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第47話:花火

「先輩、どうでした?」


「どうやら、鍵は壊されていたというよりピッキングで開けられてた、だからドア自体は壊されてなかったみたい」


「そうですか、壊れて無いのなら良かったですね」


「うん、それはそうと。大丈夫? その左腕」


ちゃこ先輩が申し訳なさそうに聞いてくる。


「大丈夫ですよ、皆のお陰で一応は止血出来ましたし」


「ごめんなさい、私が無理に突っかからなければ……」


「仕方ないですよ。だって先輩、真白達に視線が向かないように前に出てくれたんですから」


「「「「え!?」」」」


「あーばれてた?」


「わかりますって、危ないアイツの視界に入ってたの俺と先輩だけですから」


立ち位置も目立つようにわざわざ前に出て注意を引いてたしいざという時は自分が引き受けるつもりだったよねぇ……。


「ともかく、怪我したのは自分の不注意? みたいなものですし、責任感じなくて良いですよ」


「でも……」


「それじゃあ、皆を頼みます! シゲさんが付いて来てくれますし、すぐに帰って来れますよ!」


そう言うと救急車よりも早く、シゲさんの車が回って来た。黒のドイツ車でフルスモーク、完全にヤ〇ザにしか見えないよね……。


「ボウズ、乗りな」


窓を開けて顔を出すシゲさん、乗ろうとすると皆が不安そうな顔をしてくる。


「なんか……」


「これからヤ〇ザに処される雰囲気だな」


「「「雨音(君)そういう事言わないの!」」」


「ははは、大丈夫だよ! ちゃんと病院へ連れて行くから」


「佐伯君!」


不安そうな顔をした先輩が駆け寄って来る。


「大丈夫ですって、先輩は心配性だなぁ……」


そう言うと、車が走り出した。


「さてと……ほれボウズ、傷見せてみろ……」


ガーゼと包帯を取って傷口を晒すと、肉がぱっくり切れて見えている。


「この傷でよー頑張ったなぁ、偉いぞ」


シゲさんが頭を撫でてくれる、手がゴツゴツしてて少し痛い。


「おやっさん、程々にしてあげてくだせぇ、せっかくカッコよく決めた髪型が崩れちまいます」


お付きの人がケラケラ笑いながら言って来る、まぁ確かにそうなんだけど、それよりも恥ずかしいのを察してくれたらしい。


「そうかそうか、そいつはすまんかったな」


変わらず豪快に笑いながら、頭を撫でて来るシゲさんに苦笑いをしつつ、病院へ向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから約30分で止血と縫合を行い左腕を吊った状態で戻って来た。


「あはは、おまたせ~」


屋上の扉を開けると、皆が一気に振り向いてきた。


「「「「「翔(君・さん)!!」」」」」「「佐伯君!!」」


「いやーお待たせ、お待たせ。まだ花火は始まってないよね?」


「そうだね、もう少し暗くなってからになると思う」


先輩の視線がずっと泳いでいる、まぁ目を合わせ辛いのは仕方ないけど、避けられると寂しいな……。


他の視線は俺の左腕に注目している。


「大丈夫なの?」


真白が心配そうに言って来る。


「あぁ、大丈夫大丈夫、切れてた所を縫ってもらっただけだからさ」


「縫うって・・・大怪我じゃない!?」


檸檬が驚いた顔をしている。


「まぁそこまで酷いものでも無いし、これなら傷も綺麗になるって言われたから、平気だよ」


「それでも、心配は心配です!」


「そ~だよぉ~すっごい心配したんだよぉ~」


藍那と蕾が不満そうに言う。


そんな問答をしていると放送がかかりこれから花火が打ち上がるとの事だ。


「ほら、食べながら見ようよ、ゲンさんから飲み物も追加で貰って来たし」


冷えたラムネを取り出して皆へ渡していく。


――――ヒューン……ドーン。


そのタイミングに合わせて花火が上がり、夜空を彩る。


「「「「「わぁ!!」」」」」


凄く近いのでとても大迫力だ。


ラムネの栓を開けようとするが上手く支えられない。


「あ、片手じゃやり辛いな……」


「それなら、私に任せて!」


ちゃこ先輩がラムネをひったくって栓を開ける。


「はい、どうぞ」


「あ、ありがとうございます……」


気ににしてるのかな……ずっとこっち見て来るんだけど……。


『——ぐぅぅぅぅ~』


お腹が鳴る、そうか、片手が塞がってるからお皿が持てないや……。


「あーそうか……殆ど食えないか……」


たこ焼きや、イカ焼きに手を伸ばす。


「あ、それなら。はい、どうぞ」


先輩が焼きそばを差し出してくる。


「え? 先輩?」


「ほらほら~早く食べてよ」


「あ、はい……」


口元に出された焼きそばを食べる。


「他は? 食べたいの無い?」


「あーはい、じゃあお好み焼きを……」


そう言うとお好み焼きを箸で一口サイズに切り分けてくれる。


「あれ?そう言えば口の中は大丈夫なの?」


「あーはい、痛み止め打って貰ったんでそこまで痛くないです、ですので今の内に食べちゃいたいです」


「合点承知!」


くすりと笑った先輩が次々と切り分けてくれる。


「美味しい?」


「はい、美味しいですね」


「良かった、ここはオススメのお店だしね!」


「流石通ですね!」


そう言うといつもの調子に戻ったであろう先輩が、意気揚々と料理を出してくるのであった。

作者です。


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