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拒絶の幼馴染  作者: ひゃるる
196/200

196、後の観覧車

 「相変らずの話の進め方だな」


 夕焼け空の下、観覧車の中で、向かい合った席の彼女にあきれながら言う。

 しかし、そんな俺の様子を気にした素振りを見せず、陽葵は窓から外を見ながら呟く。


 「いいの。あの二人はこれくらい強引にでも進ませなきゃ、そのうち梃子でも動かなくなっちゃうから」


 「幼馴染の扱いよ」


 「扱い方がわかってるからこその行動だよ?」


 「違いないな」


 「説明書でも作ってあげようか?」


 「説明書があっても、俺には扱いきれねぇよ」


 そう言ってお互い苦笑する。

 そこで話は一旦途切れたため、俺は窓の外の景色を眺める。

 観覧車はまだそんなに回っているわけではなかったが、それでもそれなりの高さがあり、俺たちが今日寄ったアトラクションを上から見てるという感覚が少し不思議に感じた。


 「…ねぇ、流歌君」


 不思議な雰囲気に浸りながらぼんやり外を眺めていると、不意に陽葵が口を開いた。


 「ん?」


 「そ、その…さっきも聞いたんだけど…あたしたちって付き合った、んだよね…?」


 不安そうに目を逸らしながら陽葵は聞いてきた。


 「そうなんだろ?…もしかしてやっぱり嫌だった?」


 「ち、違う違う!ただその…実感がないというか…」


 「あー…うん」


 「な、なにその反応?」


 「いや、確かになって」


 俺が微妙な反応をしたせいか、陽葵は微妙な顔をした。

 

 「だってさ、俺と陽葵がこういう関係になるなんて、昔の俺たちなら考えなかっただろ」


 「…たしかにそうだね。なんでこうなったんだろう?」


 「ちょっと待て。その言い方は俺が悲しくなる」


 「でも、あたしは今が幸せだよ」


 「っ…」


 自分の顔が熱を帯びていくのがわかる。

 急にそういうこと言うのずるいと思うんですが。

 そんなことを考えていると、陽葵は俺の心情を察してなのか、こちらを見てニヤニヤ笑っていた。


 「…なんだよ」


 「嘘じゃないよ」


 「っ…わかった、わかったから」


 「ふふっ」


 俺を揶揄うだけ揶揄うと、陽葵はくすくすと小さく笑った。

 馬鹿にされているはずなのに、いじられているはずなのに、そうわかっていても陽葵の笑顔を見るたびに、そんな些細な問題がどうでもよくなってくる。

 …ほんと、好きなんだろうなぁ。

 陽葵の茶髪が茜色の光でキラキラと輝き、思わず目を細める。


 「え、えっと流歌君?」


 「え?」


 「その…怒ってる…?」


 「…いや?ただ単純に好きだなぁって思ってさ」


 「なっ?!」


 けど、俺もやられっぱなしなのは癪なので、ここら辺で反撃させてもらう。

 陽葵が口許を抑えながら恨めしそうな、嬉しそうな、なんとも言えないような表情で俺のほうを見ている。

 その顔には朱が差し始めていた。


 「綺麗な茜色だな」


 「…そうだね…」


 そう言って、今度こそ陽葵は恨めしそうな目で俺を見た。

 その仕草すらかわいいと思えてしまう自分に、俺は苦笑するしかなかった。

 気づいたら今年も終わりそうで震えています

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