表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/117

86



 決心していないことを強調して、はい消灯。


「ちょっとまって、高尾。まだ22時ちょっと過ぎなのに、もう明かりを消すの?」


「寝る子は育つ」


 はっ。だからヤンデレはあんなに病んで育ったのか。


「寝るのは構わないけど、あたし、真っ暗派なのよね」


「そうなの? 僕は常夜灯を点けておきたい派だけど。まぁ里穂がそう言うなら、真っ暗にしよう」


 さて。このとき、僕たちはどこに寝ていたのか。布団は一人分しかないので、僕は畳の上で座布団を枕にしていた。


「……高尾、そんなところで寝たら、風邪ひくわよ。布団で寝なさいよ」


「そう? 悪いね」


 立ち上がって、布団のところまで行く。じっと見下ろしていると、里穂が小首を傾げる。


「高尾、どうかした?」


「どかないの?」


 なぜか驚愕する里穂。


「えっ! まさか、女の子を畳で寝かせようとしていたの!」


「だって布団で寝なよ、というから」


 里穂がもじもじしながら、かけ布団を持ち上げて、


「そこは、ほら、一緒の布団という意味よ」


「遠慮しとく」


「本気なの!」


「本気だよ。おやすみ」


 畳の上に戻る前に、明かりを真っ暗にする。

 そのさい、スマホの位置は先に確認してと。緊急時には、スマホだけは手に取って逃げないとね。

 あとコンドームの箱は、できるだけ遠くに置いた。


 よし寝よう。

 長い夜だったけど、小夜が自室に戻って就寝した以上は、これでお終いだ。


 このとき里穂には背を向けて寝ていたわけだけど。


 ふいに背中に気配を感じた。

 体温を感じるほど、近くまで来ている。吐息が耳をくすぐってきた。


 こんなとき、どんな反応をするのが正しいのだろうか。


「殺される!」


「誰も殺さないけど!」


 電気を点けたら、やはり里穂が転がってきていた。


「寝相が悪いな。まさか確信犯?」


 里穂はなんて答えようか、迷った様子。


「高尾だけ畳の上で寝ていると、あたしも申し訳なく思ったのよ。だからあたしも布団から出てしまったというわけ」


「うーん」


 なんか苦しい言い訳に聞こえたのは、僕だけかな?


「気にしないで寝なよ」


「気になるわよ。高尾が畳の上で寝続けるというのなら、あたしも布団では寝られないわ。けど布団で寝れなかったら、明日の朝には体中が痛くなっているわね」


「僕にどうしろと?」


 里穂が布団のかけ布団を持ち上げて、


「一緒に寝たらいいんじゃない?」


 うーん。夜が長いぞこれは。




気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ