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賢者の図書館  作者: ゆるり
第1章
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第53話 魔力珠の使い道

ネプス村から少し離れた場所にある岩場。

燃える物が無いこの場所をサリアは好んでいるという。

そんなルディア情報により、あっさりサリアとリリアを確保。


「ユスト様、頼みたいことって何?」

興味深々に聞いてくるサリア。


「その前に」

何もないこの場所なら、北部の人達の作業を邪魔することはないだろう。

そう判断して、賢者の袋から黄色い珠を取り出す。

水は水筒に入れて持ってきたので、パパッと土家づくり。


「此処に工房作って、いろいろと開発して欲しいんだ」

まずは土家に呆然としている4人を家の中へと押し込む。


「さて、何から説明しようかな」

頼みたいことがいっぱいあり過ぎて、どこから説明すべきか迷うのだ。

と、その前に。


「サリアには、まずこれか」

賢者の袋から魔力珠作成装置を取り出す。


「この土家を作った黄色の魔力珠は、この装置で作ったの。これは内に溜まった魔力を魔力珠に変えるものだから」

ざっくりと魔力珠について説明すると、サリアが驚いたように目を見開いている。


「私にも魔力珠できるかな」

これが出来れば、魔力の暴走は抑えられる。


「できるか、じゃないよ。やってもらうの」

出来ませんとか言われると、いろいろ便利にしたいという私の野望が潰えてしまう。


「発動条件や魔力の工程をイメージするだけだから」

端末を起動させると、珠が白く光る。

フィリップ渾身の機能追加だ。


なんと自動で魔力珠を作れる状態に調整してくれるという。

一般の人は私と違って、自分の内にある魔力と、珠を繋げる必要はない。

珠に魔力を流し込むだけでいいのだ。

なので、流れてくる魔力を受け入れる状態にしてある。


「まずはやってみよう。ここに手を置いて」

サリアが恐々と、白く光る珠に手を置く。


「窯に入った水を長時間沸騰させる火をイメージをして。一気に蒸発させてはダメ。少しづつ水分を飛ばすんだから。その程度の火力を長時間」

塩でも砂糖でも、液体を煮詰める作業がある。

せっかく出来る珠はそういうところに使用すれば、燃料代がかからない。

一石二鳥だ。


「その火を発動させる条件も一緒にイメージしてね。常に燃えっぱなしは危ないから」

あれ、サリアの険しい顔。

そんなに一気に魔力持ってかれているとか?


「ユスト、そんな正確なイメージしながら魔力を使うのは難しい」

ラディの忠告が入ると同時に、サリアが失敗した。

ボンっという音と共に、白い珠の中で出来つつあった赤い珠は粉々になり、消えていく。


魔力とは明確なイメージのもと、発動させるのだと思っていたが、違うらしい。


「普段はどうやって魔力を使うの?」

素朴な疑問。


「なんとなく、こうしたいなっていうのを思い浮かべるとできるよ」

ざっくりしたルディの説明。

おお、なんと簡単な発動。

そんなんで使えるなら、突発事故にも魔力で対応できそうだ。

いいな。


「なるほどね。じゃあ、まずはイメージトレーニングからか」

魔力珠は習得してもらわないといけない。

私の野望と、サリアのため。

暴走させてしまう程の過剰な魔力は安全に抜いてしまうのが一番なのだから。


「ルディ、ラディ、リリアにもこれ、習得してもらうからね」

風の魔力で機織り。

水の魔力で冷蔵庫。

土の魔力で特定鉱物抽出。


それぞれ魔力珠の使い道を説明すると、ルディはすぐに理解できたらしい。


「草を編んで籠とか作ってたから、なんとなく分かる。機織り機というやつも、動きはイメージできるから、何とかなると思う」


リリアは難しい顔して、目を閉じている。


「リリアが一番イメージしやすいと思ったのに、難しいの?」

冷やすというイメージはそんなに難しいだろうか。


「仕組みはわかります。ただ、自動でというのが難しいですね。冷却魔法は外気と対象物の温度差をイメージして使います。自動の場合、対象物の温度は決められても、外気は不確定要素です。どうイメージするべきか迷います」


なるほど、どこまで冷やすかというイメージではなかったのか。

温度差で魔力を使うとは、なかなかに高度だ。


「ラディはイメージできないよね。対象鉱物がわからないと」

ガラスが作りたいので、珪砂が欲しいのだ。

石英の粒といってもいいけど、今ここに見本が出せない。

ここの地面は細かい茶色の粒子と、風化した岩の粉から出来ているから。


「良く地面を見ると、たまに透明の粒あるの知ってる?あれがそうなんだけど」

ありふれた物だけど、当たり前すぎて認識してなかったりする。

心当たりがないといった感じのラディ。


「ラディはとりあえず北部散策だね。珪砂探してきて」

この世界にもありふれていると、図書館の本には書かれていたのだ。

きっとあるだろう。


「珪砂が取れるようになったらサッシーに言って、石灰とか他の材料も用意させるから。そしたらサリアの出番だよ」

高温で材料を溶かして、ガラスを作るのだ。


「低温の火力で根を上げないでよ。高温で安定した状態を長時間キープする魔力珠。これがサリアの最終目標なんだから」

サリアの火力調節に全てがかかっています。

遅くなりました。

久々の更新です。

こちらの話は書いててホッとします。

故郷に戻って来た感じ。

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