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37 女神様の天罰!?

「私に何か隠してませんか?」


「か、隠してる事?」


唐突に言われ、オウム返しで聞いてしまった。

隠し事と言われても……そもそも、そんな事をする必要自体無いしなぁ〜。


「別に無いけど……」


「……そうですか。あくまでシラを切るつもりなんですね」


高宮は、犯人だと断定した刑事が容疑者を見るような目をして言う。

なんだろう、まるで尋問されているみたいだ。確信めいたように言われてしまうと、自分が本当に隠し事をしていたんじゃないか、という気になってくる。

ああ、そうか。こうやって冤罪が起こるんだな。

まさか、異世界に来て、現代日本の刑事司法問題を知るとは思わなかった。


「もう一回聞きますけど、本当に心当たりはないんですね?」


尚も高宮は追求してくる。

そう言われてもな……隠している事といえば、綾乃に俺が憑依している事くらいだ。

だがそれも、俺の完璧な演技力と女神以外で唯一真実を知る朱夏の巧みな連携で隠し通してきたのだ。


時々口調があやふやになったり、サトスに訪れた頃にバレそうなことはあったが、あんなもんは危機の内に入らない。

よってこれは除外しても良いだろう。でも、だとすると、高宮は何を怪しんでいるのだろうか?

うーん……よく分からないな。


「ごめんね? ちょっと分からないよ。陽奈に隠してる事なんて無いと思うんだけど……」


それを聞いた高宮は、目を閉じ、大きくため息をついた。


「なら仕方ないですね。ホントは自分の口から言ってほしかったんですが……」


そして一呼吸ついてから--


「あなたは本物の綾乃さんですか? 例えば、誰か違う人が中に宿っていたりして……」


「………………」


………………そんなバカな。

何故だ!? どうして分かった!?

何故そんな例えを出してきた!? そこまで確信を持っているのか!?


マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ。

どうしよう!? どうすればいい!?

どうやればこの場を切り抜けられる!?


脳に全神経を総動員させ、解決策を見つけ出そうとするがまともなのが出てこない。

出てきた物はというと。


①素直に認める←死亡確定

②誤魔化す←バレたら死亡確定な上に、どうするかは不明

③開き直る←惨殺確定


バッドエンドルート確定である。

いや、まだ俺には手段があった! 俺には優秀なパートナーがいるじゃないか!!

さあ朱夏、俺に救いの手を……!


「すーすー……」


寝てるし!! 何だよ、肝心な時に役に立たない奴だな。

そもそも、朱夏が俺をアシストした事なんか一回も無かった。いっつも俺と一緒に慌てているだけだったじゃないか!

いや、ダメだな。朱夏をスケープゴートの材料に使うべきではない。

自分でこの危機を突破しなければ。


ん……? そういえば、なんで高宮はこんな考えに至ったんだ? 綾乃の中に別人が〜なんて荒唐無稽な事、普通ならそうそう思いつかないはずだが……。


「ど、どうして……私に別人が憑いてるなんて思ったの?」


「前々から少し怪しいと思ってたんです。時々変な口調になりますし……最初は、目が覚めてから間もないから混乱しているだけだと考えていたんですけど」


ああ、さすがに口調が乱れてたのは、怪しまれていたか。

誤魔化しきれたと思ってたんだけどなぁ。


「でも、それだけで別人が憑いてるなんて……」


「もちろん私もついさっきまでそんな事、考えもしませんでした。宿の前で不思議な女の子に会うまでは……」


「不思議な女の子……?」


「はい。その娘に声をかけられた時に、変な事が起こったんです。まるで、私もその場にいたみたいな状態になって、ある出来事を見せられたんです。それが終わったら元の風景に戻って、女の子はいなくなってました」


なんだろう、何か嫌な予感が……。


「……それは不思議だね。そ、それで、ある出来事って?」


「1人の男の子が死んだ後に、意識の無い女の子に憑依してその娘として生活する……というものです」


「そ、それで……その男の子は誰?」


どうしたんだろうか、何やら身体に怖気が走る。


「ハハ、それはあなたが一番わかってるんじゃないですか? 綾乃さん……いえ、幸月望……さん?」


高宮は、そう言いながら目を細め、クスクスと笑い始めた。

目の前の少女が笑う中、俺は全身に鳥肌が立っているのを感じていた。


「……アハハー、ナニイッテンノカナー。ワタシガノゾムナワケナイジャナイノー」


おかしい……言葉が全部棒読みみたいになってしまった。

気がつけば、俺の足はプルプル震え、全身から冷や汗が流れていた。


どうしよう、いよいよ言い逃れできないところまで来てしまった。

このままだと、俺は確実に死ぬ! な、何か、何かこの状況を打開できるものは…………何もない!!


なんだこれ……まるで神から天罰を食らっているみたいだ。

ん……? 神からの天罰?


ふと、先ほどのベルザとのやりとりが頭に浮かんできた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ちょっとした天罰を用意してあるので楽しみにしていてください』


「おい、どういうことだベルザ!? 天罰って何だよ!?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「高宮様、さっき会った女の子はどんな感じの子だった?」


「は……? えっと、青髪碧眼の見たことないくらい可愛い娘でしたけど……」


ベェルゥザァァァァアアアア!!!!!

何がちょっとした天罰だ!! 命の危機だバカヤロウ!!!

異世界に来て、早くも二回目の死を迎えそうになってるわ!!!!


「はっ!? そんなことはどうでも良いです! さて、幸月望くん……覚悟は良いですか?」


高宮はどこから持ってきたのか、斧を手にして笑った。

ああ、もう死んだな……。

その光景は、俺をそう悟らせるには十分のものだった。


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