149、春も桜もキタヨコレ
春、それは出会いの季節。そして別れの季節。とかいうフレーズをCMや本などで見聞きした事があるだろう。
実際のところ、どうなのだろうか。
出会いも別れも、ある人はあるし、ない人はない。その季節だからと言って特別視して、浮かれるのは間違っている。
所詮は物事の始まりの季節というだけであって、何か変わるという人はごく少数に限られるだろう。
ただの一般学生である俺には関係ないし、なんなら興味もない。ごく普通の、今まで通りの生活が送られるだけだ。
…とか思っていた時期が僕にもありました。
「………………………ぇ……………………………?」
驚きのあまり、掠れた声がでてしまう。
「…まじ?ちょ…え?まじ…?え…えぇ…?」
目の前のクラス表を見て、そんな声を漏らす。周りから見れば、明らかに不審者だ。
しかし、今の俺にそんな事を気にしている余裕はない。
知っている、というか関わりのあったやつがいるクラスを上げていく。
二年C組
小野寺美波
佐倉旭
二年D組
伊織朝香
紀野愛美
佐倉陽葵
佐藤真司
皇楓
小鳥遊蒼太
高橋流歌
九十九一
…いや、おかしくね?D組固まりすぎだろ。いやおかしい。絶対おかしいから。
「ちょっと…なんで唯一の知り合いがよりにもよってコレなのぉ…?」
俺が呆然としていると、後ろから今学校に着いたのか、クラス表を見てガッカリする美波がいた。
「おま、『コレ』って言うな」
「だってぇ〜…」
「いや、そんなに俺と同じクラスが嫌か」
「あ、別にそういう意味じゃないんだけど」
「あ、そなの」
よかった。一瞬めちゃくちゃ嫌われてるのかと思ったわ。
「…とりあえず、教室行くか…」
「…そだね…」
春、それは出会いの季節。そして別れの季節。
俺たちは今年から、二年生へと進級した。
そして、その代償に、俺と美波は『別れの季節』を身をもって経験した。
教室に入ると、すでに何人かの生徒が話したり読書したりしているのが目に入った。
見たことあるようなやつもいれば、あれ、こんなやついたっけ?みたいなやつもいる。
そうやって教室を見渡していると、一人の男子生徒と視線が被った気がした。
「おっ?佐倉旭君じゃないですか〜」
そう言いながら俺と美波の方に近づいてくる。え?誰?怖いんですけど。
「え?なんで俺の名前知ってんの?怖いんだけど」
「いやいや、あんた結構有名だぞ?」
「え、俺有名人なの?」
俺は確認の意味を込めて美波を見る。
「まぁ…そうだね…」
そう言って言いにくそうにしながら俺から視線を逸らす美波。ちょ、何?
俺が美波の態度にモヤモヤしていると、男子生徒が楽しそうに話し始める。
「入学して二日で遅刻、かわいい女子中学生と校門で待ち合わせ、一年生で生徒会の手伝い、文化祭で公の場で口喧嘩…あと、なんだっけか?」
「もういい、わかった。黙りなさい。俺のライフはゼロだから」
いや、フツーに恥ずいやつですやん。
流歌「…そういえば陽葵、旭といつも一緒のイメージあるんだけど、寂しいとか思う?」
陽葵「え?別に大丈夫だよ?どうせ家で会えるし」
楓 「寂しい、は否定しないんだ…」
陽葵「…まぁ、ちょっとだけ物足りないかなっては思うよ?」
流歌「美波もいないし、圧倒的にうるさいやつ不足だな」
楓 「…そうだね…」
流歌「あ、うるさいってのは否定しないんだ」
陽葵「てか、いつも一緒なら流歌君だってそうじゃん。旭と離れて寂しい?」
流歌「別に、どうせ今日も遅くまで通話しながらゲームだろうし」
楓 「…遅くまで…通話…いいなぁ…」




