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78.闇落ちルートでしょうか?

 夜になり、ビアンカが公爵家へと戻ってきた。

 今夜は公爵家で過ごし、明日はそのまま私と一緒に学校へ向かう予定だ。

 夕食後で、ビアンカも軽く食事を済ませてきたということで、私の部屋で話をすることになった。


 リティとフレッドにも、この日は席を外して貰う。

 いつか、フレッドには話しておきたいとは思うのだけれど、あまりにも荒唐無稽な話だから、なんて話せば良いのやら。


 リティが淹れてくれたお茶を口に運び、一息ついてから切り出した。


「ビアンカ。前世のことは、覚えていて?」

「あまり、よくは覚えておりませんの。成長するうちに、忘れてしまったようですわ。お姉様は?」


 そっか。私も、友人のほとんどは名前も顔も思い出せない。

 自分の名前や両親、学校の事。断片的な記憶だけだ。


「少しは覚えているくらいね。ゲームの事は?」

「それも少ししか覚えておりませんの。でも、幼い頃に書いた日記がありましたわ。今日はそちらもお持ちしたんです」


 ビアンカは、私の部屋へ来る際に持ってきた古ぼけたノートをテーブルへと置いた。


「みても?」

「ええ」


 了承を取って、ノートのページを開く。

 幼い、いびつな文字だが、何とか読める。


「……ビアンカは、一通りルートを攻略したのね」


「そうみたいです。キャラクターを攻略したという事自体は覚えているのですが、ストーリーは全部忘れてしまっていますわ」


「そうなのね」


 ノートには、たどたどしい文字で、攻略の内容が箇条書きにされていた。


 ストーリーは、ビアンカ・ネーヴェが学園に入学するところから始まる。

 好感度を上げるためのイベントは、現実には何一つ起こっていない気がする。

 迷い猫を保護する、だとか、虐められていた女生徒を助けるだとか、傷の手当てをするだとか。


 メインとなるストーリー。かかわりがあるとすれば、こっちだろうか。

 アイザックは、中身が大分変わっているっぽいが、勉強が苦手なアイザックは、次期国王の重圧で悩んでいた。自分は王には向いていないと、弱音を吐くアイザックに、ビアンカは、アイザックの良い所を挙げていく。そして、あなたが王様になったら、きっと素敵ねと笑うのだ。


 チョロいアイザックはこれで好感度はぽんっと上がる。

 ポンっと上がったがために、二人は学園でスチルという名のイチャコラをしまくり、自分の領地に引き籠りのアウラリーサはヤンデレ拗らせ、巨漢の女帝化した挙句、やり過ぎの嫌がらせをした挙句に断罪されてしまうのだけれど。

 私もアイザックルートはやったからあれだけど、ぶっちゃけこいつが王になった時ポンコツ過ぎて困るだろと思った。

 だから、私は早々にアイザックをビアンカに譲り、かつ、ハッピーエンドのその先で自分が苦労しないようにアイザックとビアンカのお尻を叩いてきたんだよね。


 ヴァルターはすっ飛ばし。


 気になるのは、ユーヴィンだ。


 ゲームでは、ユーヴィンは入学時にはすでにヴァルターと共にアイザックの側近となっていた。

 最初はビアンカに柔らかな笑みを浮かべつつも、あたりが強かったユーヴィン。

 あの手この手で、チョロいアイザックが頻繁にビアンカに接触し、その度にビアンカを諫め、ビアンカに嫌味を言いまくってくる。あなたのようなマナーのなっていない下品な娘に王妃は務まらない、馬鹿な夢など見ないようにと。ここまではアイザックルートも同じだ。


 ユーヴィンルートだとツンデレで、ビアンカに意地悪めいたことを言いつつ、内心は甘々、というハッピーエンドで、ユーヴィンは宰相となり、ビアンカはその妻になる。

 バッドエンドだとユーヴィンは闇落ち。ビアンカを大きな鳥かごに閉じ込める軟禁ルート。


 ……。


 アイザックとユーヴィンの好感度がほぼMAXまで上がった上で、アイザックを選んだ場合、闇落ちエンドが待っている。


 そして、現在ビアンカとアイザックは恋仲。

 で、ユーヴィンは悪態つくことなく、ビアンカにモーションを掛けてきてるっぽい。


「……なんでユーヴィンの好感度が上がっているの……!? これって闇落ちエンドじゃない!? ビアンカ、あなたユーヴィンと話したことは?」


 ぶんぶんと、ビアンカが眉を寄せて首を横に振る。


「入学してすぐにクラスは分かれておりましたし、入学早々、色々起こっていたではありませんか。その後も特に会う機会もありませんでしたもの。そもそもわたくしは幼い頃より、アイザック殿下一筋ですわ! 他の殿方に粉を掛けたりなど致しません!」


 今まで全く接触してこなかったのに。

 ユーヴィンは何を考えているんだろう。

いつもご拝読・いいね・ブクマ・評価・誤字報告、有難うございます!

次は、明日の朝、8時投稿予定です。


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