表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/109

19.見つかりました。

 あの後、思いの外、アイザック王子と話が弾んだ。

 帰り際、アイザック王子は、「友達になら、なってやる」って、ちょっと照れ隠しみたいにそっぽを向きながら言ってくれた。


 うん、私も、友達ならいいかな。

 俺様なクソガキかと思ったけど、思ったよりもいい子だった。


「アイザック殿下とのお話は楽しかったかい?」

「はい。楽しかったです! ……あの、お父様。この間私がお願いした、ネーヴェ男爵の妹さんの子って、何かわかりましたか?」


 帰りの馬車の中、気になっていたことを聞いてみる。


「うーん、クロエ・ネーヴェが使用人と駆け落ちをしたってことは分かっているんだけどね。まだ手掛かりは無いよ」

「そうですか……」


 ……ぁ。大事な事を忘れてた!


「お父様。その子、黒髪で黒い瞳です!」


 『メルディアの白雪姫』。


 タイトルの由来は、ヒロイン、ビアンカ・ネーヴェにある。

 おかっぱの黒髪に白い肌。黒い瞳。さくらんぼのような赤い唇。

 トレードマークは赤いリボン。


 リボンと髪型は、ゲームの時とは違うだろうけど、黒髪に黒い瞳は、ブランシェル公爵家にも、今日であったお城の人でも見なかった。結構珍しいんじゃないだろうか。


「黒髪に黒い瞳か……。うん、調べてみようね」


 これで見つかると良いんだけど。


 とりあえず、アイザック王子と次に会うのは、一か月後。

 王妃教育は二か月後から始まるらしい。

 シーズン期間中は、王都の屋敷から通えるけど、社交シーズンが終わる七月から、王宮に預けられるんだそうだ。

 今は二月だから、後五ヵ月。

 お父様は公爵領があるから、社交シーズンが終わると、領地に帰って向こうの仕事をしなくちゃいけないんだって。


 私は私でやることがいっぱいある。

 体力を付けなくちゃいけないし、お勉強もしたい。わからないことが多すぎる。

 本も読みたいし、護身術も学びたい。

 残り五ヵ月でどこまで出来るかな。頑張ろう!


***


 翌日から、朝のラジオ体操再開。

 三日もすると、リティも慣れたみたいで、元気に一緒に体操するようになった。

 この間、体操してたらカシー兄様が覗きに来て、以降カシー兄様も交ざるようになった。


 まだ体力は少ないけど、毎日みっちり続けたら、ジョギングできるくらいには体力がついた。

 最近はカシー兄様に付き合ってもらって、お庭の迷路で鬼ごっこをしてる。

 時々フレッドも付き合ってくれる。


 今のところ、体型は変わってない。いっぱい運動して、いっぱい食べて、健康的。

 この状態をキープしなきゃ。


 日中はお母様とマナーの勉強や刺繍を教わって、午後はウォルターさんが勉強を教えてくれた。

 主に歴史や国のこと、貴族のこと。

 お金の計算は嬉しいことに十進法。

 日本でいう一円が小銅貨。十円が中銅貨。百円が大銅貨で、千円が小銀貨。一万円が大銀貨、十万円で小金貨。大金貨は百万円くらい。他の世界は分からないけど、こっちの世界で金貨ジャラッとか言ったら、一体幾らになるのやら。

 そろばんをやってた私は暗算も得意だし、計算はウォルターがびっくりしてた。

 ふふふふ。日本のそろばんってめっちゃ優秀なんだよ! 脳内そろばんは健在だった。


 使用人達の名前と顔も覚えて、もうすっかり仲良くなった。

 最近庭師のお爺さん、マシューに薬草の手入れを教わってる。これも貴族令嬢の嗜みの一つなんだって。

 貴族の令嬢が土いじりなんて、意外だ。前世の貴族もやってたのかな。

 スマホがあれば調べたんだけど、ここでは調べる手立てもない。残念。

 

 そして、二週間が過ぎた時、お父様から部屋に来るように呼ばれた。


「お父様、お呼びでしょうか?」

「ああ。待たせたね、アリー。クロエ・ネーヴェの娘が見つかったよ。名前はビアンカ。トルメント領のピエナという町にいた」

「!!」


 ついに。

 ビアンカ・ネーヴェが、見つかった!

ご閲覧、いいね、ブクマ、評価、いつもありがとうございますっ!!

推移チェックは夜やります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ