駆逐艦 vs 牛さん
「ダメージコントロール!」
魔王ジャックが叫ぶと、すぐさまコントロールルームの魔王フアトロからの返事が返ってくる。
『1番! 2番および6番がやられたわ。現在修復中よ。あと何発か貰えばたとえこの船といえどもやばいわ』
「くそ、攻撃を見入ってしまった。そのまま攻撃しておけば――」
発動させようと思っていたジャックの最終奥義の発動は今の衝撃で中断してしまった。
その最終奥義を再度発動させるには再び長い詠唱が必要となる。
『くっ――。さらなる高熱魔力反応が見えたわ! バリア再稼働中! 間に合わない! ジャック! なんとかしてっ』
「言われなくともー」
こうなれば何度でも詠唱し、発動させるしか手はない。
再び詠唱を再開しながら、ジャックは魔道カメラを敵側に向ける。
そこには巨乳の女の姿があった。
その大きさは哺乳類の中で大海を泳ぐ鯨についで世界第2位といっても過言ではないほどの巨乳である。
白地に大きな黒の斑点模様というパーカーを着たその黒髪巨乳の女のチチは、みごとに乳袋といった感じでたわわに実っている。
「もーぅ、しょうがないわね。サピエには私がいなくちゃ……」
「ははっ。草生えてる~」
そんなことを言いそうなのは、牛さんが擬人化した魔人、ホル・シュタイン以外にありえない。
「く、これがオーダーの3段オチということか――」
ならば魔王リナの攻撃に続きあと2段ある。
魔人ジャックは身構え、そして考える。
それに耐えることができるのだろうかと。
(しかし、解せぬな……。なぜ最終奥義に対してそんなアホな攻撃で対応できると思えるのか。最終奥義に対しては最終奥義でしか対抗できないというのが道理であるのというのに)
そんななか、ホル・シュタインは度肝を抜く行動に出た。
上半身のパーカーを脱いだのだ。
さらけ出されるそのおっぱいに思わずジャックの視線は集中する。
だが、その先端には、幾つものピンク色の四角い何かが漂っていた。
(あれは、まさか――)
その四角い何かにホル・シュタインは魔力を全力で集中させている。
その魔力によって直接自励された反魔導体は、その四角形を大きくさせたり圧縮したりと蠢いている。
それはまるで、周囲に散らばってしまった魔力を再び集束させるかのように。
その魔力のことを法燐力と人は言う――
そして、ジャックはその正体に気づいてしまった。
(あれは……、アカン。アカンやつや……)
それは、神秘を隠し、人々を絶望へと導く恐怖のシロモノだ。
たとえジャックの攻撃が、3.0x10^8メートルという驚異的な攻撃速度を誇ろうと、そのシロモノはその後からそれを覆い隠してしまう――
(あれは……、金色の――モザイク!)
その中身を見るには彼女を作って拝み倒すしか手はないのだ。
むちゃくちゃだ。システムに直接介入するような攻撃手段である。だがそんな無理を通せば道理が引っ込むのは自明の理である。
その時点でジャックは敗北を悟ってしまったが、しかし、攻撃を止めるわけにはいかなかった。
ホル・シュタインが今、まさに魔法攻撃のために詠唱しているのだ。
「燃え上がれ! 私のプリオン!
古イケヤの名のもとに! 神秘を愛し、破壊せよ!
法燐力の秘密に触れるもの、全てを無へと期せ!
対艦巨乳砲!」
魔王ジャックはここは対抗するしかない。だが――
「侵入者どもに正義を執行する!
喰らえ、流派:闇炎系の最終奥義にして最凶の一撃!
世界を破壊するチェレンコフの光!
熱↑核↑LoveLove爆裂弾!!」
互いの砲撃が交差、激突する。
だが、熱核爆裂弾の光は一瞬だけ拮抗するものの、対艦巨乳砲の前にあっけなく敗北した。
押し寄せる四角形の粒子に、駆逐飛空艦、奇城 茨魏魏ヶ島はなすすベもない。
「バカなー」
《激情之魔王たる魔王》ジャック・ザ・ハート、撃破!
法燐力~、法燐力~、四角形の秘密はね?
法燐力~、法燐力~、四角形の秘密はね。教えてあげないよ。じゃん!




