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お星さまの学校と、落ちこぼれのニュー

作者: モモル24号


 遠い遠い宇宙の果て。


 そこには「星の学校」がありました。


 この学校では新しく生まれた小さな星たちが、夜空できらきら煌めくための勉強をしています。


 みんな夜空に輝ける一等星を目指して、懸命に授業を受けていました。


 ニューは、小さな星の中でも特に輝きが弱く、いつも「落ちこぼれの星屑」と呼ばれていました。


 他の星たちは皆、自信満々に光を放ち、先生に褒められていましたが、ニューの光はぼんやりとしていて、見えない曇り(昔の)ガラスの光のようでした。


「ニュー、もっと強く光ってみなさい!」


 先生は言います。


「夜空は競争が激しいのです。一等星にならなきゃ、誰もニューを見てくれないのですよ」


 ニューは悲しくなりました。どれだけ頑張っても、光は強くなりません。


 頑張っても頑張っても輝くことが出来なくて、ニューは学校へ通うのが辛くなりました。 


 そんなある日の実技の授業中、ニューはまた失敗してしまいました。先生は大きな溜息をつき、みんなにはまた笑われたのです。ニューは、悲しくてこっそり学校を抜け出してしまいました。


 たどり着いたのは、学校から随分はなれた古びた天文台の屋根の上でした。そこには、小さな星の魔女ノワットが座っていました。


「こんにちは、小さな星さん。迷子なのかしら?」


 その小さな星の魔女は優しくニューに話しかけました。ニューと同じように星の魔女ノワットの輝きは弱々しく見えました。


 でも魔女はニューのように下を向かず、楽しむように瞬く星々を眺めています。


 静かに佇むノワットの凛とした姿に、ニューの心は落ち着きを取り戻しました。


 ニューは自分の学校での出来事を、いつの間にかノワットに話してました。


「僕は落ちこぼれなんです。どれだけ頑張っても、うまく輝けないんです」


「みんなと同じように輝く必要なんてないんだよ。君だけの輝きを探せばいい」


「僕だけの輝き?」


 ニューは首をかしげました。小さな星の魔女は、空に流れる星を懐かしむように眺め、ニコリと笑いました。


「そう。一等星は確かに目立つけれど、夜空には数え切れないほどの星があるの。星の輝きには一つ一つに意味があるんだ。誰かを照らすための光、希望を示すための光、悲しみに寄り添うための光……」


 ノワットは、自分が昔きらきら輝く流星を捕まえてしまい夜空を真っ暗闇にしかけた事や、星の仲間達と協力して闇の魔神を倒した事、それから小さな星の管理人になって、航海士たちの方角を示す小さな目印の星になった話をしてくれました。


「私の星は一等星のような派手な光じゃないけれど‥‥私がいなければ多くの船が遭難していたかもしれない。私の光も仲間達のように、誰かを正しい道へ導くための光になれたんだよ」


 再びノワットは懐かしむような顔になり、ニューの柔らかな光にそっと手を触れ撫でた。


 ニューは、星の魔女の話を聞いて、心の中に温かい光が灯りました。


「君の光が呼んでいるよ」


「僕……分かった気がする」


 小さな星の魔女にお礼を言って、ニューは学校へ戻る決意をしました。


 学校へ戻って来たニューの変わりようを見て、先生は驚きました。ニューの光は相変わらず弱々しいまま⋯⋯でも先ほどまでとは違う、穏やかで優しい、特別な輝きを放っていたからです。


「これが僕の光です」


 ニューは胸を張って言いました。先生にもニューの柔らかな輝きが伝わるようでした。


「僕の光は、誰かを優しく照らすための、寄り添うための光です」


 ニューはもう落ちこぼれではなくなりました。一等星を目指す他の星たちとは違うけれど、ニューはニューらしく誰かの心に寄り添う、温かい光で夜空を照らし続けています。


 夜空を見上げて、もし小さな優しそうな星を見つけたら、それはきっとニューかもしれません。


 そんなニューはキラキラ強い輝きを持つ仲間の星たちを支える大事な星になり、夜空に描く大きな星座を形づくる一員になったのでした。

 お読みいただきありがとうございました。小説家になろう公式企画「冬の童話祭2026」の二作品目となります。

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