第29話 会社制度の理由
各集落の代表には自分達の集落に帰ってもらい、私の会社雇用提案について考えてもらう。
疑問や納得のいかない部分があれば、意見をあげてもらい、改善していくつもりだ。
「お嬢様、普通に領地を治めた方が楽ではありませんか?」
ミリアが、会社制度は面倒だろうという。
まあ、確かに面倒だとは思う。
指導しながら好きに農作業してもらった方が、私の仕事は減る。
しかし重要なことをミリアは忘れてる。
「ミリア、私は北部限定の領主代行なの」
何が言いたいのか、よくわからないと首をかしげるミリア。
「大兄様は今、何歳でしょう?」
ヒントを出してあげる。
「16歳になられました」
それが何か関係あるのかと説いたげな目。
「成人後に大兄様はどうするでしょうか?」
さらに大ヒントを出す。
「……あっ!」
どうやら気付いたらしい。
そう、大兄様は、あと2年で成人なのだ。
寄宿学校を卒業して、正式な領主代行として戻ってくる。
そうなると一時しのぎの北部限定領主代行である私はお役御免だ。
もしかすると、もっと早くに父様が王都でのお勤めを終えて領主として戻ってくるかもしれない。
どう考えても私が北部で活動できるのは最長2年。
そんな短期間で北部改革をどこまでできるかわからない。
しかし父様や大兄様が戻ってくれば、私は北部での権限を失う。
農業や製品に関して、父様や大兄様にうまく引き継げるとは思っていない。
なので北部の改革は領主代行ではなく、会社として行う。
北部領民の成人は全員雇用。
未成年者は雇用できないので、雇用者の扶養家族として会社が教育を行い、将来は使える人材に育てて雇用する。
領主として行うのは、給料から税金差し引いて得た分で、各集落の整備くらいだろうか。
「ちゃんと考えていたんですね」
しみじみと呟くミリア。
いったい私を何だと思っていたのだろうか。
12月、入っちゃいました。
年末年始の休みを確保するべく、ハードスケジュール開始っぽい。
この忙しい時期の忘年会とは誰が考えたのでしょうね。
スカッと忘れて楽しく飲んで、後々自分の首を絞めるんですよ。
わかっていても、しがない会社員に忘年会を断る勇気はありません。




