表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/51

百神夜行

「いいえ、まだよ……」


『ほう。それは神であるこのアクア・ポリシャンのおやつタイムを遮るに足る内容なのであろうな?』


 神聖なる成人の儀式に介入した吾輩や、ピーチ・グリーングリーンの振る舞いにあわあわと焦る修道女の人たちをしり目に、ピーチ・グリーングリーンは言葉を続ける。


「ミイヤー! すぐさま彼と婚約しなさい!」


「え!?」


『ほほぅ。なるほど。それは――。面白い』


 ピーチ・グリーングリーンが声を掛けたのは、彼女のメイドさんであるミイヤー・ロッテンであった。


 ミイヤー・ロッテンはロッテン男爵家の三女であり、ピーチ・グリーングリーンよりも年下に見えた。



 つまり――、彼女はまだ成人の儀式を受けてはいない。



『それは――、つまり、この男の称号を使って彼女も聖女にしてしまおうというたくらみか? 聖女ピーチ』


「えぇ、そうよ。わたくしが婚約破棄をしない限り、彼の『聖女に婚約破棄されまくりし者』の『まくられる』という複数形が成就されることはない。そうなれば、女神さまは彼女も聖女にするしかなくて?」


『なるほど、然り――』


 女神は面白そうにピーチ・グリーングリーンを見つめる。


 にらみ合うかのような二人に吾輩の入る余地はなさそうだ。


「ふむ。そなた――名はなんといったか?」


 女神はそこで初めて、メイドのミイヤーに目を向けた。


「ロッテン男爵家の三女、ミイヤー・ロッテンです」


『なるほど、ミイヤーか……』


 女神はしげしげとミイヤーを眺めると、なにかを閃いたかのように指をならした。


 どうにも吾輩には悪い予感がする。


 女神はいかにも困った、という体を装って、しかし薄ら悪い笑みを浮かべる。


『しかしだな……、アクア・ポリシャンは一介の女神である。一度に何人も聖女を指名などはできないのだ――』


「そんな――」


『ならば一介でない神を呼べばいい』


 そんな中、女神は指を3度ならし、カカトを二回叩いた。


システム:「イベントアニメーション、百神夜行が開始されました」


 謎のメッセージがウルトラヴァイオレットのシステムメッセージとしてポップアップする。



 リーン・リーン……



 それと同時。

 どこかでそんな鈴の音のような音が聞こえた。


 周囲の修道女たちがざわめく。


「まさか……」


「そんな……」


 そんな声の中、周囲の気配が一変した。


 それは神聖で、厳かで、しかしどこか凄惨で邪悪な感じが広がるような。


 瘴気と神聖性がまじり合い、いびつな霧のようなものが広がっていく――



 シャン・シャン――



 そんな鈴の音とともに何柱もの神々が突然現れる。


 着飾った者。


 腹黒そうなもの。


 山手線沿線で駅名のビールを飲んでいそうなもの。


 背中に小さな太鼓を背負って黒黄色縞柄のパンツに上半身全裸と言うヘンタイじみたもの。


 白黒の縦じまのユニフォームにバットを持ったもの。


 そしてまるでギリシャ神話の石膏のようなもの。


 などなど。


 その神々の種類はまさに千差万別だ。

 その数はだんだんと増えていき、約100柱にも及ぶだろうか。


 そんな中、中央から一人の女神が現れた。


 周囲の神々でさえ跪く。

 そんな存在である。


 思わず、サピエとピーチも同じように跪いく。

 逆らえば何が起きるのか――



 そこに、朗々とした声が響き渡る。

 それは、鈿女(うずめ)系の(まうす)である大腹黒(おおはらぐろ)梅田守(うめだかみ)時貞(ときさだ)であった。


「控え――、控えおろう! この方をどなたと心得る、先の最先任大邪神、主神たる女神カーキン様であらせられるぞ! 控えるがいぃーー」




 およそ100体におよぶ神々が、そして主神の女神カーキンがこの地へと降臨したのだ――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ