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賢者の図書館  作者: ゆるり
第1章
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第59話 実家

賢者の図書館から戻って、すぐにマザーに料理のレシピを渡した。

続いてネプス村のエイミーおばさんのところへ移動。

染料となる植物の育成を頼み、制服となるデザインを渡した。


「さて、一度戻らないとな」

気楽な仲間たちと過ごしていたので、お貴族様思考の使用人がいる屋敷に戻るのは正直気が重い。

とはいえ、王都から審査員が来るまであとひと月ほど。

正確な日にちとか連絡が来ているはずだから、確認しに戻らないといけない。


北部からは徒歩30分ほどの距離にも関わらず、全く帰っていなかったので、なんかもう他所様の家みたいな感覚だ。






久々の我が家。

戻ってきてみれば、それなりに懐かしさがこみ上げる。


「今日こそはユスト様に会わせていただきたい」

玄関口から騒がしい声。


名を呼ばれたようなので、こっそり覗いてみる。

誰だ、あれ?

全く記憶にない中年男性がいる。

格好からして、そこそこ上級の貴族のようだが……


「何度来られても、旦那様から取り次がないように仰せつかっております」

セバスがきっぱりと拒否していた。

その堂々とした物言いに、中年男性の方が怯んでいる。


「私はハンス殿とは旧知の仲。そう冷たいことは言わずに頼むよ」

別の男性が割って入ってくる。

ああ、セバスが静かに怒っている。

遠目にも、不味い空気が漂ってくるよ。


旧知って、夜会での顔見知り程度でしょうがと、セバスの表情が語りまくってる。

こんなに感情を露わにしているセバスの何と珍しいことか。

いかんせん、玄関口に集まっている貴族らしい男性5人に、その雰囲気は伝わってい無いようだ。


「何と言われましても、取り次ぐことはできません」

いーやー

あれ、かなりご立腹だよ、セバス。

セバスに報告聞かなきゃいけないのに……あのおじさん達、何てことしてくれてるのよ。

セバスを怒らせるなんて。


後で私が八つ当たりされるよ。

いや、完全に八つ当たりでもないのか?

何か私が原因っぽいし。


「ユスト様、こちらへ」

突然背後からかけられた小声に、びくりと体を揺らす。

しかし、聞きなれた声だと気付き、力が抜けた。


「脅かさないでよ、ミリア」

小声で抗議する。


「申し訳ありません。ですが、今はまず、こちらへ」

玄関口のおじさん達に気付かれないように、そっと迂回して屋敷の中へ入る。


「お一人で屋敷に戻られるなんて……なぜ声をかけて行かれなかったんですか」

なんか、私、怒られてる。

え、何故?

徒歩30分の実家に帰るのに、許可ないと駄目なの?

そんな決まりが出来てたなんて知らなかったよ。

項垂れた私を見て、ミリアがため息をつく。


「話さなかった私の落ち度ですね。申し訳ありません」

ミリアが深く頭を下げてきたのにはびっくりした。


「どういうこと?」

さっぱり意味がわからない。


「屋敷には連日、あの方達をはじめ、何人かの貴族が押しかけてきています」

なんと玄関口のあのやり取り、今日に始まったことではないらしい。


「みな、一様にユスト様との面会を希望されているのです」

心底困ったような物言いのミリア。


ええ……

5歳児と面会して、何が楽しいんだ、あのオヤジ達は。

ロリコン趣味とか言ったら、全力で逃げるから。

よくわからない誓いを、心の中でたてる。


「ごく一部の者達の間ですが、ユスト様が賢者である可能性が高いと噂が広まったのです」

噂の出どころは、王都。

主に父様の職場辺りからだそうだ。

何やってんの、父様のバカ。


「こんなおとぎ話みたいな存在、本気で信じたんだ」

おとぎ話ほど、万能でもないんだけどね。


「本当のところ、会った方がいいの?」

貴族間の事情とか大丈夫なんだろうか?

格上とかいたら、問答無用で突っぱねるのは問題かと思われる。


一応、取り次ぎ不要と父様がセバスに命令しているようなので、無視は出来るが……本音としては会って欲しいと望んでいるのなら、それでも構わないと思う。

会ったところで、何も話せないし、約束とかもできないと思うけど。


「全く会う必要はありません」

セバスも同じ意見だそうで、招かざる客が帰るまで、ここで大人しくしていてくれるのが一番の助けだと言われた。

王都辺りの話を入れようかと思ってて……展開考え中

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