司崎
ポケットの中で携帯が振動を始める。
見覚えのある番号だったので出てみると、電話口から啜り泣く声が聞こえて来た。
「ごめん、戸山君。先生に逃げられちゃった」
司崎が雪嶋を振り切ったようである。
「大丈夫です。こっちは準備万端ですから。あとは先生を待つだけだったんですよ」
「ああ、そうだったんだ。よかった」
時計を見てみる……いくらなんでも、こんなに粘るとは思わなかった。
雪嶋も大変だっただろうが、司崎も地獄だっただろう。
「それで、先生はどっちに行きました?」
「電話で指示が来たみたいで、駅の方角へ向かったよ」
やはり玖墨は俺達の位置を把握しているようだ。
「わかりました。雪嶋さん、本当にありがとうございます」
「余裕そうだね。安心したよ」
「もう、なるようにしかなりませんからね」
「で、今どこに?」
「それは教えられません」
「何で?」
「色々事情がありまして」
「じゃあ、私はこれからどうすればいいの?」
「雪嶋さんの役割はもう終わりなんで解散、って感じですかね」
「え? 待って。この気持ちの高ぶりはどうしたらいい?」
「帰って寝て下さい。やらなきゃいけないレポートもあるんですよね?」
「そうだけど」
「じゃ、電話切りますね」
「え? ちょっ!」
俺は携帯の画面をタップして通話を終了する。
「ひどい。生け贄にしておいて」
横で七原が言った。
「実際、ここに来られても困るだろ。無事に司崎の能力を排除できたら、改めて、お礼の電話でもするよ」
俺達は今、あの公園にいる。
何の因果か、今回はこの場所と関わりが深いのである。
「やりたい放題だな、戸山。そういう事ばかりしてると、いつか後ろから刺されるぞ」
遠田が言った。
中学時代の制服に身を包み、髪を後ろで纏めている。
「仕方ないだろ。こうするしかないんだ――遠田にそんな格好をさせてるのも申し訳ないと思ってるよ」
「これは別に構わないけど、本当に意味があるのか?」
「あるよ。このタイミングで意味もなく中学の制服を着ろって言ったのなら、どうかしてるだろ」
「まあ、そうだけど」
「でも、やっぱりヤンキーって凄いよな」
短いスカートから見える足に、どうしても目がいってしまう。
「あの頃はこれが普通だったんだよ! 周りが皆そうだったから、そういうもんだと思ってた」
非難がましく俺を見る遠田の顔は、どんどんと真っ赤になっていった。
俺が遠田を見ている目線の先には、ばっちり髪が黒くなった辻平もいる。
遠田が同じように視線を向けると、辻平は背筋をピンと伸ばした。既に遠田に説教を食らった後である。
遠田の家で合流してから、幾らか辻平にも事情を聞いたのだが、彼は司崎がそこまでの危険人物だとは思っていなかったらしい。
辻平としては、司崎を使って遠田にちょこっと脅しを掛けて、ビビる遠田が見れたら高笑いをして帰るつもりだったようだ。
だが、途中から司崎のガチ感に恐怖を覚えだした。こんなのを遠田に差し向けたら、冗談で済まされないぞと思い始めていた。そんな最中、いつの間にか司崎の方からいなくなってくれたので安堵していると、今度は遠田から呼び出しの電話が掛かってきた、という経緯のようだ。
俺は、もう一度時計を見る。
「そろそろ来る頃かな」
時計なんて見ても何の目安にもならないのだが、ついつい気にしてしまう。
平静を装ってはいるが、本心は恐怖に満ちているのだ。
ああいう風に雪嶋を利用した事を考えると、出会い頭に二、三発殴られるくらいは想定しておくべきだろう。
それでも、持ちこたえなければならない。それを乗り越える事が出来れば、何とかなる。司崎を説得できる材料は揃っている。
上手くいけば、無傷での排除が可能なはずだ。
そんな事を考えていると公園の入り口に司崎が現れた。
まっすぐと俺へと歩み寄ってくる。
俺が身構えると、司崎は俺の前で足を止めた。
「戸山、お前は本当に何なんだよ」
司崎が拳を上げる――。
そして、指差した先には男が三人、ベンチに座っている。彼らは暇な大学生――もとい、司崎の教え子だ。
詳しい事情は話さず、取り敢えず、そこに待機して貰っているところだ。
「先生の弱点が教え子だって事が分かったので、逢野さんに集めて貰いました。詳しい事は話してませんが、揉め事が始まったら仲裁して貰うように頼んでます」
「……」
司崎が鋭く俺を睨み付ける。
「僕がストップって言うまでと言ったので、まだまだ、集まり続けますよ」
「戸山。お前、イカれてるな」
「手段は選んでられないですから――解散の条件は、こちらの話を聞いて頂くことです」
司崎は無言で俺の顔を見た。
何らかの心境の変化があったのだろう。話を聞いてくれるようだ。
俺は一呼吸置き、努めて冷静に問い掛ける。
「先生、この二人に見覚えがありますよね?」
俺が遠田と辻平を指差すと、司崎は大きく目を見開く。
二人を見て記憶が呼び覚まされているのだろう。
「先生の無断欠勤が始まったのが入試の日だという話を聞いて、ピンと来ました。その前日に先生に絡んだ連中のリーダーが、この辻平です。そして先生を助けたのが、こっちの遠田ですよ」
司崎はその日、手元のお金が尽きて行き場所が無く、この公園のベンチで途方に暮れていた。よれよれのコートを着て、虚ろな目をした男が長時間公園のベンチに座っていたら、それを見た中学生がホームレスだと勘違いするのも不思議じゃない。
辻平が絡んだホームレスというのが司崎である事は、逢野姉に卒業アルバムから昔の司崎の写真を送って貰って、遠田と辻平に確認済みである。
なぜ遠田も辻平も司崎に気付かなかったか。
それは司崎の能力によって彼の外見が変わったからである。司崎をよく知る雪嶋が辛うじて分かったくらいなのだから、二人が分からなかったとしても当然だ。
そして、司崎が辻平に気付かなかったのは、辻平が青髪にして全く印象が違っていたからだろう。辻平はグループのリーダーではあったが、司崎に絡んだのは他の奴だったとも聞いている。その所為もあるのかもしれない。
遠田に関しては、切迫した状況の中で、あまり顔を見られていなかったという事なのかもしれない。
司崎は茫然としているようだ。
目で見せられる証拠があった事は非常に幸運だった。
「遠田、もう用件は済んだ。帰っていいよ」
そう言って、遠田に目配せをする。
ここから能力の話をしないといけない。
辻平や、教え子の方々の前で、能力者云々の話をする事は良い事ではない。
「あと、それから逢野さんと連絡を取って、ストップして貰うように頼んどいてくれ」
「ああ。わかった。辻平、行くぞ」
「は、はい!」
「皆さんも、用件は済んだので、こちらに」
遠田には本当に色々と迷惑を掛けているな、と申し訳ない気持ちを抱きながら、一団を引率する遠田の背中を見送る。
もう会話が聞こえないなという距離まで離れると、俺は司崎の方に視線を戻した。
「遠田や辻平と司崎さんにはそういう繋がりがあったんですよ」
「不思議な巡り合わせだな。確かに物凄く驚いた。だけど、それが今、何の関係があるって言うんだ」
「関係はありますよ。あの二人が司崎さんが能力者になった直接の原因ですから。色々な遠因がありますが、結局のところ、あの二人との件が司崎さんを能力者にしたんです」
「……そうだな。今思えば、あの時の絶望こそが俺を能力者にしたのかもしれない」
深く頷く司崎に問い掛ける。
「司崎さん、一つ聞いて良いですか?」
「ああ」
「玖墨さんは司崎さんが能力者になったのは絶望の所為だと言ったんですか?」
「ああ」
「そうですか……それはおかしいですね」
「おかしい?」
司崎が訝しげな眼差しを向けてくる。
「僕は司崎さんが能力者になったのは絶望からじゃないと思ってます――絶望という強い感情、その心の揺れ動きが能力を呼び覚ましやすいのは事実です。でも、司崎さんの場合は違う気がするんです」
「じゃあ、何だって言うんだ?」
「強い憧れ……ですかね」
「憧れ?」
「そうです。憧れもまた、絶望と同じで強い感情です。それは人の行動原理を大きく変える重大な心の変化だと言える」
「まったく話がみえてこないんだが……」
「遠田はたった一人なのに、恐れず辻平の集団に立ち向かいました。その光景は衝撃的なものだったんじゃないですか? 自分の命が絶えてしまうかもしれないという恐怖を味わった後では特に」
「確かに、そうだよ。俺はあの時、自分の惨めさや情けなさを痛感したんだ。何で彼女のように生きられないのか……そんな自分に絶望した」
「司崎さんは、その日までに散々悲惨な目にあっていた。ただの絶望なら、能力を呼び覚ますほどに心が揺れ動く事も無かったでしょう。司崎さんは遠田の芯の通った立ち振る舞いに崇拝にも近い感情を抱いたんです。それが司崎さんを能力者に駆り立てた」
「……そんなのは些細な違いだろ。確かに今も彼女の鮮烈な印象は残っているが」
「僕が言いたいのは、玖墨さんの言う『司崎さんの能力が絶望によって目覚めた』という説が半分正解でしかないって事ですよ。司崎さんの能力だって、よく考えてみれば変なんです。司崎さんは覆面との戦いの中でパワータイプからスピードタイプに変化した。単なる強化じゃないんですよ。司崎さんの能力は、どこかブレているというか、理想というものがあって、それに近付こうとしている感じがするんですよね」
「だから何だって言うんだ?」
「玖墨さんは浅はかな詐欺師に過ぎない」
「は?」
「玖墨さんは絶望という抽象的な言い回しをするだけで、司崎さんが能力者になった原因について語る事は無かったんじゃないかと思ってます。玖墨さんは『自分には未来が分かってる』と言ったが為に、『何でも知っている』と言ったが為に、司崎さんに詳しい事情を聞く事が出来なかった。その一件に関わった遠田も辻平も、司崎さんが本当はホームレスじゃなかった事でさえ知らなかったし、司崎さんも、誰かにその話を語る事は無かった。だから、玖墨さんには司崎さんが能力者になった理由を探り出す事は不可能だったんです。ちなみに、僕も玖墨さんと話した時、司崎さんが能力者になった理由を聞いたんですけど、具体的な事は何も言いませんでした。玖墨さんの性格上、気付いてたのなら、それを匂わすような事を言わないはずがないですよね」
「だが、玖墨は今まで様々な予言をしてきた。そしてその全てが的中したんだ。戸山、玖墨はお前が現れる事も予言してたよ」
「玖墨さんは未来予知ではなく別の能力を持ってるんです。その力で予言者を装っていた」
「じゃあ、どんな能力を持っているっていうんだ?」
「そうですね。それを語る為に、まず質問して良いですか?」
「ああ、構わないが」
「ありがとうございます――司崎さんは小深山さんの事を覚えていますか?」
「覚えてるよ。当然だろ」
「小深山さんと玖墨さんが受験の前に喧嘩をした事は?」
「それも覚えてるよ。玖墨が小深山に、このままでは受験に失敗すると言って揉めたんだ」
「そして、玖墨さんの言った事は本当になった」
「ああ。今思えば、あれも予言だったな……で、小深山は塞ぎ込んでしまった。電話を掛けたり、家にも行ったんだが、本人には会えなかったよ」
「不思議だと思いませんでしたか? 何故、小深山さんが司崎さんに会おうとしなかったか。何故、そこまで司崎さんに心を閉ざしてしまったのか」
「そうだな」
「これは今日小深山さんに聞いた話なんですが――受験の日、司崎さんから電話が掛かって来たそうです。そしてその電話で司崎さんは、小深山さんの名前の事や家族の事について暴言を吐いた。小深山さんはそれに動揺して受験に失敗したという事のようです」
「は? 何だそれは?」
司崎の顔を注視していたが、驚き以外の感情は見て取れなかった。
「やってないんですか?」
「そんな事、やる訳がないだろ」
「ですよね。司崎さんは身に覚えがないと言うと思ってました」
「は?」
「司崎さんに関して話を聞けば、皆が口を揃えて真面目だと言いますから。そんな人が小深山さんの受験を妨害する訳が無い。でも小深山さんは、はっきりとそういう事実があったと言いました。小深山さんも嘘を吐いている感じじゃなかったです」
「じゃあ、どういうことなんだよ」
「こうなると、小深山さんに電話を掛けた司崎さんは別人だったんじゃないか、としか考えられませんよね。玖墨さんが自分の予言を的中させる為に、声や喋り方が似た別人に電話をさせたんじゃないか、と」
司崎は顔をしかめる。
「そんなにも都合良く、声が似てる奴がみつかるか?」
「不可能ではないが、難しい話だと思います――それで、もしかして、これには玖墨さんの力が関係してるんじゃないかと思ったんです。そこで閃きました。玖墨さんの能力はもしかしたら、遠くの音を聞き取る能力なんじゃないか、と。いわば地獄耳の強化版といったような能力です。そういう力があれば、司崎さんと声が似ている人を発見することも簡単でしょう」
「いや、でも、玖墨は予言を……」
「その能力を使って情報収集をすれば、人を驚かすくらいの予知は出来るんじゃないかと思います。これは至極単純な話なんです。玖墨さんが俺達の居場所を把握できていたのも、その聴力があったから。住所がバレていても、玖墨さんが高台の自宅に住み続けてるのは、高い所の方が遮蔽物が少なく、遠くの音が聞き取りやすいから」
「しかし……」
「玖墨さんの能力が地獄耳だと仮定すると、全てに説明が付くんですよ。今日起きていた事は全て――この話を聞いて頂けませんか?」
「わかったよ。話せ」
「今日の日中、僕は小深山さんと小深山さんの弟の能力を排除していました。その時、遠田は司崎さんの周辺を調べていた。その様子を盗み聞きしていた玖墨さんには、次に僕が司崎さんの力を排除しようとするのは分かってた。一方、司崎さんは暴れ出す危険があると判断され、鍵の掛かった部屋で拘束されていた。玖墨さんとしては、司崎さんが獣化を始めているとはいえ、みすみす排除されたくないと思ったんでしょうね。玖墨さんは司崎さんの携帯へと電話を掛けた。すると、司崎さんの代わりに、見張り役としてついていた下っ端の辻平が電話に出たんです。そこで、玖墨さんは辻平に提案を持ちかけた。『そこから、司崎さんを出して欲しい。その代わりに君の要求に一つだけ答えるよ』と。そして、辻平がした要求というのが、遠田彩音に一泡吹かせたいという事だった。玖墨さんはこれを幸運だと思ったんでしょう。辻平は遠田の顔を認識できる。その先には排除能力者の僕がいる」
「なるほど。最初から俺はお前を目的に動かされてたんだな」
「それは違います。玖墨さんは、司崎さんをダシにして、排除能力者の僕を取り込めないかと画策してたんです」
「は?」
「司崎さんが病院を抜け出して遠田を探し回り始めた頃に、俺達は玖墨さんの家に招かれていました。玖墨さんは僕達に、司崎さんの能力を排除する為、協力しないかと提案してきました」
「それは本当なのか? じゃあ、何で玖墨は俺に戸山を狙えと言ったんだ?」
「それは、この公園での喧嘩の後ですよね? あの辺りで、玖墨さんは僕達と組むのが無理だと判断したのでしょう。七原が早い段階で玖墨さんの目論見に気付いていたし、司崎さんの能力についての調査も結果が出てきていた。だから、手に負えないと思ったんじゃないかと思います。そして、玖墨さんの中で選択肢が出た。司崎さんを大人しく排除されるか。司崎さんを使って僕達を止めるか。それで、僕達を襲わせる事を選んだという感じです――俯瞰で見れば、玖墨さんが、その場凌ぎでいい加減に言動を変えている事がよく分かる。とても未来が見える人だとは思えません」
「確かに、筋の通った話だ……いや、でも……」
「……ちなみに、陸浦さんも玖墨さんの仲間ですよね」
「陸浦の事も知ってるのか?」
「はい。会った事は無いんですけど、話には聞きました。司崎さんは陸浦さんの能力を知ってますか?」
「いや、知らないよ。彼女の能力は教えて貰ってない」
「そうですか。僕達は彼女に姿を消す能力があるんじゃないかと思ってます」
「姿を消す?」
「はい。これに関しては、僕達が目の前でその力を使われてます。玖墨さんの家で、誰もいないはずの二階から物音がしたり、コーヒーのカップが片付けらていたり」
「陸浦にその能力があるとして、何で、そんなことをしなきゃならないんだ」
「愉快犯という事もあるでしょう。だけど、一番の目的は、僕達に陸浦さんの能力が通用するか試す事だったんじゃないかと思います。玖墨さんが態々僕達を自宅に呼んだのは、他人に邪魔されず、それを確かめる環境が必要だったからでしょう」
「なるほど」
「陸浦さんの能力は非常に有用な力です。情報収集だけじゃなく、実戦的な面でも役に立つ。玖墨さんと陸浦さん、二人の力の組み合わせで玖墨さんの未来予知は成立していたんだと思います」
陸浦の力を金儲けに使わなかったのは何故だろう。
恋人だからか。陸浦がそれを嫌がったからか。
それもあるだろうが、おそらく陸浦の力には、例えば防犯カメラには映ってしまうといったような欠点があるんじゃないだろうかと思う。
「司崎さんが雪嶋に手を出したという噂も、早瀬先生と不倫しているというデマも、多分あの二人が発信源だと思います。陸浦さんは同窓会で司崎さんが教師を辞めたのは不倫が原因と語ったそうですからね」
「そうなのか」
「これは逢野さんから聞いた話です。嘘では無いと思いますよ。時間があれば、もっと証言を集めて確証が得られたでしょうが、ここらが限界でした。でも、これだけの状況を見れば異論は無いですよね? 司崎さんを追い詰めたのは玖墨と陸浦だったんです」
「あいつらは何でそんな事を?」
「司崎さんを追い詰めれば、異能力を発現すると踏んでいたからじゃないかとさえ感じますね」
「そんな事が?」
「まあ、そういう可能性があるって話ですけど」
「そうか」
「あの二人の能力を以てしても出来ない事を玖墨さんがしたというなら、教えて下さい。そんな事は有り得ないと思いますけど」
「あったら、どうするんだ?」
「その場合、他の能力者もいるという可能性を探りますね。玖墨さんに未来予知はできない。たとえ、本当に未来が予知できるとしても、大した能力だとはおもえませんよ、今日は悉く予言を外してますからね」
「わかった……十分に納得できる話だよ。間違いないのかもしれない」
「大体、司崎さんは玖墨さんのクラスの担任だったんですよね? それなら、玖墨さんの性格的な問題も知っていたはずです。それなのに何で騙されたんだって話ですよ」
「予知能力なんてものを持っていれば、性格が歪むのも仕方がないと思ったんだ。それでも能力者の未来の為だと言うから」
「玖墨さんは未来の事なんて少しも考えてないと思いますよ。司崎さんを使って裏社会を成り上がるというゲームに興じていたんでしょう。玖墨はずっと司崎さんを裏切って、利用していただけなんです」




