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クラスの女子全員+俺だけの異世界召喚  作者: うなぎ
創薬術編

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つぐみの叫び

 加藤は俺の支配下に入った。

 異世界人の固有スキル、〈操心術〉を受けた加藤は、ニコニコしながらこちらを見ている。敵意はない。さっきまでの憤怒が嘘のようだ。


 よし、まずは……。


「質問に答えろ。お前の作った治療薬は、体を再生する効果があるのか?」


 俺が気になっていたのは、加藤が戦闘中に使っていた治療薬だった。

 あの時、俺は加藤の足を吹き飛ばしたはずだ。にもかかわらず、薬を使った加藤の足は元に戻っていた。

 体を再生させたのだ。


「ああ、そうだぜ。俺の〈創薬術〉は無敵だ。失った体の一部を取り戻すことができる。死ななきゃどうにでもなる、俺自身の身を守るために用意した」

「じゃあそれ、作ってくれ。できる限り大量に」


 これは拾いものだ。

 手首を失ったブレスレットの被害者たちを救済できるぞ。鈴菜も大手を振って歩けるようになる。


 加藤は黙々と薬を作り始めた。腰のベルトから空の瓶を取り出し、その中に自らの指先を重ねる。

 じわり、と指先がほんの少し白色に滲んでいく。これが治療・再生薬か。


 結露の雫でのどを潤すような、気の長い作業だ。


「…………」


 瞬き一つせず、指先に集中する加藤。

 未だかつて見たことのない真剣な表情をする彼を見て、俺は不安になった。


 これ、まずいんじゃないのか?

 俺の〈操心術〉は絶対だ。上書きする以外でその命令から逃れる術はない。現に俺がバッジを手放した後でも、かつての璃々たちはフェリクス公爵に従っていた。

 友達が死んでも親が死んでも自分の足が切り刻まれても、延々と薬を作り続ける。そんな壊れた機械人形のような未来を想像して、ぞっとした。


 そもそもこの〈操心術〉はあまりに危険で罪深いスキルだ。いくら加藤が極悪人だと言っても、彼の人生すべてを奪うなんて……。


 俺には、元クラスメイトをそこまで痛めつけることなんて……できなかった。


「か、加藤君、一週間、一週間だけ俺の言うことを聞いてくれ。後は正気に戻ってくれていいから」

「ああ、了解だぜ」


 ひとまずはこれでいい。一週間後加藤をどうするかは、他のクラスメイトたちと相談して決めることにしよう。

 

 加藤は無言のまま薬を作り始めた。

 

 さてと、次はつぐみを……。


「……っ!」


 俺は混乱した。


 突然目の前に現れたつぐみが、強引に俺の唇を奪ったからだ。

 逃げることも、抵抗することもできなかった。


 俺はなすがまま、されるがままにつぐみの舌を受け入れてしまった。ぐちょぐちょとした心地よい感触が、口の中を支配していく。


 やがて、つぐみは唇を離した。

 俺は顎にしたたり落ちた唾液の雫を、手で拭う。


 まるで風呂でのぼせているような表情のつぐみは、再びその両手を俺の首に回した。

 

「私を抱いてくれ」

「……突然何を……」

「お前のが欲しいんだ!」


 忘れていたわけではないが、媚薬は未だ健在だ。つぐみはその強靭な精神力でずっと耐えてきたが、加藤の敗北で緊張が一気に瓦解したのかもしれない。


「……つぐみ、お前」

「私の体は嫌いか?」


 つぐみはマントを脱ぎ去り、その下へと手をかけた。ブレザーの制服とスカートが床に落ちる。

 ブラウスの下から、純白の下着が露となる。あまり飾り気のないそれは、彼女にもっとも似合っているように感じた。

 

 そこには大統領としての威厳など微塵もない、一人の少女がいた。


「私は、お前のなら……匠の奴隷にならなってもいい」

「何……言ってるんだよ」

「自分ではそれほど悪い体ではないと思っているのだが、やはりこの髪が悪いのか? それともお前に悪口を言ってた時のことを気にしてるのか?」


 あれこれと言い訳のようなことを言い始めるつぐみに、俺はただただ困惑するばかりだった。いつもの彼女とはあまりにかけ離れている。


「媚びて色っぽくないのが問題なのか? 匠の前でオ〇ニーでもすればいいのか? 見ていてくれ、もう、体が限界なんだ……」


 そう言って、つぐみは自らの下着に手をかけて……。


「ふ……あぁ、はぁ……んっ」

「止めろっ!」


 俺は彼女の腕を掴んだ。


「つぐみはさ、そんなんじゃなかっただろ!」

「違う! 私は匠のことを好きなんだ! 愛してるんだ! だからこういうことをしてるんだ! どうして分かってくれない」

「違うっ!」


 仮に、つぐみが俺のことを好きだったとしても、今、こうしてこんな態度をとっているのはやはり薬のせいだ。


「加藤君! この薬の解毒剤は作れないか?」

「んなもんねーよ。それはそういう薬だ」

「じゃあいつ効果が切れる? ずっと続くのか?」

「その薬はあと22時間で切れるぜ」


 効果が切れて正気を取り戻せば、つぐみはひどい自己嫌悪に陥る。加藤はそういう悪趣味な状況を期待して、この薬に制限時間を設けたんだろうな。

 

 正気に戻り、後悔に涙するつぐみの姿が頭の中に浮かんだ。俺はきっと、どういう言葉をかけていいのか分からなくなる。

 それはきっと、最悪の結末だ。


 俺は半裸のつぐみを押し倒した。彼女に覆いかぶさって、手を足を、そして体全体を拘束する。


「耐えるんだ!」

 

 つぐみには酷な話だと思う。薬の影響は並大抵じゃないからな。


「もう我慢できないって言ってるだろ! 頼む! 私を抱いてくれ! どんなことだってする! 金も、地位も、女も! 璃々達近衛兵は全員お前の女にしてもいい! だから頼む! 私の体を静めてくれ! 女としての幸せを与えてくれ!」

「止めてくれ! お前の口からそんな言葉を聞きたくない」


 聞いてる俺ですら悲しくなってしまうようなセリフだ。正気を取り戻した本人がどれだけ絶望するか……想像に難くない。


「私がそんなに嫌いなのか? 魅力がないのか? 死刑だって言ってたことを思い出したのか?」

「昔のことは気にしてない! それにつぐみは見た目だって綺麗だ! エロくてかわいい! 俺だってこんな状況じゃなかったら、きっとやることやってる!」

「じゃあ今すぐ抱いてくれ」

「甘えるな!」


 薬に歪められている彼女だ。これ以上恥の上塗りをさせたくない。


「俺が付いてる。一緒に、耐えるんだ」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 つぐみは獣のような叫び声を上げた。


 俺は彼女を床に押し付け、ずっと薬の効果が切れるのを待った。


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