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……そういえば、先生をフルネームで紹介するの、今回が初めてだったな。今までで一番どうでもいいけど。
そんなどうでもいい先生は、言い放ってすぐに教壇の前に立ち、ドンッ! と左足を前に踏み出して声高らかに言い放った。
「〝目玉焼き〟とは固焼きですか? それとも半熟ですか? ――はい! ナカザワ君!」
「えっ!? えーと、俺ナカザワじゃあ……」
は? と予想外なことを言い始めた先生を前に、固まる生徒たち……しかし、ビシッ! と指し棒で指された(今日から)ナカザワ君は、仕方なく、右手を挙げて答えた。
「……どっちでもいいんじゃないかと……?」
「そのとおり! どっちでもよろしい! たかが卵の焼き加減で女の魅力が決まると思ったら大間違いですっ!」
バキッ! 指し棒は無残にも折られた。
「女子の皆さんは、くれぐれも『半熟じゃなきゃ食べられない』とかぬかす男とは交際しないように!」
ビシッ! 再び、折れた刺し棒で先生は中空を指した。
「そして男子の皆さんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」
「「「「「…………」」」」」※クラス一同。
「――はい。あとそれから、今日は皆さんに転校生を紹介します❤」
……今のネタ…だよな? ネタ……ってことでいいんだよな、先生?
そんな俺たちの気持ちをてきとーに無視して、先生は「御守さ~ん❤」と廊下に向かって呼びかける。すると、当然。開かれたままになっていた扉から〝二人の転校生〟が現れた。
――瞬間、モテない男子一同から歓声…否! 〝歓喜の雄叫び〟が上がった。
まぁ、それは当然のことだ。と俺も思わず納得してしまう。もはや先生のネタなど意にもかえさない。なぜなら、高利の情報どおり、二人とも超が付くほどの美少女だったからである。
――皆さま、長らくお待たせいたしました。では、紹介いたしましょう。まずは髪が青くて長い、高めに結ばれたポニーテールの方の少女……御守 愛ちゃんからだ。
高利は髪の毛の色を中心に見ていたが、それを除いて彼女の特徴はズバリ、背が低いことだ。
俺よりも頭一つ分…いや、それよりももっと小さいだろうか? 具体的に言うと、俺の現在の身長が165センチであるため、彼女はおよそ140センチちょいくらいだと推測される。あと、おまけにその身長のせいだろうか? 顔も、ハリのある透き通った肌、というよりもむしろ、ぷにぷに、と指でつっつきたくなるほどの幼さを残す、まさに生ける伝説級のシロモノとなっていた。
――しかしながら、そのボディは全く以って幼くない!! というのも、80オーバーは絶対にしているだろうというその胸に、くびれたウエスト。そして控えめなお尻に、しなやかで長い手足……なんてこった。これじゃあまるで、〝マリア様〟じゃあねーか……と、何の根拠もなくそう思ってしまうほどの美少女、それが御守 愛ちゃんだった。
――さてお次は肩甲骨くらいまでの長さの、若干ウェーブがかった緑色の髪の少女、御守 明ちゃんだ。
こちらは愛ちゃんとは打って変わって長身で、しかしそこまで高いというわけではなく、せいぜいがこの俺と同じくらい。または、俺をほんのちょっと追い越すか越さないかくらいの身長だ。顔も少し大人の色気を帯びていて、愛ちゃんが〝可愛い妹的存在〟とするならば、明ちゃんは間違いなく、〝美人のお姉さん的な存在〟、という感じだ。
肝心のボディはというと……なんてこった。神はこの世界に二物どころか、〝三物〟までもお与えになってしまったのか……と、思わずには決していられない、出るところは出て、引っ込むところは引っこんでいる……そう、まるで〝一流モデル〟のような完璧なボディだった。
ここまでで参考までに言うと、
B 結 ≫ 愛 > 明
W 結 = 愛 = 明
H 明 > 結 > 愛
――という感じだ。




