表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢は普通を所望いたします  作者: 桜井 更紗
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/140

閑話─消え去った根元

 




 三ヶ国に拠点を置いた禁止品の密輸と、人身売買の悪の枢軸のような犯罪組織が、次々と摘発されて行った。


 後に……

 この時の摘発が無ければ、世界中を蝕んで行く犯罪組織になっただろうと世界史に記録される事になる程に。


『ドルーア王国の王太子殿下の、御身を犠牲にした尊い囮捜査が世界を救った 』のだと。



 そして……

 この事件を探って行く内に、思わぬ者の名前が浮かび上がって来た。


 ルーナの母親のエマイラ伯爵夫人が、事情聴取を受けたのである。

 ハーパー商会の顧客名簿の中に、カミラ・エマイラの名があった事から。



 更に調べた所、エマイラ夫人はハーパーと親戚関係にあると言う事が判明した。

 親戚と言っても血縁関係の無い遠い親戚なのだが。

 ただの顧客では無い繋がりがあるのかと事情聴取されたのである。



 事情聴取に呼ばれたエマイラ夫人は、ハーパーとは会った事も無い事を主張した。

 ハーパーが勝手に名前を使ったのだと。


 ハーパーの顧客名簿には、名前だけを使われた例も数多くあった事から、ただ確認しただけと言う類いのものだったが。



 しかしだ。

 エマイラ夫人が、ハーパーと何らかの繋がりがある事を知る人物が一人いた。


 エマイラ夫人の娘ルーナだ。

 自分の母親が媚薬を持っていたのだから、そう思うのは当然な事だった。



 この事件の事で、母親が事情聴取された事を聞いたルーナは青ざめた。

 王太子に媚薬を使おうとしていたエマが、処刑になった事から尚更に。


 ルーナは、母親から王太子殿下に飲ませろと言われて、媚薬を渡されたのだから。



 離宮に行ったルーナだったが、1ヶ月も経たない内に彼女はソアラに手紙を書いてよこしていた。


 何も無いつまらない離宮での暮らしが嫌になり、王都に帰りたいと言う内容だった。


 ソアラとは、今までもこれからもずっと一緒にいたいとも書かれていて。


 ソアラはぞっとした。



『 ブライアンを王宮の騎士団に戻すように、ソアラからルシオ様に執り成して貰えないかしら? 』


 騎士団の人事に口出しする事は、たとえ王太子妃になったとしても出来ない事。

 ソアラは、自分の立場ではどうする事も出来ないと返事を書いていて。


 それでもルーナはしつこく手紙を送って来た。


 妊娠中で無ければ、直接ルシオ様に懇願しに行くのにと。

 しまいには、出産したら自分だけでも王都に戻るとまで。



 ルーナは離宮での執務の仕事はしてはいなかった。

 妊娠中だからと言って。


 なので……

 離宮の執務の仕事は、捕縛された前執事の補佐官だった伯爵が担っている。



 そう。

 ルシオにとっては、ルーナが執事になるのかならないのかはどうでも良い事で。


 ルーナに執事の話を持って来たのは、体よく美味しい条件を提示して、ルーナをソアラから離したかっただけなのだから。



 しかし……

 この事があってから、ソアラの元にルーナからの手紙は来なくなった。


 母親が事情聴取された事から、ルーナはマーモット侯爵家に顔向け出来なくなり、とてもじゃないがマーモット家には足を運べなくなったのだ。


 ブライアンと結婚したからには、ルーナはマーモット家の人間なのだから。



 マーモット侯爵は、ルーナをブライアンの妻に選んだ事を激しく後悔した。

 ブライアンが三男だからと、ルーナの母親が男爵出身だと言う事には目を瞑った事を。


 高位貴族である侯爵家にとっては、事情聴取されたと言う事自体が不名誉な事だったのだから。



 そして……

 昔、ブライアンと結婚させようと思っていたソアラが、王太子妃になる事にも臍を噛んだ。


 幼い頃からソアラの事は知っていて、彼女が才女である事も知っていたと言うのに。

 ソアラを選ばなかった事を、今になって後悔していると言う。


 往々にして貴族と言う生き物は傲慢な考えの塊なのである。


 王妃エリザベスが、王太子妃を侯爵家から選ばなかったのも頷ける。



 そして……

 ルーナが青ざめている原因はまだ他にもあった。


 あの旅先での夜に、ブライアンに媚薬を盛った事を、ブライアンが気付いていたらと思うと、ルーナは気が気でなかった。


 母親が事情聴取された事は、当然ながら騎士であるブライアンの耳には届いている筈。


 ブライアンは何も言わなかったが。



 媚薬は所持しているだけで罪に問われる代物。

 それを事もあろうか我が国の王太子殿下に飲ませようとしていた。


 事の重大さを痛感したルーナは、ルシオの前にもソアラの前にも出られなくなっていた。



 その後ルーナは……

 ソアラに手紙を送って来る事も無く、会いに来る事も無かった。

















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 会わない逢えないのは、当然だが それだけ?そして次は?と思う、ブライアンの実家の侯爵家への配慮で終了? 最大の敵、障害がと思ってしまう
[一言] ルーナへのざまぁはあれだけだったのか、と、正直実は少しがっかりしておりました。 だって、今まで彼女のしでかしてきたことはちょっとやそっとでは罪滅ぼしできないのに ちゃっかりとソアラから今ま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ