第27話 課題が見えてきた
半年以上更新してなくて、ほんっっとうに申し訳ありませんでしたーーーー!!!!!(土下座)
ここから、完結まであと少し。
毎日更新いたします!
トウマさんの勢いに、思わず体後ろにひくと、トウマさんはハッとしたように座り直してから、ごほん、と一つ咳払いをした。
「まず、死化粧について、もう少し詳しくお話ししますね」
「はい」
「先ほど、死化粧は無理矢理傷を塞ぐ、と説明しました。これは、傷を治しているわけではなく、魔力を糊のようにして、傷と傷をくっつけているんです。ですので、死化粧を行なった魔術師が魔法を解けば、傷は再びひらきます」
死化粧は、故人の葬儀が行われる際に、遺体の損傷が激しい場合の遺族への心配りとして完成した魔法らしい。
人の国は基本土葬だから、土に埋めたらその術を解く。痛ましいその姿を見ずに、生前に近い形の個人を見送る、というのが目的だ。
つまり、魔力を支配し、たとえ死化粧を使えるようになってもそれだけでは、じぃ様とばぁ様を癒すことにはならないということ。
「ですが、先ほども言いましたが、傷と傷をくっつける、これは、ただなんとなく張り合わせている付けてるわけではなく、技術さえあれば血の管同士、神経同士をくっつけることも可能なんです。私は、いつもそのようにしてきました」
ちょっと驚く。
魔力コントロールがすごい人連れてきてとは言ったけれど、いまトウマさんが言ったのって、顕微鏡とか使った手術を肉眼でする、みたいなレベルなのでは。
「僕は魔力が少ないため、長時間はその魔法を維持できませんが、タテヤマ様なら、魔力的な部分での問題はないでしょう」
「ちょっと待ってください。死化粧は相手の魔力を使うんですよね。それなのに、自分の魔力量って関係あるんですか?」
「はい。死化粧において相手の魔力が必要なのは、“のり“としての部分だけなんです。なので、魔法を実行する、魔法の術式を維持するのは、魔術師の力量にかかっています」
なるほど。
「現時点でのアヤ様とハヤテ様は、傷を塞ぐというところまで体が追いついておりません。もちろん縫合はしてますが、傷と傷は開いている状態です。いまだに、じわじわと出血もしています。なので、死化粧を施し、傷を塞ぐことができれば、少なくとも出血と、傷の化膿を防ぎ、自然治癒の助けになるのではないかと、思います」
再びすこし興奮したようなトウマさん。
僕はうーん、と考える。
確かに、魔力的なところは問題ないと思う。
でも、血管や神経をつなぐ、というのができる気がしない。
教えてもらって、一朝一夕に身につく技術じゃないだろうし、工房でフォローできる部分とも思えない。
考えた末にそう伝えると、トウマさんは、「まあ、それは、そうかもしれませんが…」と俯く。
『ねえ、主ー』
「なに、コロさん」
『その魔法、ぜったい主が使わなきゃいけないのー?』
ちょっと首を傾げなら僕を見上げてくるコロさんに、「え?」と返したのは、多分そこにいた全員だった。
「どういうこと?コロさん」
『えーとねー。主がその魔法難しいなら、そこのお兄さんがすればいいのになぁって』
「ですから、僕にはそれを維持するだけの魔力がないんです」
コロさんにもトウマさん、敬語を使ってくれるんだ。
最初のあのガン飛ばしはなんだったんだろう。一人称、いつの間にか僕、になってるし。
っと、そんなことを考えてる場合ではなかった、と僕はコロさんの意見を僕なりに咀嚼する。
『主様』
「うん?こんどはドンさん?」
『この男、タンクとして使うのであれば、魔力の反発が少ない、と先ほどおっしゃってませんでした?』
この男、ときたかー!
ドンさんの言い方にちょっと苦笑しつつ、「言ってたね」と返す。
返してから、ぴんっと来た。
「僕が、魔力タンクになればいいってこと?」
僕の呟きに、トウマさんとシズクさんがハッとして僕を見る。
直接の術式はトウマさんに頼んで、僕は魔力供給係になれば、緻密なコントロールという課題は、確かにクリアできる。
ということは?
「僕が作らないといけないのは、生きている人間の魔力を支配下に置き、その魔力、および僕自身の魔力をトウマさんが扱えるようにする魔法…、ってこと?」
読んでくださってありがとうございます…!!!




