171、救いようのないばか!
「…な、なんで…?」
信じられないようなものでも見るような目で俺を見る伊織。
あれ…おかしいな?なんかこう、もっと良い雰囲気になる予定だったんだけど…。
「…もしかして嫌だった?」
「ううん!そんなわけない!」
「お、おう、そうか…」
「でも…」
「?」
俯いて、言いにくそうにする口を開けたら閉じたりする。そうして数秒が経った後、伊織はゆっくりと声を出した。
「…その、楓ちゃんじゃないの…?」
「…へ?」
「だ、だって!旭、楓ちゃんと仲良いし、一昨日だって一緒に帰ってたし…それに、旭、楓ちゃんといる時、すごく楽しそうだったから…」
そう言う伊織の顔は酷く寂しそうだった。
ふむ。確かに楓と話すのも一緒にいるのも楽しい。でも結局俺は、何気ない日常を共有して、ずっと一緒にいたいと、目の前の女子に思ってしまったのだ。
「それでも俺はお前が好きだ」
「っ…!」
離さない、離したくないと思った時点で惚れてしまっているのだ。
伊織から拒絶された時に、なぜ縁を切らなかったのかを考えると、やはり単純に「好き」だからなのだろう。縁を切るのが正解だったのだろうけど、俺は縁を切るのが嫌だったんだろう。
「えっと…それで付き合ってくれるか…?」
ここまでずっと黙ったままの伊織に向かって声をかける。
あの…そろそろ何か喋っていただかないと俺のヒットポイントがゼロになっちゃう気がするんですけど…。なんかスリップダメージ受けてない?
「………………るじゃん…」
「え?なん…」
か細い声で何か言っている気がしたが全く聞き取れなかった。
一度聞き返そうと俺は口を開くが、俺が全て言い切る前に伊織が声を出した。
「いいに決まってるじゃんばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うぇぇ?!」
空気が震えた気がした。それくらい伊織が出した声は大きかった。
「ばかっ!ほんとにばかっ!」
「あれ〜なんで俺、罵倒されてるんですかね…?」
「救いようのないばかよ!」
「ちょ、そんな言う?」
次々に俺の事を罵倒する伊織。でも、彼女からの罵倒には悪意なんてものがないのはわかりきっていた。
「ばかばかっ…ばか!」
「はいはい…」
「〜!もうっ!」
なんかもうよくわからないので、とりあえず頷いておいたがそれもだめだったらしい。ふむ…わからん…。
そんな事を考えていると、制服のシャツを引っ張られる感覚がした。見てみると突き付けられて、伊織が袖をちょこんと摘んでいるのがわかった。
そして不安そうに俺をみるとゆっくりと口を開いた。
「ねぇ…ほんとにいいの…?」
「おま、それ自分で言うの?」
「だ、だって…」
袖を掴む力が少しだけ強くなった気がした。
「私、めんどくさいよ…?」
「知ってる」
「…」
「そこも含めて好きなんだが?」
「っ…」
「悪いけど、なんて言われても告白を撤回する事はないぞ?」
「……………ばか…」
「えぇ…」
なぜか罵倒しながら俺の胸に顔を埋めてくる伊織。
そんな伊織を愛おしく思ってしまうほど、きっと俺は彼女に狂っているのだろう。
あ、どうもひゃるるです。
…まぁ、なんと言いますか、とりあえずひと段落した感じですかね?でもまだお話は終わりませんよ。
さて、せっかくなのでちょっとお話をさせてください。メタい話なので嫌な方はスクロールするかバックしてください。
今回の小説「拒絶の幼馴染」は私が仕事中にパッと頭の中に出てきたお話なのです。
主人公が幼馴染に拒絶されて、それでも最終的に幼馴染と結ばれる…という、まぁまぁ聞いたことあるような内容なのですが笑
旭が最終的に選ぶのは朝香、と設定は決まっていたのですが、私、その日の気分で小説を書く人なので、169話「おさななじみ」を書き終えるまでは、実は旭と楓ちゃんを結ばせる流れにしていたんですね。
ほんとに、その後に「…やっぱ予定通り朝香と結ばせるか」と言う感じでああなった次第でございます。
だから私、書けと言われたら『楓ルート』を書けます笑
まぁそんな事はさておいて、「拒絶の幼馴染」がここまで続いたのは皆様のおかげです。暖かいコメント…たまに辛辣なのもありましたが参考にさせてもらい、気づいたらランキングにも載るという、もう…なんか言葉で言い表せないです。
さて、最終回みたいに久しぶりに長々と後書きを書いていますが、これは最終回ではありません。なんならまだ続きます。なぜなら、まだイチャイチャしてませんからね…そしてもう一組の様子も気になりますしね…?
だから皆様、お暇があればまたこの小説を読みにいただければと思っています。
今後とも、「拒絶の幼馴染」をよろしくお願いいたします。
ひゃるる




