第52話 北部拠点の現在
北部での拠点。
アルトがせっせと立派な家を建てている。
「結構できて来たね」
私や孤児院の子供達が寝泊まりしたり、仕事する家は完成間近だ。
すぐ近くには学校となる建物も建て始めている。
「作業人数増えたからな」
私の声にアルトが手を止めて、こっちに駆け寄ってきた。
「各村の作物など収穫を終えただろ。向き不向きがわかって来てな。農業に向いていない人間が建築の手伝いをしてくれているんだ」
なるほど。
ざっくりチーム分けしたが、やはり合わない者もいたらしい。
「ユストがいない間に、各村チーム編成を見直してな。ある程度は適材適所になったんじゃないか」
中には村を移動した者もいたそうだ。
「サリア達も建築を手伝ってるの?」
カールをリーダーに道などの整備をしているが、こちらはほぼ完成していた。
レンガ作成が終わったらカールの手伝いをしていたサリア達も手が空いただろう。
なら、アルトの手伝いをしているのかと思った。
「ああ、あの子か」
サリアの名を出すと、アルトが困った顔をする。
「すまんが、サリアは使えない」
ルディ、ラディはアルトの指示で手伝ってもらっているが、サリアは火魔法を暴走させてしまうので、建築現場から離れてもらっているという。
サリア一人では危険なので、リリアには側についていてもらっているそうだ。
「それは……サリア、落ち込んでたでしょう」
役に立つことで喜んでたサリア。
役立たずのレッテルは結構傷つく。
「そうだが、どうにもな」
すまないとは思っていても、魔力暴走させる人間をどうしたらいいのかわからない。
しかも火魔法だ。
木材を扱う以上、可哀そうだからと作業を手伝わせると、全てが灰になってしまうかもしれない。
「サリアには任せたい仕事があるから、私が預かるよ」
そういうとホッとしたようなアルト。
「そうしてくれると助かる。あの子に勉強を教えたのは俺で可愛い生徒なんだ。よろしく頼む」
それから、ともうひとつお願いする。
「ルディ、ラディを建築班から外してもいい?双子にも任せたい仕事があるんだ」
特にラディはサリアに仕事を頼むにあたって重要だ。
「あの2人の力を手放すのは惜しいが……サリアのためなら仕方ないか」
アルトはそう納得してくれた。
「おーい、ルディ、ラディ。ちょっと来い」
学校の建築を手伝っている2人に声をかけると、すぐに駆けつける。
「何、アルト。サリア呼んできてもいいの?」
アルトの声に喜々としてすっ飛んできたルディ。
自分たちが頑張るから、サリアを仲間に入れて欲しいと訴えていたのだ。
大事な幼馴染を仲間外れにされては心穏やかではない。
どうにか居場所を作ってあげたくて、奮闘中なのだという。
「違う。ユストがサリアに仕事を頼みたいんだと。で、お前たちも手伝ってやってくれ」
ルディがパッと笑顔になる。
心なしかラディも口の端が上がっているように見える。
お久しぶりの投稿です。
短くてすみません。こちらもストック切れです。
なかなか書き溜める時間が取れなくて。
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