表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者の図書館  作者: ゆるり
第1章
19/69

第13話 新たなサンプル

賢者の図書館には大量の本がある。

農業、畜産、水産、工芸、工業、建築などなど。

この世界では、まだ全然足りない技術だ。


元日本人としては、これらがどういうものかを知っているだけに、どれも試したいものだ。

しかしポイントには限りがある。

出来る範囲で順番にやっていくしかない。

何を優先させるかなのだが……


「やっぱ最初は農業を充実させないと」

魔法を諦めてまで賢者を選んだのは、このためだ。

農業の棚を何度も行ったり来たりしながら悩む。


「何を借りていこうかな」

豆類では大豆。

イモ類ではジャガイモとサツマイモ。

葉物だとキャベツやレタス。

根菜に大根、ニンジン、ゴボウは必須だろうな。

ネギ、玉ねぎ、ニンニク、トマト、ナス、きゅうり。


あげればきりが無いので、これで何ポイント消費だろうか。

「そうですね、200Pの消費です」

さっと計算したフィリップが教えてくれる。

まだまだ借りれる余裕がある。

育て方を本で確認したが、小麦同様、ただ蒔けば良さそうだ。


さて、どうしよう。

せっかくなのでポイントギリギリまで借りていきたい。


「そうだ、ミルクを手に入れるためには、どうしたらいいの?」

コケコが飼育可能ということは卵が手に入るのだ。

せっかく小麦と卵があるのだから、ミルクがあればできることがもっと広がる。


「ミルクですと、メメルかモウシの家畜を契約することになりますね。味はモウシが上ですが、契約難易度はメメルが低いです」

メルルが山羊で、モウシが牛。

後々生クリームやヨーグルト、バターやチーズなどいろいろ作りたい。

なら脂肪分の多い牛がいいだろう。


「出来ればモウシが希望かな」

私の答えにフィリップは考え込む。


「そうですね、ユスト様が拠点とされたアーノン家の裏手の森にもモウシの白毛種がいますから、挑戦されるのもいいですね」

フィリップは農業の棚から数冊の本を取る。


「好物はトウモロコシ、大豆、蕎麦あたりです」

育て方を確認したが、小麦同様だ。

トウモロコシと蕎麦のサンプルも追加で借りる。

それでもまだまだ余裕である。


「あ、砂糖。確か原材料はサトウキビとてん菜だったはず。サンプル有る?」

またフィリップに確認を取ってみる。

調味料をそろえていくのだから、甘味は重要だ。


「サトウキビもてん菜もあります」

フィリップの答えに小躍りして、両方借りる。


あとは何ができるだろう。

醤油と味噌は大豆ができないと仕方ないし……

マヨネーズはお酢と油が必要だからまだ無理。

お酢は米酢を狙ってるが、水田が出来るまで我慢。


油は……菜種か。

「菜種も追加でお願い」

油も重要だ。

炒め物から揚げ物までできる。


まだポイントに余裕がある。

どうしよう。


「ユスト様の拠点には大きな湖があります。そちらで魚を育ててみるのはどうですか?」

悩んでいたユストにアドバイスをくれるフィリップ。


「魚?私は釣り苦手だし、どこかの川行って、主を捕まえろとかは無理だよ?」

家畜の長を捕まえるのも難しだろうが、水中で生活する魚の主はもっと厳しい。

なぜなら私は泳げない。


「300Pを使うことになりますが、魚の原種にあたる卵があります」

差し出された袋はサンプルの袋とかなり違う。

ポケットに入るような大きさではなく、抱えるほどの大きさがあった。


「水中に袋ごと沈めていただくと、その水生環境に適した個体の魚が孵ります。豊かな水質ですと最高で20品種くらいになります。ただし、こちらはサンプルではないので、返却が無く、使用したポイントは戻りません」

ポイントが減っても取り戻せないのかと考えてしまう。


ちなみに家畜はポイントで手に入れることはできないという。

哺乳類は卵ではなく赤子だからだそうだ。


さて、どうしよう。

魚は欲しい。

干物とかおいしいし、ダシが取れれば味にバリエーションが増える。

また借りてるサンプルの袋に果物の種を混ぜて、栽培種類増やす気でいたから、このさい300Pは消えても惜しくないだろう。


「うん、魚育てるからそれも貰うわ」

全部で640Pの使用。

ここまでだろう。


「さて、こんなものかな。フィリップ、モウシは森のどの辺りにいるかわかる?」

闇雲に探すには広い森だ。

検討くらいは必要だろう。


それにモウシと契約するまでは好物とされているトウモロコシ、大豆、蕎麦は栽培できない。

サンプルのまま持ち歩かないといけないのだから。

早々に捕まえるしかない。


「湖を拠点としているので半径1キロくらいを探してみてください」

なるほど、農作業をしながら合間で探しに行けるのは助かる。


「ありがとう」

成果物のマニュアルと借りたサンプル、魚の卵をリュックに詰めた。


「健闘を祈ります」

頭を下げたフィリップに片手を上げて挨拶を交わすと、だんだん視界がぼやけてくる。

なかなか孤児院の子供達が出せない……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ