワンダー」という名を贈りました。まあその気に言ってた理由というのは、手持ちの空想級の中でも飛び切りビックリな――要するにワンダーな能力を持っていたからです。(ワンダーの能力はあの無限自己複製の他にも、自らの魔法回路をランダムに変質させて、自分でも何が飛び出るか直前までわからないランダム魔法なんてものを持っていました。無限の魔犬の『無限』とは、体の数と魔法の種類、二つの意味を込めた単語です)


・第三話「Welcome!!!」にて、目を覚ましたばかりの彼方が外に出て、真っ先に香狐と会うのも伏線でした。警戒が足りなすぎる彼方と、そもそも主催だから眠ってなかった+躊躇なく外に出られる香狐だからこそ、あの二人が最初に出逢うことになったのです。他の人は、部屋の中でそれなりに警戒しながら過ごした後に外に出たため、彼方たちよりやや遅れて第二陣となりました。みんな固まって玄関ホールに来たのは、最初の二人が偶然同じタイミングでドアを開き、そこから話し声が聞こえて一人、また一人と合流したからです。


・ワンダーは作中(特にChapter4)にて迂闊な行動を晒していますが、この迂闊さはワンダーランドが意図的に仕組んだものです。ゲームマスターが倒される展開を迎えるなら、ワンダーランドとしてはそれはそれでよかったのです。むしろ下手にズルズルとデスゲームが長引いた末に全滅するよりもよっぽどドラマチックになりますし。ですのでワンダーランドは、その命令能力を用いて、ゲーム参加者に対して多少の隙を晒すようにワンダーに暗示をかけていました。


・ワンダーが彼方や夢来の学校を知っていたのは、作中でも言及した通りその二人の参加は確定していたからです。接理と忍の関係を知っていたのは、接理の存在――というより[確率操作]の存在はルナティックランドも把握しており、空澄の時のようなことをするために色々下調べをしていたから、そのルートで発覚しました。実際のところワンダーが持っていた参加者の情報は作中で言及があった程度のことで、その他のことについては全然知らないです。二人の学校名を明かしたのもハッタリで、身元調査なんて全然していません。名前だけはルナティックランド製アイテム(対象の名前を表示する道具)を使って全員分調べました。


・Chapter1でワンダーが言っていたクライアントというのは、ワンダーランドのことです。ワンダーは「自分が魔王だと思い込んでゲームマスターとなり、そのために不都合な記憶や思考は無意識のうちに閉じ込めておきなさい」と命令されていたため、実際はワンダーランドに命令されたということは無意識下では覚えていました。そのためこの発言が飛び出しました。ルナティックランドの手紙だけでは彼が発案者のようにも読めますが、実際にこのデスゲームを発案したのはワンダーランドであり、ルナティックランドはまだプランの段階でしかなかったデスゲームの開催を確実なものにするための契約を交わしたに過ぎないです。


・Chapter4において香狐が永遠にこの館に云々などと言っていましたが、もとから香狐にそんな気はなく、この先も殺し合いは続くことを確信していたため、あれは彼方に探偵役を続投する決意をさせるためだけの約束でした。


・ルールにあった、【真相】を突き止められなかった場合に与えられる絶望というのは、Chapter2(でしたっけ?)でワンダーが言っていた通り、謎触手に凌辱させるとか、割とその場のノリで決められるような適当なものになる予定でした。ただし再序盤にいきなり不正解が出た場合、一人くらい見せしめに殺されていたのでは、と思いますね。いくらなんでも不正解一回で全滅してしまっては勿体ないですから、二回目以降は生き地獄とか拷問ルートになるかと。


・館スライムと偽スウィーツはルナティックランドからの借り物です。回収するための魔法が仕掛けられていたので、役割を終えた後は速やかに狂気の国(ルナティックランド)に転移しました。


・悪趣味な話ですが、ワンダーランドが彼方を主人公に選んだことは作中で語った通りです。……そういえば、彼方がChapter1で決起した理由ってなんでしたっけ?友達が怯えていたこと?助けを求めたこと?でもあの子って、確か、魔物……。中盤以降の夢来の思い切りの良さと、序盤の気弱さの乖離はもしかしたらそれが原因かもしれません。真相は魔王と作者のみぞ知るものなので、どう捉えるかは読者様にお任せしますが。


・アフターにてワンダーランドは頻りに愛がどうのと言っていましたが、ワンダーランドにとって大事だったのは物語的な要素(フレーバー)としての相互的愛情の形成であって、ワンダーランド個人として彼方と結ばれたいとか思ってたわけじゃないです。Chapter3のアフターに『愛』の物語という表現がありましたが、ワンダーランドが拘っていたのは愛の方ではなく物語の方です。この『』の強調は他のキャラと対比させるために揃えただけで、本当に強調すべきは『物語』の方。ワンダーランドが彼方に抱く愛情はあくまでも、小さな子供がお気に入りのオモチャに抱くような愛です。もしくは、漫画の中の贔屓のキャラクターに対する感情です。


・当初、主人公の名前はアリスにして衣装もそれっぽくアリス系コスチュームにしようと思っていたのですが、ワンダーランドに招待されたアリスって流石に出来すぎですし、なにより終盤の展開でアリスに執着していた奴が魔王(ワンダーランド)だと露見しかねなかったので変更になりました。


・まだ殺人も起こっていない再序盤にて2+2+3+3+3のグループ分けがありましたが、本編で明かされた忍と接理の関係性を含めて、ワンダーが想定していた本当のグループ分けは2+2+2+7の組み合わせでした。この7という数字は、4+3に分ければ集団行動のストレスが溜まりますし、2+2+3なら知らない相手同士のペアでのストレスが、2+2+2+1ならペアのストレスに加えて一人で行動する相手への不信も生まれ、どう転んでもギスギスが加速する数字でした。3が最も行動しやすく安全性も高い組み合わせなので、本編中の分け方は最適解でしたね。結局はああなりましたが。


・Chapter4で全員で集まってゲームをしたシーンにおいて、空澄が『このゲームなんだ』と意味深なことを言っていました。これは本編中で語る余裕がなかったのですが、藍がゲーム制作をしている間、他の人にそれが知られないように、空澄が監視・警戒役を務めていました。(『蜘蛛神への生贄』を藍が作ったと事前に他の人にバレたら計画が崩壊する)二人分の食事を持って食堂を出て行った、という描写がその根拠です。あくまでも空澄と藍は表向き繋がりがないということになっていたので、空澄は『藍が趣味で作ってるゲームを手伝っている』という体で通していました。しかし『蜘蛛神への生贄』を全員にプレイさせるというのは『これを犯行に使うという宣言』とほぼ同義で、空澄がそれにノーリアクションなのは不自然です。だからワンダーに対するカモフラージュのため、空澄はあの発言をせざるを得なかったのです。『ふぅん。アイたん、もしかして殺る気なのかな?』っていう、全力でシラを切った白々しい演技ですね。


・ちなみに上記の状況にて、ワンダーは気が気じゃありませんでした。どう見ても見立て殺人に使うとしか思えないゲームを藍が作っている現場を、空澄が見てしまったということは、藍は絶対に空澄の口封じをしないといけなくなったということです。一度【犯人】になれば、どんな形であれ参加メンバーからは外れますから、空澄の計画実行の方が先ならまあ大丈夫かな……と当初は思っていましたが。空澄と藍、二人とも同日に殺人を実行すると聞かされた時はなんとかそれを回避させようとしましたが、ゲームマスターな手前『○○がその日殺人やるから次の日にして!』とは言えず、空澄の計画が先に成就することを願っていたら、ああなってしまった――というのがワンダー視点です。


・Chapter5「Cracked Justice Shield」にて、「あの事件で死ぬのは藍だと思っていた」との彼方の指摘に藍は反論しませんでしたが、あれは藍が「死にたくないからあれもこれも全部空澄がやれ」と押し付けたから反論できなかったわけではないです。最後に死ぬのも、その前に無限ループによる長時間の苦痛を受け入れるのも、全て空澄が自分から立候補したことです。作戦のためとはいえ、そんな狂気的な苦痛を他人に押し付けるなど空澄にはできなかったのです。しかし藍は、それによって計画が一段階脆いものになってしまうことに気づいていました。気づいていながら、結局は『せめて自分が無限ループの役を引き受ける』とも言えずにああいう形で実行してしまったため、藍は罪悪感を抱きました。それ故に、藍は彼方の指摘に対して反論しなかったのです。


・魔法的存在は、その存在の格に応じた魔法耐性を持っています。なので魔王との最終戦において、接理が[確率操作]で「魔王は彼方の剣を避けられず死ぬ」とか言ったり、佳凛が[存在分離]で魂を切り離して殺そうとしても無駄でした。


・上記の補足ですが、魔物を殺すことは、魔物の存在の基盤である回路を破壊することと同義です。つまり魔物にダメージを与えるというのは、その存在基盤の回路を傷つけることでもあります。よって、基本的に魔物に物理ダメージは通用しません。例外は、魔法で作られている魔法少女の武器くらいですね。(一応物理的に顕現していますが、魔法ダメージも兼ね備えています)上記の通り魔王くらいの存在になると魔法耐性は尋常じゃないので、下っ端魔法少女の武器の攻撃なんて本来はほとんど通用しません。しかし最終決戦において、ワンダーランドは彼方の剣を受けて死ぬつもりだったので、一時的に魔法耐性を切っていました。そこを突かれて[存在融合]を撃ち込まれてしまったので、ワンダーランドは敗北しました。(つまり彼方の作戦は、半端なタイミングで実行してしまったら失敗に終わっていました。成功したのはほとんど奇跡ですね)


・香狐はSecond Gameの会場に赴く前に、一通り贖罪を始めてはいました。最たる功績としては、殺人を犯してまで初が助けようとした妹、古枝 (こずえ)を保護しています。(流石に魔王の手元に置いておくのは危険すぎるということで、スウィーツとの協議の結果、今はスウィーツ経由で紹介された人のところに保護されています。現在の香狐がしているのは、保護中の必要物資供給とかの間接的支援ですね)なお、Chapter1でワンダーが言っていたことはハッタリでもなんでもなく、初がいなくなれば数日から数週間のうちに梢は死んでいました。もしくは誘拐でもされたか、身売りでもしなくちゃいけなくなるか(まだ梢ちゃん小学生なので、流石にそれはないですかね?)。初と梢の現在の保護者は、それくらい彼女たちを放置しています。ただしワンダーランド内の時間の流れからして、初が仮に【犯人】として外に出た場合、たった一夜も経過していない世界を見て、全くの無意味な殺人に絶望させられたことでしょう。それも魔王のシナリオの一つでした。


・各章の事件発覚後、エピソードの末尾に捜査開始演出を入れていましたが、Chapter3とChapter4だけは被害者が明確に死亡していることを示す言葉が入っていません。これをChapter4だけにしてしまうと実は空澄が生きていることがバレてしまうかもと思いChapter3にも適用しておいたのですが、みなさん、気づきましたか?


・佳奈と凛奈の固有魔法の異常とも言える効力ですが、これにも一応設定がありました。魔法少女モノのお約束で『愛の力で更なるパワーアップを~』みたいな展開がありますが、この世界おいてそれは明確な法則として成立しています。とある魔王――盲愛の国の主が、愛を知る魔法少女に力を配って歩いているので。その魔王に近しい盲愛の持ち主であるこの双子は魔王の祝福を強く受け、固有魔法が強力なものになっているのです。


・この作品を投稿する上での予想外の苦労は、コメントへの返信でした。作者という立場で嘘はつけませんし、もちろんネタバレなどできません。そんな中で、皆さまが奴のことを「魔王」と呼び続けているのに、返信では頑なに「ワンダー」と書き続けて、いつ違和感に気づかれるかヒヤヒヤものでした。(実はメタ発言で、僕がワンダーを魔王と呼んだことは一度もありません。あらすじにも、魔王を「名乗る」謎のぬいぐるみとしか書いていません。嘘は言っていませんよ?)(どこかでミスしてたらごめんなさい……)


・各話タイトルのほとんどは英語になっていますが、冒頭とラストだけ(挑戦状等を除いて)は日本語になっています。これは、館の中での出来事は英語、館の外での出来事は日本語という演出になっています。全く異なるルールで動く世界、という暗喩の一環でもあります。日本語と英語は構造からしてだいぶ違いますし。エピローグに一つだけ英語タイトルが混じっているのは、あの子だけがまだあの世界に(殺し合いの狂気に)囚われている、という意味でもあります。



(その他、何か気になる点があれば遠慮なくご質問ください。Second Gameのために隠しておきたい数点のネタ以外は全て答えるつもりです)

(こちらには書ききれないような情報もかなり沢山カクヨムの応援コメント返信に投下しているので、興味がある方はそちらもどうぞ)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 非常に面白かったです。続編も期待しております。 (香狐さんと佳凛さんが主人公?) [気になる点] ただ、今思うと忍者さんが普通にクズだったのではという疑惑が... 作中でも主人公の回復魔…
[一言] いや、マジで想像を越えてきました。 言語化できないながらもぼんやりと覚えていた違和感がきっちり回収される最後の流れが、もう感性にド刺さりです。 その時々の絶望ifルートも見てみたいです!
[良い点] first game 完結お疲れ様です。 [一言] ・彼方について  彼女がある意味一般的な人間性(ワンダーランドに目を付けられない)をしていればもっと平穏に終わっていた可能性も…… 将来…
感想一覧
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