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41 クラスメイトside2/+α

望たちがクエスト制限を通告されたのと同じ頃、ヴィルティア大陸。


聖教国ヴィルムから離れた所に位置する観光都市ブルプタ。

海に隣接したこの都市は古くから港町として、貿易の場として利用され、栄えた場所だ。海を渡って来た物を見ようと人が集まり、いつしか観光地としても発展していった。


さて、そこには現在、数人の少年少女と2人の兵士が宿泊していた。

その中の1人、魔族討伐のためにこの世界へ連れてこられた召喚組である榊煌成は、宿のベランダから憂いを帯びた瞳で、日が沈んてから、時が経った深夜の海の景色を眺めていた。


「綾乃、どこへ行ってしまったんだ……」


彼は、日本にいた時からの友人である綾乃が姿を消した翌日、彼女を探すことを決断し、それに賛同したクラスメイトを引き連れ、聖教国ヴィルムの王マルムに直談判をしたのだ。

マルムやその重臣たちとの議論の末、彼らの意見に許可が下りた。


それからすぐに、綾乃たちの捜索志願したクラスメイト十数人が二つの部隊に分けられた。

召喚組7、8人と2人の兵士で構成された隊が二手に分かれ、捜索の旅に出たのだった。


綾乃の失踪により心を折られ、捜索隊に参加しなかったクラスメイトもいたが、榊を始め参加したクラスメイトたちは、綾乃たちを探し出してみせる! という決意を持っていたのだ。


しかし、数週間この大陸の広範囲を探して回ったが、綾乃たちの姿どころかその存在を示す情報すら見つけ出せないでいた。


自分たちだけでなく、二手に分かれた別の隊も有力な情報は掴めていないという状況。

榊は、自分の無力さと綾乃に会うことができないという歯痒さを感じていた。


もっと綾乃のそばにいれば、あるいは、こんなことにはならなかったのかもしれない。

そんなことを何万遍と考え、また後悔の念に襲われる。榊はここ数日、これを繰り返していた。


「煌成、また外の景色を見てたの? そろそろ戻らないと風邪ひくよ?」


そんな榊に、親しげに声をかける少女がいた。


彼女は、浅尾仁美(あさおひとみ)

カラーリングされた金髪を肩まで伸ばしており、長身と整った容姿は、美しいが若干の威圧感も存在し、人からの評価が分かれるタイプである。


そんな彼女は、日本にいた時から、榊や綾乃と同じグループに所属しており、彼らとは親しい間柄だった。

それも関係してか、榊が綾乃創作を提案した際、いの一番に賛同したのも彼女であった。


「そうだな……わざわざありがとう!」


榊は、先ほどまでの憂えた表情を消し、笑顔を作ってみせた。

それに気づいた仁美は、悲しげな顔をして、口を開いた。


「煌成……大丈夫! きっとすぐ見つかるよ。それに、綾乃のことだから無事でいるって!」


「フフッ、そうだな! ……悪いな、仁美。言い出しっぺの俺が、こんなんじゃダメだよな。ありがとう!」


仁美の言葉に、榊は自嘲気味に笑った後、作ったのではない本当の笑顔で、礼を言った。

それに仁美も笑顔で、「うん!」と頷く。


そんなやりとりの後、寝室に戻った2人。しかし、それからすぐに日が昇り、十分に眠れなかったが、不思議と榊の身体は、重い物が無くなったかのようだった。


それから数時間後、太陽が完全に顔を出し、街が活気付いた頃、情報集めに出ていたクラスメイトの1人が血相を変え、榊たちの元へと走り寄ってきた。


「た、大変だ! はあ、はあ……」


「どうしたんだ? そんなに慌てて……」


「あ、綾乃を……綾乃を見たかもしれないって人が……」


「な、なんだって!?」


そのクラスメイトの言葉に、榊を含め、他の面々も驚愕の声をあげた。


「あ、綾乃が……」


すぐに、綾乃を見たという人物にその場所を聞き出した榊たち一行は、その場所を目指すことにしたのだった。



同時刻、ディスター大陸の某荒野。


そこには、荒れ果てた土地をひたすら歩き続ける1人の少女の姿があった。

幼い姿をしたその少女は、ボロボロの衣服を身に纏い、足をフラつかせながらも懸命に歩いていた。


「はあ、はあ……も、もうすぐじゃ。もうすぐ妾を救ってくれるであろう救世主の元へ……」


そう呟きながら歩を進める少女。その身体には、人間とは異なる狐の耳と尾を携えていた。


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