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40 クエスト制限!?

連れが俺の処刑方法を嬉々として挙げていくという地獄の朝食を終え、現在、クエスト攻略中。


町の近隣の森で、今日も今日とて低級モンスターを狩りまくって銭を稼ぐという簡単なお仕事です。

しかも、簡単で危険がないのに"危険手当"なる物が付いてきて、懐は暖かくなるばかり。なんとすんばらすぃーお仕事でございましょうか!


いやもちろんリスクはある、普通の冒険者ならな。低級と言えど危険な生物に変わりないわけで、冒険者でも、死ぬ危険は十分あるからこその危険手当だ。

だが、その程度の危険は、女神の加護という名のチート能力を持つ俺たち転生組にとっては、あってないようなものだ。


そういうわけで、低級モンスターの筆頭であるゴブリンさんの群れを蹂躙した俺たちは、足取り軽くサトスの冒険者ギルドに戻ったのだった。



「アヤノ様……これ以上、低難易度の討伐クエストを受けるのは勘弁願えませんか?」


ギルドにて、成功報酬の金を受け取る俺たちに、そんなことを言う人物が現れた。

そいつは以前、俺たちにランクを与えた支配人の男だった。


全く、突然何を言い出すことやら……。


「それはまたどうしてでしょうか? 私たちは普通にクエストを受けているだけですけど」


違反などは一切犯してないはずだ。

すると支配人は、随分と困った表情で、言いづらそうに答えた。


「確かに普通ですが……貴女たちは受け過ぎなのですよ」


「え……?」


「毎日毎日、朝一番に討伐系等の依頼を全部かっさらっていきますよね? しかも低難度のものばかりを」


うっ……確かにそれはそうだが、それは違反ではないだろう。

クエストを受ける数に制限は無いし、冒険者は、早く受けた者が勝ちというのが共通認識なのだから。


「貴女たちのおかげで、町付近の低級モンスターはほとんど姿を消し、それに関する依頼も少なくなりました。しかし、それにもあって他の冒険者の受けるものが無くなってしまったのです。そのせいで、ギルドの方にたくさんの苦情が……」


支配人は、早口でまくし立てながら木箱いっぱいに入った苦情の紙を俺たちに押しつけてきた。

それには『魔女たちの横暴を許すな!』『か弱き我らに救いの手を!』『無能ギルド仕事しろ!』などと勝手な主張の数々が綴られていた。


ちっ! ふざけたことをぬかしやがって。


「でも、クエストなら他にもあるでしょ? 採取系とか高難度の討伐形とか……」


朱夏が苦情の紙の数に少し驚きながらも、そう反論した。

そうだ、そうだ! もっと言ってやれ!


「採取形のものは、危険手当がつかない場合があるので安いのです。それがつくようなものは、高難度に分類されます。そして、そんな難度のクエストを受けられるような冒険者は、この町にはいません」


ここは、駆け出し冒険者の町なので。と、またしても早口で説明された。

というか、ここって駆け出しの町だったのか。

今初めて知った。じゃあ、以前絡んできたやつらも全員ペーペーだったのかよ! よくもまあ、あんな風に偉そうにできたな。


「いや、いない……というのは誤りですね。"貴女たち以外は"というのを付け足しておきましょう。アヤノ様、これからは是非困難度の方を優先して受けてもらえませんか?」


支配人はさらに、貴女たちなら達成できるでしょうし、報酬も増えますよ? と、半ば懇願するように言ってきた。


面倒だな……。

支配人は頼んでいるような態度だが、ほとんど塩漬けになったクエストを俺たちに押しつけているようにしか見えない。

しかも、こいつは、"受けられる"とは言ったが"達成できる"とは言わなかった。

それが、ここにある高難度に分類されるものが如何に達成困難であるかを証明している。

それが分かっていたから、俺は、それらを受けるのを避けていたのだ。


「いや、でも……」


「確か、お三方はすでにCランクになっていましたよね? ランクという資格でも、貴女たちは十分やれると思いますが」


「………………」


そうなのだ。嘆かわしいことに、低難度クエストをやりまくったせいで、俺たちのランクはFから、一気にCまで上がってしまった。

クエストを達成していけば、ポイントがたまり、それが決められた値まで行けばランクが上がる仕組みだ。

そして、支配人の言うように高難度と位置づけされるクエストに挑める最低ラインが、今、俺たちが持つCランクからなのだ。


しかし、資格があってもCランクで高難度クエストに吶喊するする者はいない……らしい。

特に、ここにあるやつはAランクでも苦戦するようなものだという。

そんなものを誰が進んで受けるというのか。


そんなことを考えていると、朱夏が俺の服の袖を少し引っ張り、小声で話しかけてきた。


「ちょっと、望」


「何? ……あと、人がいるから望って呼ぶな」


朱夏は今朝から、もうバレたなら望で良いわね。という感じで、俺の名前で呼ぶようになった。

それ自体は別に抵抗はないが、人前ではやめてほしい。あと、高宮が微妙な顔をしてて怖い。


「支配人もこう言ってるんだし、高難度でも受けて良いんじゃない? それか、採取系とか……」


突然何を言いだすんだ、この見た目幼女は。


「受けてもクリアできなきゃ意味ないだろ。それにリスクがでかすぎるんだよ」


ここにあるのは、『ドラゴン討伐』とかだ。クリアできる気がしない。

ランクは上がったが、まだレベルは一桁だし装備とかも安物なんだからな。


採取系とかは、論外だ。

報酬が安すぎる。一日分の食費で消えるレベルだ。


「確かにそうだけど……」


「とにかく今は、何とか制限されないようにするんだよ」


そう言うと俺は、支配人の方へ向き直り--


「ねぇ、考え直してくれませんか?」


「申し訳ありませんが……貴女たちが低難度クエストを受けるのは、しばらくの間禁止させてもらいます」


支配人の男は、俺にキッパリと言い放った。


「ふ、ふ……ふざけんなぁぁああ!!!!」


俺は長い時間、支配人とやりあったが「決定事項です」とにべもない。

結局、クエスト受諾の制限を阻止することはできなかった。


おかしい……こんなことは許されない。


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